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治療中に気づいた「足りてなかったもの」——ビタミンD

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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ある日ふと「足りてないかも」と思った日

実は私は、長年ビタミンDが不足しているのではないかと、うすうす感じていました。

というのも、わが家ではちょっと特殊な食生活があります。私の次女は魚が大の苦手で、なんと魚介類全般が一切ダメ。昆布やわかめ、かっぱえびせんすらNGなんです。そのため、食卓にはほとんど魚介類が上がらない生活を10年以上続けてきました。

当初は「好き嫌いの範囲かな」と軽く見ていたのですが、ある日、母が骨粗しょう症の診断を受けたのをきっかけに、改めて“ビタミンD”という言葉が私の頭に強く残りました。

私は訪問看護師として日差しをよく浴びる生活をしているのに、がんを経験してからは「もしかしたら私は“ビタミンDがないタイプ”かもしれない」と感じるようになったんです。

母の骨粗しょう症、娘の魚嫌い、そして自分自身の治療経験。これらが重なったとき、はじめて「今の自分には、ビタミンDが必要だ」と、心から思いました。

いつまでも元気に歩ける身体でいたい。その想いが、今回このブログを書こうと思ったきっかけです。


看護師として知っていたはずのビタミン。でも、自分が患者になると…

私は、がん患者さんの訪問看護を長年やってきました。
栄養のことも、ビタミンDが免疫や骨に重要な役割を果たすことも、何度も説明してきました。

でも、いざ自分が「患者側」になってみると、
教科書通りにはいかない現実がありました。

食欲がないときにサケの切り身を焼く気力なんて出ないし、そもそも最近は鶏肉や豚肉よりも魚の切り身の方が高くて、手が出にくいという現実もあります。さらに、魚を焼くと家じゅうが匂うと家族から大騒ぎになるので、我が家の食卓に魚介類が上がることはまずありません。

また、日光浴といっても、そんなリゾートのような優雅な時間があるわけでもなく、がんの手術を受けてからはどちらかというとインドア中心で仕事をしていたこともあり、実際には太陽に当たる時間は意外と少なかったのです。

知識はあるのに、行動にうつせない自分がいました。
それでもどこかで、「このままでは本当に弱ってしまう」と感じていたのかもしれません。


わたしなりの「摂り方」を見つけた

実を言うと、主治医に相談したわけではありません。だけど、「ビタミンDが足りていないのでは」と気づいてから、自分なりにできることを模索しはじめました。

ネットで調べてみたり、訪問先の患者さんとの何気ない会話からヒントを得たりしながら、「じゃあ、自分に今できることってなんだろう?」と考えるようになったんです。

いきなり生活を変えるのは難しい。でも、ほんの小さなことなら、きっと続けられるはず。

  • 日光を浴びるためランニングを開始
  • 卵は毎日一個食べる
  • 内緒でサバ缶詰を買ってひとりでたべる

以前、サントリーのDHA&EPA+セサミンEXというサプリを飲んでいた時期がありました。正直そのときは、特に体感として効果は感じていませんでした。でも今思えば、もしかしたら体の中では何かしらの変化が起きていたのかもしれません。

そう考えると、「サプリに頼るのも、現代の私たちらしい選択肢のひとつなのかな」と思うようになりました。自分の生活スタイルに合わせて、無理なく取り入れていく。そんな“やさしい選び方”が今の自分にはしっくりきています。


ビタミンDって、そもそも何に効くの?

ビタミンDは、実は体の中ではカルシウムの吸収を助ける「縁の下の力持ち」。 カルシウムだけを摂っていても、ビタミンDが不足していると、骨にうまく吸収されずに流れてしまうんです。

とくに高齢者や慢性疾患を持っている方、そしてがん治療中の方は、 骨の強さを維持するためにも意識的にビタミンDを摂ることが大切だと感じました。

身近な食品だと、

  • 焼き鮭やサバ(缶詰でもOK)
  • 卵(特に卵黄)
  • 干ししいたけなどのきのこ類
  • ビタミンD強化のヨーグルトやシリアル などがあります。

「毎日食べなきゃ」と思うと苦しくなるけど、 冷蔵庫にサバ缶がひとつあるだけでも、“なんとかなる”という安心感につながったりするものです。


がん患者さんに伝えたい「体にも心にも、足りてないと感じたら…」

がんの治療中は、とにかく“削られる”ことが多いです。
体力、食欲、気力、そして「自分らしさ」。

そんな中で、
「足りない自分を責める」よりも、
「足りないことに気づいて、ちょっとだけ補う」ことが大切なんだと私は思うようになりました。

ビタミンDに限らず、体の中で足りない栄養素があることは、当たり前です。
それを「気合い」でなんとかしようとせず、
「今の自分に合ったやり方で補う」ことができたとき、
ちょっとだけ心も穏やかになる気がしました。


あなたの身体が「求めていること」に、耳を傾けてみませんか?

がんの治療中、口にできるものは人それぞれ違うし、
食べること自体が苦痛になるときもあります。

でも、そんなときこそ、
「今の私が、何を少しだけ補えばいいのか」
身体の声を聞いてあげる時間をつくってほしいなと思います。

私にとっては、それがビタミンDという存在だっただけで、
誰にとっても「小さな補い」がきっとあるはず。


おわりに:小さな日光浴が、心の奥をあたためてくれる

あのとき、窓際で5分だけ陽の光を浴びた瞬間、

目を閉じて深呼吸をしただけで、なんだか心の奥がほぐれていくのを感じました。

ビタミンの話って、ただの栄養素の話に聞こえるかもしれない。

でも、それが「自分を大切にすること」に繋がることもあるんだよ、って伝えたくて。

もしこの記事を読んで、「あー、私もちょっと気をつけてみようかな」と思ってくれたら、それだけでもう十分うれしいです。

肩ひじ張らずに、コンビニでサバ缶をひとつ買ってみるだけでもいい。

そんな小さな一歩が、あとでじわっと効いてくる——私はそう信じています。


※本記事は、私自身のがん治療経験と主治医とのやりとりをもとに構成しています。
栄養摂取やサプリメントの利用に関しては、必ず主治医や管理栄養士の方にご相談ください。

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