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【がん患者が言われてモヤる言葉あるある10選】

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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【本記事は「がん患者あるある」シリーズ第4回/全6回の連載企画です】

がんとともに生きる日々のなかで、いちばん繊細になるのが「人との距離感」かもしれません。
悪気はないとわかっていても、ちょっとした言葉にモヤモヤしてしまう…。


今回は、がん患者が“言われてちょっとつらかった言葉”あるある10選をお届けします。

この記事が、「どんな言葉が心に届くのか」を考えるきっかけになれば嬉しいです。


そして、がん患者自身も「モヤモヤしていいんだよ」と、そっと自分を許せるような時間になりますように。

「元気そうじゃん」

たぶん、励ましのつもりなんですよね。「見た目は元気そう」って言われると、笑って「ありがとう」と返すけど、実は心の中がザワつきます。

というのも、その“元気”を保つために、どれだけ治療に耐えて、生活に気をつけて、再発や副作用の不安と向き合っているか…。

外見だけで判断されると、「がん患者らしく見えない=大したことない」と思われているようで、努力がすべてスルーされた気がしてしまうんです。

見た目だけじゃなく、その裏にある背景にも少し想像を向けてもらえたら、きっとがん患者の心はもっと救われる気がします。

「2人に1人ががんになる時代だから」

これ、よく言われます。

「今や珍しい病気じゃないし、大丈夫だよ!」って、励ましのようでいて…どこかズレた違和感を覚える言葉です。

統計的な話はわかるけれど、いま私が欲しいのは、データじゃなくて共感なんです。「いずれ、みんなもなるから安心して」じゃなくて、「今つらいね、大丈夫?」という一言のほうが、よっぽど心に響きます。

「2人に1人」と言われても、私は“その1人”になってしまったわけで、不安も痛みも、みんなと同じなんかじゃない

。励ますつもりの一言が、気持ちを遠ざけることもあるんだって、知ってもらえたら嬉しいです。

「私も最近、健康診断引っかかってさ〜」

これは、ものすごく悪気のない雑談なんですよね。

でも、その何気なさが逆につらくなることもあります。確かに“引っかかる”のも不安だと思います。

でも、こちらはがんと診断され、手術や治療、命と向き合う現実の中にいる。

そんな時に、「私もさ〜」と軽く並べられると、「あ、同じ土俵じゃないんだけど…」と、心の中で距離を感じてしまいます。心配してくれるのは嬉しい。

けど、その一言が「深刻な話も軽く見られてるかも」と思わせることもあるんです。もし、何か言葉をかけるなら、そっと寄り添うひと言のほうがずっと心に届きます。

「応援しているよ!」

「がんって早期なら全然治るよね?」

この言葉、悪気がないのはよくわかっています。

「きっと治るよ」「前向きに行こうね」という励ましの気持ち。

でも、私にとってはちょっと複雑なフレーズです。

確かに早期発見なら予後がいいこともあるけれど、「じゃあ私は軽い病気なの?」と思ってしまうこともあるんです。

治療内容や再発リスク、生活の制限は、たとえ早期でも決して“軽くはない”。「治るよね?」という言葉が、逆にプレッシャーになることも。

励ましって、時にそっと寄り添うだけでも十分なんだなって、がんを経験して初めて気づきました。

「お祓いとか行ってみたら?」「厄年じゃない?」

「もしかして厄年なんじゃない?」とか「お祓い行った方がいいよ」と言われることがあります。

もちろん、信仰や願掛けを否定するつもりはありません。

でも、実際にがんと診断され、手術や治療に向き合っている今、「厄年で済まされたくない」という気持ちが強くなりました。

病気は運ではなく、現実です。

科学的な治療や生活習慣の見直しが必要で、「気をつけてればよかったのに」というニュアンスに感じてしまうと、心がふっと冷えてしまいます。

そっとしておいてほしい時もあるんです。

「頑張ってるね!」

この言葉、よくかけられます。

たぶん、いちばん多いかもしれません。もちろん、善意だってことは分かってるんです。励まそうとしてくれているのも伝わるんです。

でも、正直なところ「もうこれ以上、何を頑張ればいいの?」って思ってしまう瞬間もあります。

毎日治療に向き合い、再発の不安と闘いながら、ただ生きていることだって、私にとっては十分頑張ってるんです。「頑張ってるね」って言葉が、時に“まだ足りない”と言われているように感じてしまう…。

そんなときは、「今日はゆっくりしてね」くらいが、ちょうどよかったりします。

「うちの〇〇もがんで亡くなったよ」

この一言、言っている人にとっては経験を共有してくれている”つもりかもしれません。

でも、聞く側の私は思わず言葉を失いました。「励まし」ではなく、「不安」に火を注ぐ言葉って、まさにこれかもしれません。

今まさに治療に向き合っている人にとって、“死”の話題はリアルすぎて重たすぎるんです

頭では「悪気はない」ってわかっていても、心は「今、それ聞きたくなかった…」と反応してしまいます。

たとえ体験談でも、“誰かの終わり”の話より、できれば“今、頑張っている人”の話を聞かせてほしい。

それだけで、希望の持ち方が変わるんです。

「気の持ちようじゃない?」

これ、言われた瞬間にズシンとくる言葉なんです。

確かに前向きな気持ちは大切。でも、「気の持ちよう」と言われてしまうと、「心が弱いから病気になったの?」と責められているような気持ちになることも…。

がんは、気合いや根性だけでは治らない現実があります。

治療や副作用、再発の不安と向き合っているなかで、「気の持ちよう」とひとくくりにされるのは、正直つらい。

心の持ち方が大事なことも、重々わかってる。

でも今は、少しでも現実を分かって寄り添ってほしいだけなんです。気のせいじゃなくて、これは“治療が必要な病気”なんです。

「神様は乗り越えられる試練しか与えないって言うしね」

この言葉、励まそうとして言ってくれてるのはわかります。

でも、がん治療の真っ只中にいるときにこのセリフを聞くと、正直、心に重くのしかかるんです。

「乗り越えられる」って、いま目の前の苦しさをどうにかしてくれるわけじゃない。

「じゃあこの試練を乗り越えられなかったら、自分は神様から見放されたってこと?」と、そんなふうに考えてしまうことも…。

信仰は否定しないけれど、今は神様より、そばにいる誰かの優しい言葉や共感の方が、何倍も救いになります。

「しんどいね」「つらいよね」って言ってもらえたら、それだけで十分なんです。

「病は気からって言うじゃん」

昔からよく聞くフレーズですが、がん患者にとっては複雑な響きがあります。


確かに前向きな気持ちは大切。でも、がんは“気の持ちよう”だけではどうにもならない病気です。体内で細胞が暴走している――それを「気合で治せ」と言われても、正直しんどい。


この言葉をかけられると、「気が弱いからがんになったの?」と責められているような気持ちになることもあります。
病気と向き合うには、心の支えも、正しい医療も、両方必要です。


「気から」より、「気にかけてるよ」の一言の方が、ずっと力になります。


✅まとめ文

私たちがん患者は、たとえ“元気そう”に見えても、心の内では日々いろいろな感情と戦っています。
だからこそ、何気ない一言が嬉しいこともあれば、モヤッと心に刺さることもあるんです。

今回のあるある10選は、「それ言われたことある!」という共感も多いかもしれません。
でも、伝えたいのは「こういう言葉はNGです」という話ではなく、


“言葉の奥にある気持ち”をお互いに大事にしたいということ。

寄り添う気持ちがあれば、どんな言葉もきっと届く。


そんなコミュニケーションのヒントになれたら嬉しいです。


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