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その一言が、私を支えてくれた――がん患者として入院中にかけられてうれしかった医療者の言葉10選

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
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【はじめに】 「まさか、自分ががんになるなんて——」 看護師から患者さんになり支えられる立場に

診断は「尿管がん」。治療として手術が必要で、10日間ほど入院することになりました。

私は看護師として20年以上、数えきれない患者さんと向き合ってきました。痛みや不安、検査のつらさ、そんな日々を「支える側」にいた私が、ある日突然「支えられる側」になったのです。

手術、絶食、検査、夜中の痛み、不安な夜——。 患者さんたちが言っていたことのひとつひとつが、自分の身体と心でよくわかるようになっていきました。

でも、そんな日々を乗り越えられたのは、医師や看護師さんの「何気ない一言」でした。

今回は、入院中に医療者にかけてもらって本当に心が救われた言葉たちを10個選び、私自身のエピソードとともに紹介します。もし、今入院中で心細い思いをしている人がいたら、読んでみてください。

がん患者の私が、心から嬉しかった医療者の言葉10選

「待たせてごめんなさい」

大学病院では2〜3時間待つのも当たり前。でも診察室に入った瞬間、先生が「待たせてごめんなさい」と言ってくださると、「大丈夫ですよ」と自然と返したくなる。先生も休憩を削って診察してくれていることを知っているからこそ、そのひとことがありがたくて胸に残っています。

「一緒に頑張りましょう」

がんという病気は孤独です。治療も不安も自分で背負っているような感覚になることがあります。でもこの言葉には、「あなたはひとりじゃない」という力強さがあります。医療者が味方でいてくれる、共に戦ってくれるという信頼と安心が、私の背中を押してくれました。

「おはようございます、〇〇さん」

朝一番の明るい声で名前を呼んでくれるだけで、心が温かくなります。「〇〇さん」と名前であいさつされると、「私は認知されているんだ、ここにいていいんだ!」と感じることができます。何気ない一言が、一日のスタートを前向きにしてくれる力を持っているんだと知りました。

「ちょっとしたことでもナースコールで呼んでくださいね」

私は看護師として働いていたからこそ、ナースコールの裏側を知っています。忙しい時間帯、限られた人員、その中で動き回る看護師たちの姿を思い出すと、つい「これくらいで呼んでいいのかな」と遠慮してしまいます。

痛みが強いときや点滴が終わったとき、本当はすぐに対応してほしいと思っていても、ナースコールを押すかどうか迷ってしまう。そんな私の心をスッと救ってくれたのが、「ちょっとしたことでもナースコールで呼んでくださいね」という言葉でした。

その一言があるだけで、「頼っていいんだ」「気にしなくていいんだ」と思える。信頼と安心がそこに生まれ、気持ちがずいぶんと軽くなるのです。

「検査大変でしたね。痛かったでしょう。心配ですよね」

「検査大変でしたね。痛かったでしょう。心配ですよね」

この言葉には「ぐぅっ」とくる感じがありました。「わかってくれる人がいるんだ!」 痛みや不安をわかってくれる、気持ちに寄り添ってくれる、それだけで心が救われます。看護の本質はこういう共感力なんだと、患者になって改めて気づかされました。

「今日はありがとうございました。夜勤の担当は〇〇さんなので、またご挨拶に伺いますね」

日勤の終わりにきちんと引き継ぎがされているとわかると、本当に安心します。「私のことをちゃんと見てくれている」と感じられるから。人の交代がある医療現場でも、繋がりが続いているんだと感じさせてくれるひとことです。

患者のこちらこそ「勤務お疲れ様でした!」と笑顔でお答えします。

「熱くないですか? 痛くないですか? 眠れませんでしたか?」

こちらから言い出しにくい不調を、先回りして聞いてくれる。それだけで「見てくれてるんだ」と思えます。小さな違和感にも気づいてくれている安心感があり、「本当は…」と素直に言える空気が生まれます。

「顔色、今日は良いですね」

患者さんは自分の状態に気づきにくいもの。でも、医療者に小さな変化を見つけてもらえると、「良くなってきてるのかな」と希望が持てます。目の前の小さな前進を一緒に喜んでくれる存在がいるだけで、回復に向かう気持ちが変わるのです。

「お薬、よく効いてますよ。体が頑張ってますね」

治療の効果が出ているかどうか——それは患者にとって常に気になるところです。私自身も、採血の結果や体温の変化、症状の改善などを細かく気にしていました。「熱が出ていない」「数値が少し良くなっている」「痛みが和らぎ夜眠れた」といった兆しに、一喜一憂していたのを覚えています。

そんなときに医療者からこの言葉をかけてもらえると、自分の体の“がんばり”を認めてもらえたような気がしました。

「まだ私の身体、ちゃんと治ろうと頑張ってくれてるんだな」と思えるだけで、もう少し前向きに治療に向き合おうという気持ちが湧いてきます。

「退院したら、何をしたいですか?」

未来の話をしてくれる人がいるって、嬉しいです。治療のことばかりを考えてしまいがちな入院中に、「その先の楽しみ」を思い出させてくれる。未来に目を向ける力をくれる言葉でした。

あなたは、どんな言葉に支えられたことがありますか?

入院中、診察室、待合室——。 あなたの心に残っている言葉は、どんなものでしょうか?

もし、「この一言に救われたな」という経験があれば、それはあなたの宝物です。

そして今、誰かが闘っているとしたら。 どんな言葉をかけてあげたいと思いますか?

言葉には力があります。 優しい一言が、人の心をふっと軽くすることもある。

このブログが、誰かの心の灯になれたら嬉しいです。

そして私の看護師として、この言葉を積極的に声をかけていきます🍀

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