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がん治療、なぜ「標準治療」が最高なのか?|怪しい情報に惑わされる前に知ってほしいこと

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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がんと診断されたとき、多くの人が感じるのは「どうにかして助かりたい」という強い想い。ところが、その想いに比例するように、世の中には“がんに効く”とうたわれる情報があふれています。

病院の治療と並行して「○○水が効くらしい」「霊芝というキノコががんを抑えるらしい」…そんな声を耳にしたことはありませんか?

私の母も、がんになったとき、グラム数万円の霊芝を購入していました。誰かを救いたい、助かりたいという気持ちにつけこむように、“希望を売る”ビジネスが存在しているのです。

そんな今だからこそ、私は声を大にして言いたい。「標準治療はの最高の医療です」と。


情報の洪水に飲み込まれそうになったあなたへ

がんの告知を受けた瞬間、情報は怒涛のように押し寄せてきます。SNS、YouTube、知人の体験談、ネット広告…。

「医者は教えてくれない治療法があるらしい」 「この食事法でがんが消えたという人がいる」

そんな“奇跡のような話”に、思わず心が傾いてしまうのも無理はありません。

でも、その情報に医学的な裏付けはありますか? 出典や根拠、治療効果の再現性を、あなたは確認していますか?

不安なときほど、「信じたい情報」に惹かれやすくなります。

くるみん
くるみん

くるみんは学会に何回か論文を出したことがるけど、エビデンスは?出展は?など医学的証拠を明らかにするように先輩や医師から鍛えられました。だから医学的な裏付けはとても気にします。


実際に見聞きした、私の代替療法体験

私自身、小学生のころから代替療法の“信者”のような家庭環境で育ちました。毎朝、母から渡されるのは「霊芝(れいし)」を煎じた黒い液体。

霊芝とは、カチカチに干からびた高級キノコで、育てるのにものすごく時間がかかります。当時、1本で1〜2万円もする代物でした。その煎じ液は、とにかく苦い。幼心に「体にいいんだから」と言い聞かせて、なんとか飲み干していたのを覚えています。

「これを飲んでいればがんにならないから」と言っていた母ですが、4〜5年後にはがんを発症しました。子どもながらに「じゃあ意味なかったのかな…」と思った記憶が、今でも心に残っています。

楽天市場で調べてみたら、今でも霊芝のスライスが100g 4000円程度で売られているんですね。

いまならブラックコーヒーがおいしく感じるので飲めるかも?

また中学生の頃、テレビCMで「波○共鳴水」という商品が大流行していました。500mlで一本2,000円。高額なこの水は、「つわりにも効く」との触れ込みでした。

実は、私の妻が妊娠中、つわりがひどくてこの水を試してみたんです。藁にもすがる思いでした。でも結局、「ただの水だよね?」という感じで…効果は感じられませんでした。夫婦で「鈍感だったのかな」と笑いましたが、あれも不安や苦痛を煽ったビジネス戦略だったんでしょうね。


標準治療とは、科学と人の命を救う歴史の集大成

「標準治療」とは、ただの“平均的な治療”ではありません。

何万人、何十万人という患者のデータをもとに、「もっとも効果が高く、安全性が確認された治療法」として科学的に導き出された、根拠ある最前線の治療なのです。

たとえば抗がん剤のレジメン(投与方法や組み合わせ)も、がんの種類・進行度・体の状態にあわせて細かく決まっています。

私自身、BCG療法という標準治療を受けましたが、がんの種類、再発のリスク、年齢、体力など…すべてを考慮したうえで提案され納得して治療しています。

副作用もあります。それでも、効果とリスクを比較し尽くしたうえで選ばれた、もっとも信頼できる治療法だったと思っています。


海外でも標準治療は主流です

「海外では抗がん剤治療は行われていない」という情報を目にしたことはありませんか?

実はそれ、大きな誤解です。実際には、アメリカやドイツをはじめとする欧米諸国でも、日本と同様の抗がん剤治療が“標準治療”として行われています。

世界的に有名なNCCN(米国がんネットワーク)や、ESMO(欧州臨床腫瘍学会)などが発行するガイドラインに基づいて、多くの病院で治療が進められており、日本もそれらと連動した方針を採用しています。

そして実は、多くの抗がん剤や分子標的薬は、そもそもアメリカや欧州で開発されたもの。日本で使われている薬剤の多くが海外発祥であることを考えると、「海外では使われていない」という説は事実とは異なります。

たしかに一部では自然療法や代替医療を選ぶ患者もいますが、それは日本でも同様。どの国もまず第一選択として標準治療を提供し、それでもなお希望があればセカンドオピニオンや補完医療に進む流れです。

つまり、標準治療は世界で共有されている、科学の“共通言語”なのです。


がん患者がつい惹かれてしまう「代替療法ベスト10」

では、なぜ人は「標準治療」ではなく、「代替療法」に傾いてしまうのでしょう?

そこには、不安・恐怖・医療者との信頼関係の不足…さまざまな要因があります。

以下に、実際に日本でよく目にする代替療法・民間療法をまとめてみました。

1. 水素水・水素吸入

「活性酸素を除去する」とうたわれるが、信頼性のある効果データはない。

2. 高濃度ビタミンC点滴

一部の臨床研究はあるが、日本では保険適用外。治療効果は未確立。

3. 霊芝・アガリクスなどのキノコ系サプリ

「免疫を高める」とされるが、確固たる医学的証拠は乏しい。

4. 岩盤浴・マイナスイオン・遠赤外線療法

温熱で血流改善を狙うが、がんの治療効果は確認されていない。

リラクゼーション目的で利用していますが、これが効いたらたらみんなやるよね!

5. ○○水(酵素水・還元水など)

“体質改善”がうたい文句だが、科学的根拠に欠ける。

生命の源は水だから、その水を改善したら・・・
がん細胞も、もしかしたら元気になってしまうかも?

6. 玄米菜食・マクロビオティック

体に良いとされるが、極端な制限が栄養失調につながるリスクも。
がん治療をやめて、極端な食事療法はまずいよね!
食べられないときには、少量でも高カロリーが基本!

7. 気功・波動療法

「エネルギーでがんを治す」とされるが、客観的データはない。

8. 重曹療法

「がんは酸性だから中和すれば治る」という理論。危険性が指摘されている。

9. CBDオイル

初めて知りました。
痛みや不眠緩和に使われるが、がん治療そのものの効果は未証明。

10. 断食・ジュースクレンズ療法

デトックス効果をうたうが、がん患者には体力低下のリスク大。

がん細胞はどんどん栄養を奪っていくので、さらに栄養が入らないと体力は極端に落ちます。


「効いた気がする」の正体とは?

「代替療法をやってよかった」という声は確かに存在します。

でも、それは

  • プラセボ効果
  • 時間経過による自然な治癒
  • 標準治療との併用による誤認

などが理由である場合がほとんどです。

何より怖いのは、「標準治療をやめてまで代替療法に走る」こと。効果が不確かなうえ、時間を無駄にしてしまう可能性もあります。


まとめ|“最高の治療”は、いつも目の前にある

がんとの闘いは、不安・葛藤・揺れる気持ちの連続です。

でも、そんなときこそ信じてほしい。標準治療は、「普通」ではなく、「最も信頼できる選択肢」だということを。

もし、今あなたが治療法に迷っているなら、一度立ち止まってこう問いかけてみてください。

本当に命を託せる治療法は、どこにあるだろう?
標準治療は最高医療‼ これを忘れないでください。

あなたの選択が、希望につながりますように🍀

信じるのは自由!

「病は気から」で回復するケースも、もしかしたらあるかもしれません。


でもそれは“個人の話”であって、他人に推奨するには慎重さが必要です。


効果があった人は「他の人にも知ってもらいたい」と思うかもしれませんが、それがいつの間にか企業や団体のプロパガンダになってしまうこともあります。

情報が大きな力を持つ時代だからこそ、「伝える責任」も意識したい。


誰かを守りたいからこそ、広めるときには一呼吸おいて考えてみる


それもまた、優しさだと私は思います。

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