はじめに|がん告知がきっかけで見つけた「人生を取り戻す方法」
クリニックで「がんの可能性が高い」と告げられた瞬間、頭が真っ白になりました。
帰宅してから、先生の話をもとに病気について調べてみると——
「5年生存率は約70%」
「転移がある場合は50%」
裏を返せば、「5年後には2人に1人が亡くなっている」可能性があるということ。
亡くならずとも、再発や転移で健康に生活できている方はほんの一部。
その事実を知ったとき、私は49歳という年齢で、
「あと何年、生きられるんだろう……」
「自分の人生って、一体なんだったんだろう……」
そんな風に、これまで深く考えてこなかった“人生の終わり”を意識するようになりました。
そんな時にふと思い出したのが、以前からフォローしていたYouTubeで人気のお金の学びチャンネル『両学長のお金の大学』。
その中で紹介されていた「タイムバケット」という考え方が、今の私の心に強く響いたんです。
タイムバケットとは、「やりたいこと」を“いつやるか”まで具体的に考え、リスト化していく方法。
ただの「夢リスト」と違い、年代ごとに実現したいことを分けていくので、現実的で、前向きになれるんです。
今回は、私自身のがんとの向き合い方、そしてタイムバケットを作ってみて感じたことなどを、同じように不安を抱えている方に向けて、わかりやすくお伝えしていきます。
「今を大切にしたい」
「もう一度、自分の人生を前向きに見つめ直したい」
そんな思いのある方にとって、小さなヒントや希望になれたらうれしいです。

タイムバケットとは?やりたいことを”いつ”やるかで変わる人生設計
バケットリストとの違いは「実現性」
「バケットリスト(やりたいことリスト)」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
死ぬまでにやってみたいことをリストアップすることで、人生にワクワクを取り戻す方法のひとつですね。
でも実際に書いてみると、
「今は体力的に無理かも」
「時間やお金がかかるし、いつできるかわからない」
と感じて、リストだけで終わってしまうこともあります。
そんな時に出会ったの「タイムバケット」という考え方でした。
「タイムバケット」は人生の予定表になる
タイムバケットは、作家のビル・パーキンスさんが提唱した、「人生でやりたいこと」を年代ごとにバケツ(バケット)に分けていく方法です。
たとえば、こんなふうに分けます:
- 今すぐやりたいこと(〜50代)
- 体力があるうちにやりたいこと(60代まで)
- ゆっくり楽しみたいこと(70代以降)
- 人生の最期にやっておきたいこと
このように「やりたいこと」と「やれる時期」を組み合わせて考えることで、
ただの夢だったリストが、人生の予定表になっていきます。
私自身、がんと診断されて「この先の人生が長くないかもしれない」と思ったとき、
このタイムバケットの考え方が心を前向きにしてくれました。
「やりたいことは、まだできる」
「“今”のうちにやっておくべきことが見えてくる」
そう思えるようになったのです。
そしてもう一つ。
私はこれまで、若い頃は看護師として仕事に追われて、自分の時間や家族との時間を後回しにしてきました。
だからこそ今、若いときにできなかったことをもう一度味わいたい。
そんな想いもタイムバケットには込めています。
人生を振り返って、「あの時できなかったけど、今ならできるかも」と思えることって、実はたくさんあるんですよね。

私のタイムバケット|がん患者として「今」を大切にする生き方
がんと向き合うようになってから、私はより強く「今をどう生きるか」を意識するようになりました。
それまでは、なんとなく「そのうちやれたらいいな」と思っていたことも、病気をきっかけに「今やらなきゃ」という思いに変わったんです。
そんな私に背中を押してくれたのが、両学長のタイムバケットという考え方。
人生のステージごとにやりたいことを書き出して、「何を」「いつまでに」やるかを見える化するこの方法は、がん患者の私にとってまさに「人生の地図」のような存在になりました。
ここでは、私が実際に作ったタイムバケットの一部をご紹介します。
がんで不安を抱えている方や、何となく毎日が過ぎてしまっている方にとっても、「これやってみたいな」と思えるヒントになれば嬉しいです。

🌸 50代のやりたいことリスト|”今”だからこそできる挑戦
- 渡辺美里のコンサートに行く → 達成!
- 森高千里・TMネットワークのコンサートにも行く(アーチストがライブ行えるうちに!)
- 母とクルーズ船旅行に行く(貸切風呂がある温泉で、母の体調を気遣いながら)
- 息子の住む北海道を訪ねて、広い大地と美味しいものを堪能したい
- 妻とハワイ旅行に行く!(結婚した時の約束)
- 自然と都会、両方を旅する(バイクツーリングにもチャレンジしたい!)
- いったことのない青森・秋田・岩手・宮城・栃木・熊本・長崎・鹿児島をめぐって、47都道府県を制覇! 各地の名物料理を味わう
- 富士山の周囲をロードバイク(自転車)で一周する!
→「若いときにできなかったことを、今だからこそ味わいたい」
忙しく看護師として働き続けてきたあの頃、患者さんのためにと一生懸命勉強してきた時間を、自分のために使うんだ!
だからこそ今は、自分の心が喜ぶ体験をたくさん詰め込みたいと思っています。

🧡 60代で実現したいこと|体力があるうちに夢を叶える
- 新車のバイクを購入し、息子と一緒に北海道ツーリングへ
→ 息子と旅できる時間って限られているから、思い出をいっぱい作っておきたい - 世界の美しい海に行く(夢はモルディブ✨)
- パラグライダーや熱気球など、スリル系アクティビティに挑戦 目標はスカイダイビング!
- 全国の絶景温泉をめぐる(写真もたくさん残したい!)
- F1レースを鈴鹿サーキットで観戦する(音と熱気を肌で感じたい!)
→がんになって、「どうせ無理」と思うことが増えた。
でも、「今だからできること」もあるんです。
それを忘れたくないし、挑戦する自分でいたいと思っています。

🕊 70代以降に叶えたいこと|ゆったりと味わう人生のご褒美
- クルーズ船「飛鳥」に乗って日本を旅したい(船の旅って優雅で贅沢…一度でいいから味わってみたい!)
- 沖縄に移住して、のんびりソファで本を読むような毎日を過ごしたい
→ 心と体が休まる場所で、好きな時間に好きなことをしたい - 今の体重をキープして、ジョギング・テニス・スキーをいつまでも続けたい
→ 「歳だから」と諦めたくない。自分の体にありがとうと言える生き方をしたい
人生の終わりが急に見えてしまったような、がんという診断。
でもその分、「生きている今」をどう過ごすかに目が向くようになりました。
自分だけのタイムバケットを作ることで、「なんとなく過ぎていた日々」が「未来の準備の時間」へと変わりました。
このタイムバケット、きっとあなたの心にも新しい風を吹き込んでくれるはずです。

タイムバケットの作り方|がん患者でもできた簡単3ステップ
タイムバケットって聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。
でも実は、紙とペンさえあれば今日から誰でも始められる、とてもシンプルでワクワクする人生の棚卸し作業なんです。
私もがんを経験してから、「残された時間で本当にやりたいことは何だろう?」と自分と向き合う中で、タイムバケットに出会いました。
手術後の時間があるときに考えると痛みも忘れワクワクしたことを覚えています!
ここでは、私が実際に作っている方法を3ステップでご紹介します。
✅ ステップ①年代別に分ける
まずは、自分の人生をいくつかの年代で区切ってみましょう。
たとえば、こんな感じです。
- 〜49歳まで(すでに終わった時間=振り返りの時間)
- 50代(今!行動のタイミング)
- 60代(まだ体力がある。挑戦と経験を重ねたい時期)
- 70代〜(ゆったりと楽しむ時間)
- 80代〜(もし迎えられたら…のんびり、誰かに語れる人生を)
自分の体調や状況に合わせて、もっと細かくしたり、大まかにまとめたりしてOKです。
※がんを経験した私の場合、「体力」「家族の状況」「治療スケジュール」なども意識して区切りました。
✅ ステップ② 各年代で「やりたいこと」を書く
次に、それぞれの年代のバケットに「やりたいこと」を入れていきます。
このとき大事なのは、「無理かも」「今さら」なんて思わずに、素直な気持ちで書くこと。
大きな夢でも、小さな願いでもOK。自分の心がワクワクとするかどうかを大切にしてください。
例えば、私の場合は…
- 【50代】渡辺美里のコンサートに行く、母とクルーズ、北海道ツーリング、バイク再挑戦
- 【60代】モルディブ旅行、F1観戦、新しいチャレンジ、写真集を作る
- 【70代】クルーズ船飛鳥で旅、沖縄でのんびり読書、スポーツ継続
書き出してみると、自分の中にこんなに「やりたいこと」があったのか!と驚くかもしれませんよ😊
✅ ステップ③ 今すぐ1つだけ実行する
最後に、それぞれのやりたいことの中から、「今すぐできること」を1つ選んで、スケジュールに入れてしまいましょう。
ポイントは、「準備がいらない、すぐできること」から始めること。
私の場合は「ライブに行ってみる」がその一歩でした。
調べてみたら、意外とすぐにチケットも取れて、人生初のライブ参戦を楽しんできました!
「やりたいこと」を考えるとき、私たちはつい「全部やりきれないかも」と不安になります。
でも、大切なのは 全部できなくてもいい、1つでも行動にうつせば人生は確実に動くということ。
📓 タイムバケットの作り方まとめ
ステップ | 内容 |
ステップ① | 人生を年代ごとに区切る |
ステップ② | それぞれの年代でやりたいことを書く |
ステップ③ | 今すぐできる1つを実行にうつす |
「未来に希望が持てない」「自分には時間がない」と感じることもあると思います。
私もそうでした。だからこそ、このリストは “未来に光を当てる”ツールだと思うんです。
病気や不安があっても、今できることはある。
自分で自分を励ますためにも、ぜひタイムバケットを一緒に作ってみてくださいね。
タイムバケットを継続する6つのコツ|がん治療中でも続けられる方法
タイムバケットを作成することは大切ですが、それを実際に実行に移し、継続していくことが最も重要です。
ここでは、タイムバケットを作った後に続けるためのポイントをご紹介します。
1. 小さな目標で達成感を積み重ねる
タイムバケットに書いた内容の中には、大きな目標もあれば小さな目標もあるはずです。
例えば「クルーズ船で日本一周」などの大きな目標を設定した場合、その過程にある小さなステップも考えましょう。
「旅行に向けて貯金を始める」「船の予約をする」など、小さな行動を積み重ねていくことで、達成感を感じやすくなり、モチベーションが上がります。
2. 期限を決めて行動に移す
タイムバケットを作成した際、やりたいことに具体的な期限を設定することが大切です。
「いつまでにやる」という期限を決めることで、目標が漠然としたものから現実的なものに変わり、行動に移しやすくなります。
例えば、「3ヶ月以内に旅行を予約する」や「半年後にはジョギングを再開する」など、期限を設けることでその時期に行動する意識が芽生えます。
3. 月1で進捗を見直す
タイムバケットに書いたことを定期的に見直すことも重要です。
何かを達成したら、まずは振り返りを行い、達成感を味わいましょう。
また、達成していないことについても、なぜ実行できなかったのかを考えて、次にどう進めるかを見直すことが大切です。
その際、自分が達成したい目標に向けて努力するための「次のステップ」を具体的に決めていきましょう。
一か月に一回は見直してみて自分の夢への進捗状況を確認していきましょう。
4. 応援してくれる環境を作る
タイムバケットを続けるためには、ポジティブな環境が必要です。
周囲の人々に自分の夢や目標を共有することで、励ましや応援を受けることができます。
また、自分が目指す目標に関連するものを視覚的に目にするようにして、常にモチベーションを高めることができます。
たとえば、目標の写真を部屋に飾ったり、タイムバケットに書いた内容を壁に貼ったりすることで、常にその目標を意識しやすくなります。
5. 無理なく、自分のペースで
タイムバケットを実行する際に、無理をしないことが大切です。
健康や生活の状況に応じて、自分のペースで無理なく進めることが重要です。
例えば、がん治療中の場合、体調に合わせて目標を少しずつ実行していくことが大切です。
焦らずに、一歩一歩着実に進んでいくことで、無理なく続けることができます。
6. “楽しい”を最優先にする
タイムバケットに取り組む際には、必ず「楽しむこと」を最優先に考えましょう。
目的地に向かって進む過程も大切で、楽しみながらその時間を過ごすことで、心身ともにリフレッシュすることができます。
自分が好きなことをしているときは、自然と続けたくなるので、タイムバケットを実現することが楽しいと感じる瞬間を大切にしましょう。
【タイムバケットにおすすめの本・アイテム【行動を後押しするヒント💡】
タイムバケットを作ったら、次に役立つ本やアイテムで、自分の夢や目標に向かって一歩ずつ進んでいきましょう。
ここでは、タイムバケット作成後のモチベーションを高めてくれる本や便利なアイテムをいくつか紹介します。
📚 おすすめの本
📘 1. 『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』
著者:ビル・パーキンス
出版社:ダイヤモンド社
- ✅ タイムバケットの元になった発想を紹介
- ✅ 「死ぬまでに使い切る」という視点で、お金と時間を最適化する方法を提案
- ✅ 「いつ何をやるか?」を考える強いきっかけになる一冊
💡 がんを経験した方、限られた時間を意識する方には特に刺さる内容です。
📘 2. 『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』
著者:リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット
出版社:東洋経済新報社
- ✅ 人生100年時代に必要な「マルチステージ人生」の考え方を提示
- ✅ タイムバケット的な「年代別人生設計」を考えるベースになる
- ✅ キャリア・人間関係・お金・健康の再設計に役立つ
💡 タイムバケットを長期的に運用したい方には特におすすめ。
📘 3. 『やりたいことを全部やる!時間術』
著者:臼井 由紀
出版社:日経BPマーケティング
- ✅ 「先送りグセ」をなくし、今すぐ行動に移す時間術
- ✅ タイムバケットの「今すぐやるべきこと」に落とし込む実践書
- ✅ メンタルブロックを外して夢に近づくコツも紹介
💡 「行動に移すこと」が難しいと感じている方にぴったり。
まとめ|タイムバケットは「残された時間」を“輝く未来”に変える地図
タイムバケットを続けるためには、小さな目標の設定や期限の明確化、定期的な進捗の見直しなど、実行を支えるポイントを抑えていくことが大切です。
また、ポジティブな環境作りや無理をしない実行が、継続的な成果に繋がります。
タイムバケットはあくまでも人生を豊かにするためのツールですので、自分のペースで、楽しみながら実現していくことを意識しましょう。
タイムバケットを作ったり実行したりする過程そのものが、人生をより充実させる素晴らしい経験になります。
自分のペースで、焦らず、楽しみながら目標に向かって進んでいきましょう!