まさか、こんな“かゆみ”に悩まされるなんて
BCG治療が終わって、心の中では「一段落」と思っていた頃。ふと気づくと、体がやけに“かゆい”日が増えていたんです。
最初は、たまたま肌が乾燥してるだけかと思いました。でも、おかしい。ウエストのゴムが当たる部分や、サンダルのバンドの跡がじんじんとかゆい。前腕の露出している部分も、ほんの少しの摩擦で赤く腫れてしまう。
「これって、蕁麻疹?」そう気づいたときには、毎日のように抗ヒスタミン薬を飲む生活になっていました。看護師として「物理性蕁麻疹かな」と推測できても、自分の体で起きていることに対しては、やっぱりショックでした。
“治療が終わったら元の体に戻れる”と思っていたのに、なぜ?

私の前身に起こった蕁麻疹3選
・ウエストの締め付け部分
・サンダルのバンド部分
・半そでで外部刺激にさらされる部分
これは私だけ?治療後に感じた“体の変化”
蕁麻疹にもいろいろある——物理性・接触性とは
蕁麻疹にはさまざまな種類があります。中でも、私のように「ゴムの締め付け部分」や「前腕の露出部分」にかゆみが集中するケースは、物理性蕁麻疹(機械的刺激によるもの)や接触性蕁麻疹(特定の物質との接触によるもの)の可能性があります。
物理性蕁麻疹は、皮膚への圧力や摩擦・寒暖差などの物理的刺激によって誘発されるタイプです。
接触性蕁麻疹は、特定のアレルゲン(ゴム、金属、植物など)に触れることで即座に皮膚反応が起きるものです。
看護師としてこれらの蕁麻疹について知識はあったものの、実際に自分の体で体験するとは思ってもいませんでした。

私のかゆみの履歴書——アレルギー体質と感じた変化
もともと私はアレルギー体質でした。特に“くるみ”に対するアレルギーが強く、知らずに口にすると、全身にじんましんと強いかゆみが現れたことが何度もあります。そのため、食品表示を細かくチェックするのは習慣になっていました。
また、忙しくて体調が不安定な時期には、全身に膨隆疹が出て、掻きむしりたくなるようなかゆみに襲われることも。
けれど、がんの手術とBCGによる免疫療法を終えて半年ほど経った今、私が最も悩まされているのは、想像を超える「かゆみ」です。
ブログを書いている今も、キーボードに向かう手のひらがじんじんとかゆい。何もしていないのに、全身がムズムズと熱をもったようにかゆくなる。これは、私にとって初めての感覚でした。
ウエストのゴム、腕の露出、夏がつらい
最初に異変を感じたのは、BCG治療の後半ごろ。手術によって腎臓を摘出した右ウエスト部に傷があり、その治りかけのかゆみかと思っていました。
けれど、かゆみは傷口だけでなく、ウエスト全体に広がり、ワセリンやレスタミンクリームを塗っても追いつかなくなりました。
さらに、夏が近づき半袖で過ごすようになると、前腕のかゆみが異常なレベルに。赤くなり、みみず腫れのようになり、ときには細かい水ぶくれまでできるようになりました。
どうやら、皮膚が物理的な刺激(摩擦・圧迫・露出)に対して過敏になっているようです。
日常生活の中で、こうした刺激を少しでも軽減するために、私はいくつかの工夫を取り入れるようにしています。
日常生活でできる5つのかゆみ予防対策
- UVカット素材の長袖を着用する:夏でも、直射日光と摩擦を避けるために長袖を選ぶようにしています。
- 肌にやさしい衣類を選ぶ:コットンやシルクなどの柔らかく通気性のある素材を選び、化学繊維の刺激を避けています。
- 締め付けの少ない服装にする:ゴムやベルトの圧迫が強い部分は避け、ゆったりした服を選んでいます。
- 保湿をこまめに行う:ワセリンや低刺激の保湿剤を使い、バリア機能を守るよう意識しています。
- 肌が触れる部分に“予防クリーム”を塗る:物理的な刺激を受けそうな部分には、あらかじめ薄くワセリンなどを塗って保護しています。
こうした工夫を日常に取り入れるだけでも、肌への負担が少し和らぐ気がします。

・夏場でもUVカット加工された長袖を着たり、保湿クリームやワセリンで皮膚を保護しています。
かゆみ止めは、私の“必需品”になった
あまりにも日常生活に支障が出て、以前娘に処方されていたかゆみ止めを試しましたが、効果は一時的。ついにかかりつけ医を受診し、抗ヒスタミン薬を処方してもらいました。抗ヒスタミン薬は、肥満細胞から分泌されるヒスタミンという“かゆみの原因物質”の働きを抑えることで、かゆみの発生を軽減してくれます。
私の経験上、内服して30分ほどじっと我慢していると、気がつけばかゆみはすっと引き、平穏な時間が戻ってきます。
今ではかゆみ止めが手放せない生活になってしまいました。通勤バッグの中には、抗ヒスタミン薬とステロイド軟膏を常に入れて持ち歩いています。
治療は終わったけれど、体はまだ戦っている
がん治療後の“自律神経のゆらぎ”という視点
「がん治療後は体質が変わる」とよく聞きます。実際に私も、自分の体に何が起きているのか、はっきりとは分かりません。
でも、もしかしたら——治療中に高ぶっていた交感神経が、今も優位なままなのでは?
手術や免疫療法、通院、不安、緊張… それらの積み重ねが、自律神経のバランスを崩し、皮膚のバリア機能を弱めているのかもしれません。
そして何より、「がんと共に生きるストレス」は、治療が終わっても続いています。
かゆみという“静かな副作用”と付き合うために
治療が終わったはずなのに、心と体がまだ「戦闘モード」のままでいるような、そんな感じ。私はいま、「かゆみ」という形でその戦いの余波と向き合っています。これはもしかしたら、誰にも見えない、けれど確かに存在する副作用なのかもしれません。
あなたにも、こんな症状はありませんか?
- ウエストのゴムやブラのアンダーで、かゆくなることは?
- 前腕や首元など、露出部にみみず腫れのような赤みが出ていませんか?
- 最近、なんとなく「体が敏感」になったと感じていませんか?
「かゆみ」は軽く見られがちだけど、本人にとっては日常を壊すほどのつらさを伴います。
もしあなたも、同じような症状に悩んでいるなら、どうか我慢せず、信頼できる医師に相談してみてください。
※なお、この記事は私自身の体験に基づいて書かれたものであり、がん治療と蕁麻疹や皮膚過敏との医学的な因果関係を示すものではありません。
さいごに
治療が終わったあとに出てくる“見えない不調”に、ちゃんと名前をつけて、声に出していくことが、自分自身を大切にする第一歩だと思っています。
そしてなにより——「私だけじゃなかった」と思えることが、何よりの救いになるから。
今日も、かゆみに耐えながらも、一歩ずつ前へ進んでいるあなたへ。 どうか、あなた自身を責めないでくださいね。
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