手術という大きな節目を迎えるとき、多くの方が痛みや再発への不安で頭がいっぱいになります。
私自身もそうでした。
でも、見落としがちな“術後の便秘”——これは、心身ともに大きな負担となるものでした。
今日は、看護師である私が体験した「術後の排便困難」と「酸化マグネシウムの活用」について、患者さんの視点も交えてお伝えします。
術前の「うっかり」——便秘への備えを忘れていた
便秘のリスクを見落とした私
看護師としては本来、術前の面談時に「便秘のリスク」を医師に伝え、酸化マグネシウムなどの処方を検討してもらうべきでした。
しかし、私は“がん”という現実と、これから受ける大手術に意識が集中してしまい、術後の排便については完全に盲点でした。
今思えば、これは看護師として恥ずかしく、悔しい失敗でした。
術後の痛みと排便困難——想像を超える日々
想像以上の痛みに耐える毎日
術後の痛みは、私の想像をはるかに超えるものでした。
体を少し動かすだけで気絶しそうになり、横を向くのも一苦労。
術後2日目までは硬膜外麻酔が効いていましたが、その後はカロナール(アセトアミノフェン)を中心に、さまざまな鎮痛薬を使用しました。
やがて非麻薬性オピオイドのトラマール(トラマドール)も追加されました。
これは鎮痛効果は高いものの、副作用として便秘を引き起こしやすい薬です。
さらに痛みの影響で、水分が思うように摂れず、体内の水分が不足した状態が続いていました。
食事は再開、でも排便が来ない…
私の手術は腎臓摘出であり、消化管は触れていなかったため、食事は手術翌日の夕方から始まりました。
1日中痛みに耐えている中で、食事は唯一の楽しみでもあり、毎食しっかり完食していました。
ところが、術後5日目頃になってようやく「あれ?便が出ていない」と気づきました。
腹部が張ってきた感じもあり、もしかするとこれが痛みの一因かも、と不安になりました。

酸化マグネシウムの内服、そして摘便
そのあたりから、医師にお願いして酸化マグネシウム(マグラックス)を処方してもらいました。
しかし、すでに便は硬くなっていたようで、排便のタイミングを逃していたのかもしれません。
術後7日目——
ついに、どうしても出なくなってしまい、看護師としての経験を活かして自ら摘便*を実施。
*摘便(てきべん)とは、肛門付近に溜まった便を手でかき出す医療的な処置です。
49歳の看護師が、同業の看護師に「摘便してもらえませんか」とは言い出せず、自分で処置するしかありませんでした。
あのときの痛みと情けなさは、今でも忘れられません。
その後も酸化マグネシウムが支えに
腹圧をかけられるようになるまでの間、酸化マグネシウムは毎日の排便習慣を維持する大きな助けになりました。
しばらくは手放せない薬となりましたが、服用とともに水分摂取を意識するようになり、徐々に自然なお通じへと戻っていきました。
酸化マグネシウム服用時の注意点
酸化マグネシウムは、腸内の水分を集めて便を柔らかくする作用があります。
刺激性の下剤とは異なり、自然に近い排便を促しますが、使用にはいくつかの注意点があります。
✅ 服用時のポイント
- 必ず水分を多めに摂ること(コップ1〜2杯以上)
- 脱水状態では逆に便が硬くなりやすい
- 定期的に服用しても、効果が現れるまで1〜2日かかる場合がある
- 自己判断での増量・長期使用は避ける
服用中に便秘が悪化する、あるいはお腹が張る・痛むなどの症状がある場合は、必ず医師に相談してください。

この経験から伝えたいこと
手術後の便秘は、単なる「出ない」不快感にとどまらず、精神的にも身体的にも大きなストレスになります。
私のような体験を、少しでも誰かが回避できるよう、このブログを書きました。
術前に医師に便秘リスクを伝えて処方を相談すること、そして術後は痛みとともに排便管理にも目を向けること。
この2点を意識するだけで、術後の回復は大きく変わると思います。
まとめ|“出せない苦しさ”は、誰にでも起こりうる——だからこそ事前準備を
術後の痛みや不安に意識が集中する中で、便秘という見落としがちな問題が、心と体に想像以上のダメージを与えることがあります。
私は看護師でありながら、その便秘対策を忘れ、苦しんだひとりです。
「出したくても出せない」「言えない」「頼めない」——そんなもどかしさと恥ずかしさを味わいました。
だからこそ、これから手術を受ける方には、ぜひ便秘対策も術後ケアの一部として意識してほしいのです。
酸化マグネシウムのような緩下剤の正しい知識や使い方を知り、水分摂取を心がけること。
そして何より、「一人で我慢しすぎない」こと。
このブログが、術後の不安を少しでも和らげるヒントとなれば、私の体験も無駄ではなかったと思えます。
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※本記事は筆者の体験に基づく情報提供を目的としており、個別の医療判断を行うものではありません。服薬や治療については、必ず主治医・医療機関の指導に従ってください。