〜患者としての実感と看護師としてのコツ〜
注射がうまい看護師に当たったことがある方、いませんか?
「針が刺さる瞬間、全然痛くなかった!」「あの看護師さんにお願いしたい」…
私はがん患者として、また看護師としても日々感じていることがあります。
それは、注射や採血の痛みには“技術”と“工夫”が大きく関わるということです。
今回は、その点について深掘りしながら、注射を痛くなくするための実践的なコツをご紹介します。
注射が痛くない理由って何だろう?
「注射が痛くない看護師さんにお願いしたい」という患者さんの声、実際に病棟でもよく耳にします。
私自身、看護師として長年注射を行ってきた経験がありますが、実際のところ注射の「痛み」には、技術だけでなく患者さんの状態や看護師の精神的な状態も影響を与えていることが分かっています。
注射の痛みの原因として、一般的に以下の要素が関わっています
- 針の角度や種類:針の鋭角や鈍角、また針の大きさなど、針の選択によって痛みの感じ方は異なります。
- 皮膚の状態や血管の状態:皮膚が厚かったり血管が硬い場合、刺しにくさが痛みの原因になります。
- 精神的な影響:看護師の緊張や患者さんの緊張が痛みの感じ方に影響します。
実際、心理的要素が痛みの感じ方に大きく影響することが、いくつかの研究で示されています。
患者さんがリラックスしていれば、痛みの感覚が和らぐということです。
注射を痛くないものにするための看護師の工夫
注射が痛くない理由、もう少し詳しく見ていきましょう。
私が注射を行う際に心がけている「コツ」を紹介します。

- 針の選択:
注射針には、「ショートベベル(鈍角)」と「レギュラーベベル(鋭角)」があります。
痛みが苦手な患者さんには、皮膚を刺すよりも「切る」感覚の鋭角な針を使用します。
これにより、皮膚への刺激が少なく、痛みを感じにくくなるんです。 - 刺すスピードとタイミング:
「ゆっくり刺す」という方法は、実は痛みを感じやすいことがあります。
注射の際は、思い切ってスピーディーに刺す方が、意外と痛みを少なく感じる場合が多いです。
躊躇せずに一気にいくことが大切です。 - 声かけと患者さんとのコミュニケーション:
「痛くないですよ、頑張りましょうね」と言いながら注射を刺す看護師さんは多いですが、私は「痛いですよ〜、ちょっとだけ痛いですけど頑張ってください!」と、あえて少しリアルな声かけをしています。
これで患者さんも心構えができ、痛みを予想しやすくなるため、心理的な負担が減ります。
注射における“リラックスの力”
献血ルームの看護師さんたちは、毎日何十回も注射を行いますが、注射がうまい理由の一つは、リラックスさせる力にあります。
患者さんがリラックスしていると、筋肉もほぐれ、針を刺すときの抵抗が少なくなります。
例えば、私が献血に行ったとき、看護師さんは必ず「ちょっと緊張しますね 深呼吸して楽にしましょう」と話しかけながら進めてくれるおかげで、思っていたより痛くなく感じました。
このように、「リラックスさせるために話しかける」ことは、注射の痛みを軽減する非常に重要なテクニックです。

エビデンスから見る“看護師の技術”と“心理的要因”
実際のところ、注射の痛みには心理的な影響が非常に強いことが、多くの研究で示されています。
例えば、ある研究では、患者が看護師の表情や態度に影響され、痛みの感覚が増減することが分かっています(e.g. Kim et al., 2014)。
また、痛みの認知には、患者の不安や恐怖が関わっているという研究結果もあります。
患者さんがリラックスできる環境を作ることが、痛みを軽減するために非常に重要だとされているのです。
まとめ:注射が痛くない秘訣は「技術+心理的アプローチ」
「注射がうまい看護師」というのは、単に注射が上手なだけではなく、患者さんをリラックスさせるための技術と空気感が備わっている人です。
また、看護師がどれだけ注射をスムーズに、痛みなく行おうとしても、患者さんが緊張していると、どうしても痛みを感じやすくなります。
だからこそ、心理的なサポートも注射の技術に含まれるということを意識していきたいですね。
痛みを和らげるためには、単に針を刺す技術だけでなく、患者さんの気持ちに寄り添った配慮が大切だということを、ぜひ覚えておいてください。
最後に:あなたが次に注射を受けるとき、少しだけ思い出してみてください。
注射が怖い、痛い——そう思うのは当然のことです。
でも、「ちょっと緊張してるかも」と自分に気づくだけで、痛みの感じ方は変わってきます。
もし、やさしく声をかけてくれる看護師さんがいたら、素直に「緊張しています」と伝えてみてください。
それが、あなた自身の痛みを和らげる一歩になるかもしれません。
そして、医療従事者の方へ——
今日のケアの中で、「心をほぐす声かけ」を一つでも意識してみませんか?
それだけで、患者さんの表情がふっとやわらぐことがあります。
「注射がうまいね」って言われるのは、技術だけじゃない。
そこに“あなたの優しさ”がちゃんと伝わっている証なんです。

次に注射をするとき、あなたはどんな空気を作りたいですか?