「手術の入院、何を持っていけばいいの?」——術前のその不安、よく分かります。私は膀胱がんの手術を全身麻酔で受け、術後しばらくは体を起こすのもやっとでした。看護師として26年、患者さんの「あって良かった/困った」を間近で見てきた目と、自分が患者として実際に使った経験。その両方から、本当に役立った物だけを20点選びました。
選定基準
術後すぐの「体が動かせない時期」を基準に、①手を伸ばさずに使える ②のど・口の不快を減らせる ③おなかや創部(そうぶ=手術の傷)に負担をかけない、という視点で選びました。
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① 術後すぐ・体を起こせない時期に助かった物
全身麻酔から覚めた直後は、寝返りひとつ、体を起こすひとつが大仕事です。この時期は「無理に動かなくて済む」工夫がいちばん効きます。
前開きパジャマ
こんな人におすすめ:点滴や術後で、腕を上げたり頭からかぶる動作がつらい方、胸部・腹部の手術を受ける方
かぶるタイプは点滴ルートや創部に負担がかかりやすく、更衣・診察・処置のたびに難儀します。前開きはその点がぐっと楽。回診の時や腹部の傷の観察や処置の際にボタンを外せば、服をめくる動作なく本当に楽です。点滴が胸から入っている場合は自分一人で着替えることができます。
ひと言注意点:ボタンは大きいほうが断然ラクです。術後は指がむくんで、小さいボタンだと留めるのもひと苦労なんです。締め付けの少ない物を、できればワンサイズ大きめでも。素材は乾きやすい綿混が安心です。
ストロー付きペットボトルキャップ/ストローキャップ付きコップ
こんな人におすすめ:起き上がって飲むのがつらい、むせやすい方
あおむけに近い姿勢でも飲めるので、起き上がれない時期の水分補給がぐっと楽になります。ペットボトルにそのまま付けるキャップ型なら荷物も増えません。ペットボトルはとても重宝なのですが、自分でキャップを開けるのも大変なんです。そんな時に片手でポンっとひらき、ストローですってカチャッと閉じる。こぼれないので手元に置いておく。これ神アイテムです!
ひと言注意点:全身麻酔後は「飲水OK」の許可が出てから使ってください。開始のタイミングは必ず看護師に確認を。
龍角散ののどすっきりタブレット/のど飴
こんな人におすすめ:全身麻酔の後、のどのイガイガがつらい方
全身麻酔では口から管を入れる挿管(そうかん)を行うことが多く、術後にのどの違和感が残りやすいんです。気が付くと喉の違和感がありました。たんを出そうとしても出ない、つばを飲み込むと地味に痛い。のど飴があるといいよとXのフォロワーさんが教えてくれました!
ひと言注意点:手術後は医師・看護師の許可を得てから舐めてください。麻酔が覚め切っていないと誤嚥(ごえん)の恐れがあります。
締め付けないインナー(ノンワイヤー・カップ付きなど)
こんな人におすすめ:術後、おなかに圧がかかると痛む方、ワイヤーや締め付けがつらい方
私は術後、下腹部からウエストラインに手術創ができたので、その部分の圧迫を避ける必要がありました。男性ならワンサイズ大きな下着をお勧めします。女性ならワイヤーで締め付けられて腹圧がかかった時につらかったとのXフォロワーさんのおすすめで、ユニクロのブラトップがいいと情報をいただきました。
ひと言注意点:傷の位置によっては当たることもあるので、柔らかい素材がおすすめです。
背もたれ用クッション
こんな人におすすめ:自力で体を起こすのがつらく、ベッドで少し上体を起こして過ごしたい方
術後はギャッチアップ(ベッドの背を上げる機能)だけだと背中や腰がずれて落ち着かないことがあります。クッションを一つ挟むだけで姿勢が安定し、食事や読書がぐっと楽に。私は厚めの低反発クッションとビーズクッションを用意しました。低反発は抱いたり足に挟んだりしていいポジションを保ち、ビーズクッションは形が変わるので背中に挟んだり、足を乗せて踵を浮かしたりして足枕として使いました。2種類あるといいですね!
ひと言注意点:大きすぎると場所を取り、看護師の処置の邪魔になることも。コンパクトで洗えるカバー付きが安心です。
孫の手・マジックハンド
こんな人におすすめ:体をひねれない、手を伸ばせない時期に「ちょっと届かない」をなくしたい方
背中がかゆい、点滴スタンドを寄せたい、手が届かない——術後は、その「ちょっと」が一番つらいんです。ナースコールを押すほどでもない小さな困りごとを自分で解決できると、気持ちも軽くなります。痒い時はもちろん、マジックハンド的にも使えて遠くのものを引き寄せられます。病院は地味に乾燥していて肌がカサカサになり痒くなりがち。そんな時に孫の手!
ひと言注意点:長いと邪魔になるので、伸縮するタイプがいいみたいとXフォロワーさんが教えてくれました。
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スマホスタンド(クリップ式)
こんな人におすすめ:寝たままスマホを見たい、手で持ち上げるのもつらい方
仰向けでスマホを持ち続けると腕も疲れるし、うっかり顔に落とすこともあります。点滴をしていると腕を曲げられず、ずっと右手で持っているわけにもいきません。そんな時、自由につけられるクリップ式のスマホスタンドがあると、ベッド柵やテーブルにクリップでき便利です。
ひと言注意点:アームがしっかり固定できる物を。緩むと顔に落ちるので、安価すぎる物は避けたほうが無難です。
濡れマスク
こんな人におすすめ:麻酔後ののどの乾燥・イガイガ、病室の乾燥がつらい方
病室は空調で乾燥しがちで、全身麻酔後ののどには特にこたえます。濡れマスクは加湿してくれて、のどと鼻の不快感をやわらげてくれます。
ひと言注意点:酸素マスクや酸素チューブを使っている間は使えません。外れてから、看護師に確認のうえで。
携帯おしりふき
こんな人におすすめ:トイレまで歩くのがつらい、清潔を保ちたい方
術後すぐは思うように動けず、トイレや清拭(せいしき=体を拭くこと)も人の手を借りがち。手元におしりふきがあると、ちょっとした拭き取りを自分でできて、気兼ねが減ります。術後は思うようにトイレに行けず、バルーンカテーテルが入っていて痒みや違和感もありました。匂いも気になるんですよね。デリケートな部分にも使える低刺激タイプが安心です。
ひと言注意点:トイレに流せるかは商品表示と病院の設備を確認してください。流せない物は詰まりの原因になります。
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体圧分散マットレス(マットレストッパー)
こんな人におすすめ:病院のベッドが硬く感じる、術後に腰や背中が痛む方、長めの入院が見込まれる方
病院のマットレスは清潔・衛生を優先して硬めのことが多く、同じ姿勢が続く術後は腰や背中がつらくなりがちです。病棟でも、腰痛のある方には医療用マットレスを用意したり、手術後は動けないので体圧分散マットを準備します。このアイテム、Xのフォロワーさんが「持って行ってよかった」と教えてくださいました。使い慣れた寝具で体がラクになるなら、持って行く価値は十分あります。高機能タイプではエアウィーブなどもあります。
ひと言注意点:持ち込めるかどうかは病棟によって異なります。体位変換や起き上がりの介助の妨げにならない薄手・軽量の物が無難です。必ず事前に病棟の看護師へ確認を。
② ベッド周りを快適に・安眠・電源まわり
術後すぐの山を越えると、次は「ベッドの上での時間をどう快適にするか」が課題になります。手の届く範囲を整え、よく眠れる環境をつくる工夫です。
S字フック
こんな人におすすめ:手の届く範囲に小物をまとめておきたい方
ベッド柵にかければ、よく使う袋やタオル、ゴミ袋などを“手を伸ばすだけ”の位置に置けます。床やサイドテーブルに物を置くと、起き上がれない時期は取るのも一苦労。私は尿のバッグやドレーンをかける時にも使っていました。点滴台の取っ手に取り付けると、ちょっとした荷物をぶら下げられて楽ですよ!
ひと言注意点:2〜3個、長短あると使い分けできて便利です。一つのフックにたくさんぶら下げるのはNGです。
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ベッドサイドカゴ(ポケット型オーガナイザー)
こんな人におすすめ:スマホ・眼鏡・リップ・ティッシュなど小物が散らからないようにしたい方
術後は小物が布団に紛れて、落とすと拾えないのが地味につらい。柵にかけるポケット型なら定位置が決まり、寝たままでも手探りで取り出せます。テーブルに置いておくと、食事の時も片付いていて良いです。S字フックと組み合わせて使う方が多いようです。
ひと言注意点:重い物を入れると柵から外れることも。スマホ程度までにして、貴重品は別管理が安心です。
置き時計(小型・静音・減光タイプ)
こんな人におすすめ:スマホを見なくても時間を確認したい方、検温や服薬の時間を把握したい方
消灯後にスマホを見ると目が冴えてしまいます。点滴や服薬、検温の時間を把握するのにも、ぱっと見える時計があると落ち着きます。スマホで十分と思っていたけど、ふと目をそらして時間がわかる卓上の時計が便利です。カチカチ音のしないタイプか、デジタルがいいですよ。
ひと言注意点:秒針の音が気になる物や、強く光る物は同室の方の迷惑になることも。静音・減光タイプを選びましょう。
足マット(小さめ・滑り止め付き)
こんな人におすすめ:ベッドから降りるときの足元の冷たさ・滑りが気になる方
術後初めてベッドから降りる時は、ふらつきと床の冷たさが想像以上にこたえます。病院の床は汚れていますし、靴を履くのも大変なので、床マットがあると直接足を置けます。ベッドサイドに座って食事をする時、マットに足を置くと靴を履かずに済み、一気に“自分の部屋感覚”が広がりました。
ひと言注意点:めくれて引っかかると転倒の原因に。薄手で滑り止め付きの物を、ずれない位置に。
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タオルケット(肌掛け)
こんな人におすすめ:病院の空調で暑い・寒いの調整をしたい方
病院の掛け物は厚みの調整がしづらく、空調で暑すぎたり寒すぎたり。一枚タオルケットがあると微調整がきいて、眠りの質が変わります。シーツ代わりに敷いておくと、汚れた時にも安心です。自分が普段使っているタオルケットってすごく安心するんですよね。不安な夜に頬に触れる、いつもの柔らかさにとても安心します。
ひと言注意点:洗い替えを考え、軽くて乾きやすい物が便利です。
大きめストール
こんな人におすすめ:検査の移動や面会、肌寒い時の羽織りに一枚で対応したい方
膝掛け、羽織り、ちょっとした目隠しと、一枚で何役もこなします。肩からかけると安心感もあります。Xのフォロワーさんは、ノーブラで院内のコンビニに行く時に、肩から羽織って隠せたとのことでした。
ひと言注意点:長すぎると車椅子の車輪に巻き込む危険が。移動時は膝の上にまとめておきましょう。
使い捨てパイルスリッパ
こんな人におすすめ:院内を歩くときの衛生と歩きやすさを両立したい方
かかとのないスリッパは術後のふらつく足元では転びやすいので、本当は“かかとのある靴”が一番安全です。そのうえで使い捨てを選ぶなら、滑り止め付きでフィット感のある物を。パイルスリッパはXのフォロワーさんが教えてくれました。お風呂やシャワーの後、足が濡れている時にあると快適そうですね。
ひと言注意点:転倒予防の観点では、かかとを覆える靴のほうが安全です。スリッパは滑り止め付きを選び、急がず歩いて。
💡 「かかとがあって転びにくく、しかも手を使わず履ける靴」をお探しの方は、こちらの記事もどうぞ。
ノイズキャンセリングイヤホン
こんな人におすすめ:多床室(相部屋)の物音やいびき、医療機器のアラーム音が気になって眠れない方
相部屋では、話し声・点滴ポンプのアラーム・夜間の巡視などがどうしても聞こえます。音に敏感な方ほど、ぐっすり眠れるかどうかが変わってきます。前回入院した4人部屋では、3人のおじさんがいびきをかき絶えませんでした。ノイズキャンセルで安住紳一郎アナの「日曜天国」を聴いていました。
ひと言注意点:完全に遮断するとナースコールや呼びかけに気づけないことも。夜間は片耳だけにする、音量を控えるなど、安全とのバランスを。
延長コード・電源タップ(長めの充電ケーブルも)
こんな人におすすめ:ベッドのコンセントが遠く、寝たまま充電や機器を使いたい方
病室のコンセントはベッドから離れた位置にあることが多く、短いケーブルでは届きません。充電器をテレビ台に挿すとベッドまで届かず、ベッドの頭上のコンセントに挿すと手元まで届かず、地味にストレスが溜まりました。スマホの充電が切れて連絡が取れない不安は、入院中ほんとうに地味なストレス。長めのケーブルと電源タップは、私が「これは必需品」と断言できるアイテムです。
ひと言注意点:たこ足配線や発熱には注意を。病院によってはコンセント数や使用ルールが決まっている場合があるので、入院案内を確認しておくと安心です。
③ 地味だけど効く、最後の1品
リップクリーム
こんな人におすすめ:唇の乾燥が気になる方、ふだんリップを使わない方こそ
病院は空調で室温は快適に保たれていますが、湿度は調整しづらく、唇が乾きやすい環境です。私自身も入院中に唇の渇きを感じました。特に男性の患者さんは普段リップを使わない方が多く、ご家族に持ってきてもらって「つけたらとても快適だった」とおっしゃる方が何人もいました。小さいけれど、あって良かったと実感できる一品です。
ひと言注意点:手術や検査の直前は、口元に何もつけない指示が出ることがあります。使うタイミングは看護師に確認すると安心です。
【保存版】手術後の入院 持ち物チェックリスト20
入院前に、このリストでチェックしてみてください。スマホでスクショしておくと、荷造りのときに便利です。(「イチオシ」は、私が特におすすめする“あると満足度が変わる”アイテムです)
よくある質問(FAQ)
入院前によく聞かれることを、看護師の立場でまとめました。
まとめ
手術後の入院は、体が思うように動かせない時期がどうしてもあります。そんなとき、今回ご紹介したグッズは「人の手を借りなくても、自分でできる」を少しずつ増やしてくれます。全部をそろえる必要はありません。あなたの手術や入院期間に合わせて、「これはあると安心かも」と感じた物から準備してみてください。
持ち込みのルールは病院ごとに違います。迷ったものは、入院前に病棟へひとこと確認しておくと安心です。
──くるみん(訪問看護師26年・がんサバイバー)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為の代替となるものではありません。治療方針や体調の変化については、必ず担当医・医療機関にご相談ください。記事の内容は筆者個人の見解・体験に基づくものです。
くるみんのがん羅針盤 





















