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「辛い気持ち、ここに置いていってください」——がん患者の私が見つけた“やさしさの場所はX”

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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はじめに——あなたの気持ち、置いていってもいいんです

誰にも言えない不安。夜中にふと湧いてくる孤独。病気と向き合う中で、そんな感情を抱えていませんか?

私もそうでした。がんと診断されたあの日から、見えない不安に押しつぶされそうになりながら、それでも「強くあらねば」と自分を奮い立たせていました。

でも、ある日、Xで「辛い気持ち、POSTして」と投稿したとき——「泣いてしまいました」という声が届きました。そこには、涙を我慢していた人たちの本音がありました。

この記事では、がん患者であり、看護師でもある私が経験した“心の重さ”と、言葉にすることで少し軽くなれた体験を、そっとシェアします。あなたの心が少しでも軽くなることを願って。

心が張り裂けそうなとき、どこに吐き出せばいいのか

病気のことを考えると眠れない夜

がんの確定診断を受けたあの日から、眠れない夜が続きました。看護師として日中は動き回っているため体は疲れているのに、夜になると心がざわつき、不安に飲み込まれてしまう。寝ても1〜2時間で目が覚めて、また眠れない。そんな夜が何日も続きました。

時には睡眠薬を頼ったこともありました。でも、効き目が強すぎたのか、ふと起き上がった瞬間に意識を失って膝から崩れ落ちたことも。あの時期は、がんかもしれない——そんな想像が止まらず、家族のこと、子どもの学費、自分の命のことまで、不安が頭の中をぐるぐる回り、まるで煙のように心にまとわりついていました。

誰にも弱音を言えない辛さ

当時、誰に相談していいのか分からず、ただ不安を抱えるばかり。妻には血尿が出た段階から伝えていましたが、がんの可能性が高くなっても、経営者という立場もあって「手術すれば大丈夫」と前向きに装っていました。

でも本当は、弱音を吐きたかった。怖い、つらい、どうしたらいいか分からない……でも、50歳を前にした男が「つらい」なんて言っちゃいけない。そんな思いが口を塞いでいました。

心の中に溜め込んだ感情

以前Twitterで傷ついた経験もあり、しばらく離れていました。でも、もう一度、匿名で自由につぶやける場所が欲しいと、X(旧Twitter)にアカウントを作り直しました。投稿は自分の感情を整理するための備忘録と不安の表出場所。

不安やネガティブなことにも、共感の「いいね」や温かいコメントが届く。そんなやりとりが、少しずつ心の中の詰まりを溶かしてくれました。そしてある時、こんながん患者で看護師の自分の言葉が「救いになった」と言ってくれた方がいました。それが、まるで新しい“居場所”を見つけたようで、うれしかったんです。

Xで呼びかけた「辛い気持ち、POSTして」のこと

この投稿に込めた思い

【辛い気持ち POSTして】 つらい気持ち、言葉にしてPOSTしてください。 不安や不満、ネガティブなこと——全部、あなたの大切な感情。 誰かが聞いてくれるだけで、心が少しスッとするから。 ここでは、無理に強くならなくていいんです🍀 がんと闘病している方とそのご家族の方が“軽く”なれば幸いです。

私たちの社会では、「ネガティブなことは口にするべきじゃない」「言葉は言霊」といった風潮が根強くあります。でも、だからこそ言えない不安や不満が、心の中で膨らんでしまうんです。

私自身も、Xでその想いを吐き出したことで、次の日がほんの少し楽になりました。だからこの投稿には、「ここに吐き出していいんだよ」というメッセージを込めたんです。

届いた声——「読んで泣いてしまいました」

この投稿を見た方から、こんなメッセージが届きました。

「この投稿を読み、子どものように一人で泣き崩れました。いつも笑顔で『あなたはきっと大丈夫よ』と励ましてくれる妻の前では、涙を流せなかったから…」

奥さまの愛情も、その方の苦しさも短い言葉に詰まっていて、胸が熱くなりました。私も、同じように涙を見せられなかった経験があるからこそ、心の奥にじんわり響きました。

日本のどこか、あるいは海外にいる日本人にまでこの投稿が届いていることを知り、がん患者であり、看護師でもある自分の言葉が役に立てたことに誇りを感じました。

感情を言葉にすることの、癒しの力

強がらなくていい、我慢しなくていい

「男だから」「親だから」「大人だから」……そんな枠にとらわれず、弱さを見せていいんです。人は誰しも弱い部分を持っています。我慢し続けていたら、どこかで必ず破綻してしまう。だからこそ、頼れる人には頼ってください。

そしてもしリアルに頼れる人がいなくても、Xでつながった誰かがあなたの味方になってくれるかもしれません。まずは、言葉にしてみること。それだけで心が軽くなることがあります。

涙を流すことは、前に進む力になる

涙は、ただ悲しみを表すだけのものではありません。積もった不安や痛みを、少しでも外に出そうとする自然な反応なのかもしれません。涙のあとに少しでも余裕が生まれたら、それは希望や未来を迎える準備ができたということ。前に進むためのエネルギーになるのです。

「誰かが見てくれている」という安心感

あなたは、ひとりじゃありません。家族や友人、そしてSNSの向こう側には、同じように不安と闘っている人たちがいます。

誰かに声をかけるのは勇気がいります。けれど、一言「つらい」と言えたら、その瞬間から誰かがあなたを見守ってくれる。あなたには、味方がいます。

「やさしさの場所」をあなたへ——ここがそのひとつでありますように

Xでは、本当に多くのがん患者さんたちが日々の思いを投稿しています。治療中の方、これから手術を控えている方、告知を受けたばかりの方、もう治療がないと伝えられた方……どの人も、あなたの声を否定せずに受け止めてくれるはずです。

そして、あなたの言葉が、きっと誰かの救いにもなる。勇気をもって、一言だけでもいい。POSTしてみませんか?

あなたは、独りじゃない

リアルの世界ではそばにいなくても、SNSの世界には、あなたを気にかけ、見守っている人がたくさんいます。

同じように不安を抱えている人、がんと闘っている人が、あなたの一言を待っているかもしれません。POSTしてくれたら、私はその声に応えます。

——私も、そのひとりです。

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