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2泊3日で受けた「前立腺生検」――私の体験ストーリーと知っておきたいこと

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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「また、がんかもしれない――」
尿管がんの手術を終え、BCG治療を6回こなして、膀胱鏡も無事クリアした。

安心していた矢先の、造影CTでの「前立腺左側の肥大」。半年前までは問題なかったはずなのに、急速に変化していた。私自身、訪問看護師としてがん患者さんを見届ける立場でもあり、「まさか、自分が」という思いに身体も心も揺れた。

今回は、その日からの私の体験を、ストーリーとして、かつ「生検を受ける・またこれから手術を考える」方へ向けての知識共有・励ましを込めて書きます。
読者のあなたも「もし自分だったら」「家族がだったら」と、少しでも想像してもらえたらと思います。


造影CT検査結果〜検査入院決定までの感情の波

造影CTで“異変”あり

膀胱がんのフォローで定期的に受けてきた造影CT。いつものように検査の結果を聞くことはドキドキです。

左側の前立腺が腫れているとのことです。医師からは「前立腺が肥大しています。がんの可能性もあります。MRIを撮りましょう」という一言。頭が真っ白になった。
ただの前立腺肥大かもしれない、だけど前立腺肥大って片方だけが腫れるのだろうか?尿管がんの手術前にも造影CTを行っていたけど、その時は何も言われなかった…もしかしたら見落としたのかな?

なんて考えながら、詳しくはMRIを取らないとわからないとのことで検査日を待つことにしました。

しかし心の中では不安が渦巻き始めました。

まだ尿管がんの手術を受けて8か月しか経っていないのにもう次のがんが身体に巣くっている可能性がある・・・

MRI検査の結果、グレード5という告知

MRIを受け、結果を告げられたのが「グレード1〜5で“5”、きわめて悪性腫瘍の可能性が高い」という報告。診察室で、私は思わず「マジかよー…」と呟いた。椅子から崩れ落ちそうだった。


この瞬間、「逃げたくても逃げられない道」ができた。

がんのスイッチが入ってしまった。これからはがんとの闘病生活・・・


やはり自分の人生は短いんだと改めて悟ってしまいました。

2泊3日の前立腺生検の入院

すぐに検査日は決まりましたが、約一か月先。

それまで不安な毎日が続きます。尿管がんの時もそうでしたが約2か月弱を待ってからの手術。
その間、転移しないだろうか進まないだろうかと不安な毎日が続いていました。

検査名は、MRI‑US融合前立腺生検(MRIと超音波を融合して標的を狙う生検)という、少し新しい手法。
かかりつけの大学病院でも今年4月に教授が変わり、この新方式が取り入れたられたの事。

以前は、局所麻酔で検査が行われ、しかも病棟の処置室で行っていたとのことだからびっくりでした。
MRI‑US融合前立腺生検は全身麻酔下で行われるとのことで、意識があるなかでの恐怖を感じずに済みそうです。


生検当日の流れと私が感じた“あの瞬間”

検査の体位は「砕石位」

事前に外来で説明されていましたが、前立腺生検の検査の姿勢は「砕石位」という分娩をするときの体勢と全く同じです。両足を台に乗せそれが膝で降り曲がりながら左右に開いて、陰部が丸出しな姿勢。

想像するだけで恥ずかしいポジションです。しかも陰嚢ー肛門の間のところから前立腺に向けて20か所ほど針を刺し、生検をするそう。

聞いただけで卒倒しそうな検査です。(膀胱鏡を2回受けたことがあるので、だんだんと慣れてきてしまった感はありますが)

“MRI-US融合前立腺生検”という選択肢

この検査が何よりラッキーだったのは、最新の融合技術だったこと。従来は直腸経由の生検=菌のリスクも高く、抗菌薬を点滴し麻酔も局所麻酔だったと病棟の看護師さんから聞きました。

わたしも看護師ですがはじめて聞く検査の方式だったので調べてみたら、「MRI-US融合前立腺生検は、臨床的に有意な前立腺がん発見率が高い」ことが示されていました。
Xでもこの検査を受けますと言ったら、「おすすめです」と医師からのPOSTもありました。入院費は多少高いと思いますが、確実に生検し腫瘍の大きさを把握し手術が安全に行われれば良いと考えました。

前立腺生検を終えて感じたこと

全身麻酔を行った検査なので少し大掛かりかもしれませんが、「砕石位」という恥ずかしいポジションをたものではなく、意識があって検査中の会話やなんとなく伝わる感触を感じることがないのはとても大きいと思います。

生検のための穿刺も20回と聞いていましたが、より精密に検査ができていればそれでいいのではと思います。
XのPOSTでは、意識がある状態で局所麻酔で直腸から行い、とても恥ずかしかったという経験談もあれば、10か所刺されたけど、結局うまく生検ができずやり直しになったという声もありました。

やっぱり検査は正確さと恐怖がなく行ってほしいものです。


検査から手術を見据えて知っておきたい知識

50歳を過ぎたら毎年PSAの検査を!

前立腺がんは進行がゆるやかなケースが多いと調べていくうちにわかりました。

しかし私の場合は、以前の造影CTから1年も経っておらず、PSA(前立腺の腫瘍マーカー)は正常値だったのに、測ってみたら7以上もあり・・・どうやら例外的に早いらしい

(そりゃリンチ症候群で、がん細胞の変異を食止められない体だからがん細胞がすこしでもあればすぐに増殖してしまうんだろう)

前立腺がんは数年かけて進行していくゆっくりと成長するがんとありました。前立腺がんは肺がんに続く男性に2番目に多いがんとのことで、50歳を過ぎたら定期的にPSAの検査をしておくのが良いと思います。

MRI-US融合生検って何が違うの?

簡単に言うと、MRIで前立腺内部の“怪しい部分”を撮影し、超音波(US)と画像を重ねて「針を刺すべき場所」を狙う方法。これにより、従来の直腸から超音波を使って「ランダムに複数本刺す」よりも、重要ながんを見つけやすく、無駄な検査や刺し直しを減らせる可能性があります。
少し調べてみましたが・・・

  • 臨床的に有意な前立腺がんを発見する率が、従来法に比べて約1.27倍高かった。
  • 日本国内でも、標本数が少ないものの、MRI-US融合生検での検出精度が報告されています。
    つまり「できる限り精度が高い方法を選びたい」方には、この選択肢を知っておいてほしいです。

前立腺全摘手術後の“よくある後遺症”と備え

私自身はまだ手術を受けていないので体験談としては語れませんが、事前に知っておきたい事項があります。典型的なものとして:

  • 尿漏れ:術中、前立腺付近の尿道括約筋を損傷する可能性があり、くしゃみ・咳・腹圧では漏れることがあります。

私の体験から皆さんに伝えたい“3つのこと”

① 「自分の体を知る」ことは、逃げない覚悟につながる

私は「自分の体は乗り換えられない車」と思うようになりました。がんを経験してなお、この言葉を深く思います。前立腺検査を受けようというこの時点で、「私は体を守る選択をしている」のです。怖いなら、怖さを言葉にしてみてください。誰かに話すことで、覚悟は少しずつ生まれます。

どんな高級車であっても、オイル交換をしない車な長く走れず、壊れてしまいます。

② 「情報を知る」ことが安心を生む

例えば、検査方法の違いやリスク、後遺症について。私は医療者でもありますが、患者としての立場になると「知らない」ことの不安は思った以上に大きい。
だからこそ、このブログでは論文・研究データも参照しました。

看護師だからそこまでやってみたけど、一般の方なら信頼できる人や経験者に効いてみるのもいいと思います。そんな時にXのPOSTも参考になりますが、私自身が発信者として皆さんのお役に立てればと思います。

ご質問があれば、どしどしDMください!

③ 「誰かと繋がる」ことで一人じゃないと実感できる

入院した3人部屋で、私以外にも同じ検査を受ける方がいました。年上の方々で、静かに、でも確実に「その時」を迎えていました。前立腺がんは、男性では大腸がんに次いで罹患者数が多いと言われています。
私も「がんになったらどうしよう」と一人で抱えていたら、もっと孤独だったと思います。看護師・患者の立場を両方経験してきた私だから、言えます:
「助けも相談も、遠慮しなくていい。むしろ、力になるから」。
(問いかけ)あなたは、この検査を受けるにあたって誰に話しますか? まずは家族? 友人? それとも医師?誰かと“心の棚卸し”をしておくのもおすすめです。


これから生検・手術を考えるあなたへ――私からのメッセージ

  • 恐れを感じても、それは“正常”です。むしろその感情を「これは守るための第一歩だ」と受け止めてください。
  • 検査法・病院選び・手術の可能性・後遺症の備え、どれも「知らないと感じる不安」から生まれます。少し立ち止まって、パソコンを開いて、ググってみてください。
  • おすすめはMRI-US融合前立腺生検を行っている病院です
  • “待ち時間”が長いほど、不安は大きくなります。それだけ患者数も多く前例も多いはず、メジャーな検査・手術なのでその点で少し安心できるかも。

終わりに、そして次へ

前立腺生検を受けるという選択。その先にある結果を知ること・・・とても不安なはずです。私のようにがんを経験し、その先に家族や仕事があり、まだ、がんに負けるわけにはいきません。――「体を大事にすることは、自分だけじゃなく、周りの笑顔も守ること」です。

さあ、いっしょに戦いましょう!


これを読んでくださったあなたが、少しでも「ひとりじゃない」「前に進める」という気持ちを持ち帰ってくだされば嬉しいです。

また、私自身はこの先、手術を受ける予定で、そのときの体験もこのブログで共有するつもりです。私が経験した一時情報は出し惜しみなく発信していきます。


あなたの体と時間を守る一歩に――このブログが少しでも寄り添う存在になれば幸いです。

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