がん患者が“言われてモヤる言葉”10選
①「元気そうじゃん」
励ましのつもりなんですよね。
「見た目が元気そう」って言われると、笑って「ありがとう」と返すけれど、心の中が少しざわつくんです。
だって、その“元気”を保つためにどれだけ頑張っているか。
治療の副作用、再発の不安、体調の波——。
それを隠しながら「普通の生活」を続けているだけなんです。
見た目の裏にある努力を少し想像してもらえたら、心がふっと軽くなる。
「無理してない?」「今日はゆっくりできてる?」——そんな一言が、何よりの励ましになります。
②「2人に1人ががんになる時代だから」
統計的にはその通り。
だけど、周りを見てほしい・・・
あなたの周りで本当に2人に1人ががんでしょうか?
AYA世代の方でがんの方が身近にいますか?
全世代を通しての統計で「2人に1人」ががんになるというお話です。
でも、いま欲しいのは数字じゃなく共感なんです。
「珍しい病気じゃないし大丈夫」ではなく、
「今つらいね」「怖かったね」という共感のほうが、ずっと心に響く。
“2人に1人”という言葉の裏で、私は“その1人”になってしまった。
だからこそ、「あなたの気持ちに寄り添いたい」という声の方が、何倍も支えになります。
③「私も最近、健康診断引っかかってさ〜」
悪気のない雑談なんですよね。
でもその“軽さ”が、時に胸に重く響きます。
「私もさ〜」と並べられると、「同じ不安じゃないんだけど…」と思ってしまう。
こちらはがんの告知を受け、命と向き合っている最中。
ほんの少しの温度差が、距離に感じてしまうことがあります。
心配してくれる気持ちは本当に嬉しい。
でも、そんな時は「怖かったよね」「検査、大変だったね」と、聴く姿勢だけで十分なんです。
④「がんって早期なら全然治るよね?」
励ましのつもりなのはよくわかります。
でも、ちょっと複雑な気持ちになることも。
早期でも、手術・通院・副作用・再発リスク——。
どれも“軽い病気”とは言えません。
「治るよね?」という言葉が、かえってプレッシャーになることも。
「治る・治らない」ではなく、「支えてるよ」「応援してるよ」——その言葉で十分です。
⑤「お祓い行ってみたら?」「厄年じゃない?」
信仰を否定するつもりはありません。
でも、がんを“運”や“厄”で片づけられるのは、やっぱりつらい。
病気は偶然ではなく、現実。
治療や生活の積み重ねの中で向き合っているんです。
「気をつけていればよかったのに」と聞こえてしまうと、心が冷えてしまう。
ただ、「怖いね」「無理しないでね」と寄り添ってもらえるだけで十分です。

⑥「頑張ってるね!」
この言葉、いちばん多くかけられます。
もちろん、励ましの言葉だってことはわかっています。
でも正直、「もうこれ以上、何を頑張ればいいの?」と思うこともあるんです。
毎日治療に耐え、ただ“生きていること”自体がすでに頑張り。
「今日はゆっくり休んでね」「無理しないで」——そんな言葉が、頑張る私たちを優しく包みます。
⑦「うちの〇〇もがんで亡くなったよ」
この言葉を聞くと、思わず息をのむ人も多いはず。
話している人は“経験を共有しているつもり”でも、治療中の人にとってはあまりに重たい。
今まさに生きることに必死なとき、「亡くなった話」は希望を遠ざけてしまうこともあります。
「私の知り合い、治療を頑張って元気に過ごしてるよ」——そんなエピソードの方が、心の支えになります。
「言葉にモヤモヤした日」に 「香りでホッとひと息つく時間を持つ」段落を挿入 → そこでいい香りのディフューザーをひとつ持っておくと、“言葉に跳ね返されそうな心”をやさしく包んでくれます
⑧「気の持ちようじゃない?」
ズシンと響く言葉です。
「気持ちの持ち方が大事」なのは確か。
でも、がんは“気の持ちよう”だけではどうにもならない病気。
「気が弱いから病気になった」と感じてしまうことも。
心が弱いからではなく、体の中で細胞が暴走している——それが現実。
「つらいね」「無理しないでね」その一言で、救われる人がたくさんいます。
⑨「神様は乗り越えられる試練しか与えない」
とても美しい言葉。
けれど、治療の真っ只中では、時にその言葉が重くのしかかります。
「乗り越えられなかったら、自分は弱いの?」——そんな思いがよぎることも。
神様より、そばにいる人の“優しい共感”の方が、何倍も救いになります。
「しんどいね」「つらいね」——その言葉が、いま最も欲しい祈りです。
⑩「病は気からって言うじゃん」
昔からあるフレーズですが、がん患者には複雑な響き。
確かに前向きな気持ちは大事。でも、がんは“気”ではなく“細胞”の病気です。
「気にかけてるよ」「何かできることある?」
その一言のほうが、はるかに心に届きます。
病は“気から”より、“気にかける”ことから救われる。
そう感じています。
言葉の奥にある「気持ち」を見つめてみよう
今回の10選は、「こう言ってはいけない」という話ではありません。
どの言葉も、もともとは優しさや励ましから生まれたもの。
でも、がんという現実の中では、その優しさが時に刃のように感じられることもあります。
だからこそ大事なのは、「言葉の正しさ」より「想いの深さ」。
寄り添う気持ちがあれば、どんな言葉もきっと届く。
そして、がん患者自身も「モヤモヤしていい」「泣いてもいい」。
自分を責めず、心のままに感じていいんです。
「頑張ってるね」と言われて苦しくなる日もあります。そんなとき、私はこの本に何度も助けられました。
まとめ|“言葉”で救われる日も、“沈む日”もある
私たちがん患者は、たとえ“元気そう”に見えても、心の奥では日々いろんな感情と戦っています。
だからこそ、何気ない一言が嬉しいこともあれば、モヤッとすることもある。
でもそれは、人と人が本気で関わっている証。
「伝えたい」「わかりたい」と思う気持ちの先に、心が通じる瞬間がある。
どうか今日も、誰かの言葉が優しく届きますように。
そしてあなた自身も、「寄り添える人」でありますように。
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