はじめに
「命には終わりがある」——
そんな当たり前のことを、私は本気で考えたことがあっただろうか。
がんという病気を通して、時間の尊さ、日常のかけがえのなさ、
そして「自分はどう生きたいのか」という問いと向き合うようになりました。
このブログでは、命の有限性に気づいた今だからこそ見えてきた、生き方のかたちについて綴っています。
あなた自身の時間と向き合う、ささやかなきっかけになりますように。
「死」を意識した日、時間の流れが変わった
がんと診断されたその日、私の時間の感覚は大きく変わりました。最初に検索したのは「5年生存率」。尿管がんステージⅢの生存率は54%。この数字を見たとき、2030年を迎える自分の確率は「半分」なのだと知り、愕然としました。
リニア中央新幹線に乗れるかもわからない。団塊ジュニアが高齢者となる2040年、私はこの世にいないかもしれない。日めくりカレンダーが、まるで命のカウントダウンのように見え始めたのです。
「来年の予定」ではなく「5年後の未来」が、現実感を伴わなくなる。結婚30周年、40周年、定年退職……自分にはもう関係ないかもしれない。生きられて60歳。そんなふうに、自分の未来を見つめる角度が変わってしまいました。
けれど、それは恐怖というよりも、「あ、終わる日が本当に来るんだな」という静かな現実感。だからこそ、自分らしく生きていかねばならない——そんな感覚が、静かに芽生えたのです。
命が有限であることは、恐ろしいことなのか
訪問看護師という仕事柄、私は病院よりも多く、人生の最期に立ち会ってきました。
それでも、一般の社会では「死」はまるで“見てはいけないもの”のように扱われています。ガンジス川のほとりで遺体を火葬し川に流すという風習があると聞いたことがありますが、かつての日本でも、地域や集落で故人を見送り、死を共有していた時代がありました。
けれど、コロナ以降、その光景も少なくなりました。葬儀は縮小され、死に直面する機会すら減っている。芸能人でも葬儀は近親者で営まれましたと後日ニュースとなることが多いです。まるで「死なないこと」が前提で生きる社会になってしまったかのようです。
でも、人は誰しも死にます。100%、例外なく。これは自然の摂理、生き物としての宿命です。
だからこそ、「いつか終わる」という事実に、ちゃんと向き合うことが大切なのではないでしょうか。
がんになって得た“時間感覚の再起動”
がんをきっかけに、私の時間の感覚は一度“再起動”されました。
一日を無駄にしたくない。1分1秒すら、意味をもって過ごしたい。そう思うようになりました。
「今日は何もしなかった」ではなく、「今日は何もしない日と決めて、ゆっくりした」。そうやって自分の時間の使い方に、意識的になったんです。
風の音、朝の光、子どもの笑い声……それらすべてが「生きている」という感覚を呼び起こします。
五感で世界を感じることで、自分が「今ここにいる」ということに、深く気づくようになりました。まさに、マインドフルネス的な気づきかもしれません。
そして、気づいたんです。お金や肩書ではなく、「今日、大切な人と笑えたか」「ありがとうを伝えられたか」「社会に価値を提供できたのか」。その積み重ねこそが、生きるということなのだと。
“終わりがあるからこそ”選びたい生き方
「やりたいことは、今やる」
終わりがあると知ったからこそ、やりたいことの優先順位が見えてきました。
タイムバケットという考え方に出会い、「今」を意識的に過ごすようになりました。経験こそが人生を豊かにすると気づいたのです。
がんと診断されたことは不安でした。でもそれと同時に、「では、自分はどう生きたいのか?」と向き合う機会にもなりました。
私は、太く、できれば長く。残された時間がどれほどであっても、濃く、美しく、生きていきたいと思っています。
あなたにも、限りある時間があるとしたら——
もし、余命が半年だと宣告されたら、あなたは誰に会いたいですか?何をしたいですか?
私は、お世話になった人たちに「ありがとう」と伝えに行きたい。
その経験すべてを、生きた証として発信したい。そしてたとえ自分がこの世を去っても、その言葉や想いは、きっとどこかに残っていく。SNSという形で、誰かの心に届いていく——そんな未来を思い描いています。
人生には必ず終わりが来ます。でも、その期限は誰にも分かりません。だからこそ、今をどう生きるか。
命は有限。でも、その使い方は無限です。
終わりを知ることで、はじめられることもある
がんになって初めて、「死を意識したから、生きる意味がわかった」と思いました。
日常のありがたさ、笑顔の大切さ、自分を偽らずに生きること……
誰かのためではなく、自分のために、自分の人生を豊かにすること。主体的に、生きていくこと。
私はその実感を胸に、こうしてブログを書いています。
このブログが、あなたにとっても「自分の時間と向き合う」きっかけになりますように。
—— くるみん
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