「靴を履くだけなのに、こんなに大変だったかな」——腰をかがめた瞬間、お腹の傷がズキッと痛む。私自身、膀胱がんの手術のあと、毎朝そう感じていました。
訪問看護師として26年、たくさんのご高齢の方・術後の方の「靴の困りごと」を見てきました。そして自分が患者になって、その大変さを身をもって知りました。最近よく耳にする「スケッチャーズのスリップインズ」は、手を使わず足を入れるだけで履ける靴です。でも、本当に高齢の方や術後の方が履いて安全なのか? 看護師の目線で、良いところも注意点も正直にお話しします。
こちらが、私が実際に愛用しているスケッチャーズ スリップインズです。
※画像は私が実際に愛用しているものです。
スリップインズって、そもそもどんな靴?
スリップインズの一番の特徴は、かがまずに、足を入れるだけで履けること。かかとの部分に「ヒールピロー」という芯が入っていて、これが靴べらの代わりになり、足を入れるとカポッとかかとが収まる仕組みです。

ふつうの靴のように、手で紐を結んだり、かがんで履いたりする必要がありません。ここが、後でお話しする「高齢の方・術後の方に向いている理由」に直結します。
看護師が見て「これは向いている」と思う方
現場で見てきた経験から、こういう方には本当に助かる靴だと思います。
腰が曲がらない・手が届かない高齢の方

高齢の方の靴というと、紐の代わりにファスナーやマジックテープが付いた物が定番です。でも、あれって結局自分の手で締めないといけないんですよね。そのためには前かがみになって体重が前にかかるので、前に転びやすい方もいます。そもそも腰が曲がらず、足元まで手が届かない方も少なくありません。スリップインズなら、立ったまま足を入れるだけで済みます。
手術のあと、かがむと傷が痛む方

正直に言うと、これは私自身の体験です。お腹の傷が痛いのに腰をかがめて靴を履くのは、本当に大変でした。当時はまだスリップインズを知らなかったので、痛みに耐えて履いていました。しかも脱ぎ履きをラクにしようと靴紐を緩めていたので、今思えば転びやすい状態だったんです。スリップインズは適度なホールド感があって、緩めた紐の靴よりずっと安定します。
腕や手が自由に使えない方

腕を骨折している方、点滴をしている方、指先を汚したくない方も、靴を履くときは意外と指を使います。手を使わず履けるのは、こういう場面でこそありがたいです。
お腹のせり出した妊婦さん

これは絶対に喜ばれると思います。お腹がつっかえて前かがみがつらい妊婦さんにこそ、かがまず履けるありがたさが伝わるはずです。
とにかく時間がない・両手がふさがる方
スポッと履けるので、忙しい朝にも大好評だと思います。荷物で両手がふさがっているときも本当に重宝します。
【正直に】看護師として伝えたい注意点
ここが一番お伝えしたいところです。便利な靴ですが、合わない方・気をつけてほしい場面があります。
むくみがひどい方は要注意
足のむくみが強い方には、スリップインズはあまり向きません。私は普段、むくみのある方には弾性ストッキングを履いた上で靴を合わせてもらったり、一番むくむ夕方にサイズを合わせるようにお伝えしています。むくみが強いと、足が入りにくかったり、逆に緩くなったりするためです。
スリッパ・かかとを踏んだ靴は本当に危ない
スリッパは基本的に足が持ち上がらず、引きずって歩く形になるので、小さな段差に引っかかりやすいんです。実際に、お腹の手術が終わって退院間近だった高齢の患者さんが、スリッパで小さな段差につまずいて転倒し、大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ=太ももの付け根)を骨折。退院どころか、入院が延びて手術になってしまった方がいました。
かかとのない靴も同じで、カパカパと持ち上がってしまい、自分の片足でもう片方のかかとを踏んでしまって前に進めず、顔から転んで額を切った患者さんもいました。
スリップインズはかかとがしっかりある靴なので、こうしたスリッパ・かかと踏みのリスクは減らせます。ただし、ふらつきの強い方や麻痺のある方は、どんな靴でも一人で履かず、ご家族や介助者と一緒に試すことをおすすめします。
サイズ選びで失敗しないコツ
口コミでも一番多い悩みが「サイズ選び」です。スリップインズはやや小さめに作られているという声が多いので、迷ったらワンサイズ上げるくらいでちょうどいいことが多いようです。
看護師としての+αのアドバイスとしては、サイズ合わせは夕方に。足は夕方が一番むくむので、その状態で「ちょうどいい」と感じる物を選ぶと、一日を通して快適に履けます。
どこで買う?サイズが不安でも大丈夫
「サイズがあるからネットだと不安…」という方も多いと思います。でも、今の通販は試着して合わなければ返品・交換ができるので安心です。とくにご自宅から出にくい術後の方・高齢の方には、家に届いて家で試せる通販はむしろ便利な買い方です。

ポイントを貯めているお店で選べるよう、3つのモールを載せておきます。
まとめ:迷っているなら、まず身近な人の声を
最後に、私の身近な実感を。78歳の母が先に履き始めて、「これすごくいいよ」と私に勧めてくれました。訪問看護の現場でも、1日5件訪問してステーションに戻ることを考えると、私は1日10回以上は靴を脱ぎ履きしています。もし普通の靴で毎回10秒かかっていたら、1日で100秒。その積み重ねを思うと、スポッと履ける軽さは想像以上に大きいんです。
かがむのがつらい方、手が届きにくい方、忙しい方——一度試す価値は十分あると思います。ただし、むくみの強い方やふらつきのある方は、今日お話しした注意点を頭の片隅に置いて選んでくださいね。
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──くるみん(訪問看護師26年・がんサバイバー)
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