もし、あなたが、ある朝突然「腫瘍の可能性が高い」と告げられたら——
金曜日の午後、総合病院で受けた造影CT検査の結果。
その知らせは、月曜日の朝、まだ頭がぼんやりしている時間に突然届きました。
開院前のクリニックから、緊急の電話。
「腫瘍の可能性が高いので、これから受診できますか?」
たった一言で、心臓が激しく脈打ち、体中から冷や汗が噴き出しました。
それまで血尿は「結石だろう」と楽観視していた私の頭の中で、すべてが一瞬にして組み上がる。
腎臓の腫れ、血尿、そして「腫瘍」。
現実が静かに、しかし確実に迫ってきました。
“がん”という現実が、少しずつ目の前に迫る瞬間。
恐怖と混乱が入り混じりながら、何もかもがその瞬間から変わり始めました。
治療の恐怖より、言葉の重みを感じた瞬間
クリニックに駆けつけると、泌尿器科の先生は深刻な顔で画像を示しました。
「尿管の上部に腫瘍らしきものがあります。
筋層浸潤の可能性も否定できません。今日これから、大学病院を受診してください。」
喉がカラカラで、何も言葉が出てきませんでした。
大学病院への紹介状、急ぐ連絡。
気づけば9時前、10時には受診予定。
急いで職場に戻り、すべての予定をキャンセルしなければならなかった。

職場での「その一言」
職場に戻り、事務スタッフの女性に正直に事情を説明しました。
「実は……がんの可能性があるって言われて……これから大学病院に行かなくちゃいけないんです。」
声は震え、頭の中は真っ白。
そんな私に、彼女は真顔でこう言いました。
「病は気から、ですよ。」
その瞬間、時間が止まりました。
彼女に悪気がなかったことは分かっている。
でも、その一言が、私の心にナイフのように刺さったのです。
1.「病は気から」の一言に心を閉ざして
「病は気から。」
それは励ましだったかもしれない。
でも、私にはあまりにも残酷な響きでした。
心の扉は、そっと、しかし確実に閉じました。
そして気づきました。
私も看護師として、かつて患者さんに「善意」で同じような言葉をかけていたかもしれない、と。
この経験が、患者さんに寄り添う言葉の重みを、私に深く刻み込んだのです。
2.読者のあなたへ問いかけます
もし、あなた自身が「がんの可能性がある」と告知されたら、
どんな言葉をかけられたら救われるでしょうか?
逆に、どんな言葉に傷つくでしょうか?
そして、大切な人が「がんかもしれない」と打ち明けてきたとき、
あなたならどんな言葉を届けますか?
——どうか、一度立ち止まって考えてみてください。
あなたの一言が、誰かの心を支える力になるかもしれません。
3.がん患者への言葉がけの難しさ
がん患者さんの心には、
「死のイメージ」と「孤独な闘い」が静かにのしかかっています。
安易な励ましや、過剰なポジティブは、
ときに患者さんをさらに孤独に追い込むことがあります。
告知直後の患者さんには、
「不安ですよね」「怖いですよね」と、
ただただ、寄り添う言葉を。
ポジティブな声かけは、患者さんが前を向こうとしたタイミングで。
タイミングを間違えないことが、心に寄り添う一歩だと、私は強く感じました。
寄り添うために大切なこと
特別な言葉はいりません。
ただ、「あなたの味方だよ」というメッセージを、行動や姿勢で伝えてください。
- 否定せず、ただ共感する
- 必要なときに、そっと手を差し伸べる
- 普段通りに接し、患者さんが孤独を感じないようにする
そして何より、
「あなたは一人じゃない」
この思いを届けてください。
【読者の皆さんへ】
もし今日、誰かに優しい言葉をかける機会があったら、
その言葉に、そっと寄り添う「心」を込めてみてください。
あなたのその一言が、誰かの心を支える光になるかもしれません。
🌟 終わりに
あなたが発した言葉が、誰かの心を癒す力になれば、このブログはきっと意味を持つものになります。
言葉の力を信じて、そっと寄り添ってみましょう。