はじめに|“健康”は、当たり前じゃなかった
「まさか、自分ががんになるなんて」
そう思ったあの日から、私の“当たり前”は静かに崩れていきました。
目覚ましを止めてバタバタと始まる朝。
仕事に追われて食事は後回し、睡眠は削って当然。
「忙しいから仕方ない」——そんな言い訳で、
私は自分の体の声に耳を傾けることをやめていたのです。
でも、がんと診断されたあの日、私は初めてこう問いかけました。
「今の自分は、ちゃんと“生きて”いるんだろうか?」
がんをきっかけに、ようやく見えた“体との関係”
病気を通して、私は初めて「体と心は資産」だと実感しました。
栄養を摂ること、眠ること、動くこと——
それは“頑張るための手段”ではなく、
「今を心地よく生きるための土台」だったのです。
今振り返れば、私の体はずっと信号を送ってくれていました。
疲れ、重だるさ、不調——それらは決して“年のせい”なんかじゃなかった。
見て見ぬふりをして、無理を重ねた先に、“がん”という現実が待っていました。
だからこそ今は、心と体の声に耳を澄まし、
きちんと向き合うようにしています。
私が未来に希望を持てた5つの理由
1. 愛情 —— 夫婦に戻れた時間
がんと診断されたことで、最初に感じたのは「孤独」でした。
もしかすると命に限りがあるかもしれない、そんな不安に襲われたとき、私は初めて本当の意味で「支えてくれる人」の存在を実感しました。
それは、妻でした。
これまでの私たちは「子育て中の父と母」。
それぞれの役割に追われ、仕事と家事と育児で手一杯。
夫婦でありながら、どこか“共同経営者”のような距離感だったかもしれません。
でも、がんが疑われたその日から——
今まで別々の部屋で寝ていた私たちは、再び同じ空間で眠るようになりました。
夜中にふと目が覚めると、そばで寝息を立てている妻の存在がありました。
不安なとき、ただ寄り添ってくれる。
言葉で励まさなくても、そばにいることで心が和らぐ。
そんな静かな愛情に、私は何度も救われました。
「あぁ、僕はまだ大切にされているんだな」
「この人と“夫婦”として生きていけるんだな」
父でも母でもない、“ふたり”に戻った気がしました。
それは、がんがくれた――皮肉だけど、かけがえのないギフトだったのです。

2. お金 —— モノではなく“体験”のために使うように
がんと向き合うようになって、私の中でお金の見え方が大きく変わりました。
以前の私は、「お金=モノを買うための手段」だと考えていました。
人よりいい服を着たり、いい車を持ったりすることに価値を感じ、
そのために働き、時間を削り、健康も後回しにしていたように思います。
けれど、がんと診断されたその瞬間、私は思いました。
「このまま働けなくなったら、自分は何のために生きるのか?」と。
そこからです。
お金はモノではなく、“体験”に使うものだと気づいたのは。
- 家族そろってのいちご狩りと外食
- 初めてのライブ
- 親友とスタバでコーヒーを飲みながらの会話
こうした体験は、記憶として心に残り続けます。
そして、体が元気である「今」しかできないものもある。
だからこそ私は、これからのお金の使い方を「自分が満足できる経験」に重きを置くようになりました。
人目ではなく、自分の心が喜ぶかどうか。
それが、お金の“使い方の基準”になっています。
同時に、未来を見据えて「お金に働いてもらう準備」も進めました。
がんの治療によって、これまでのようには働けない可能性もある。
だからこそ、投資信託を中心とした資産運用、
そしてブログアフィリエイトというストック収益の構築にも取り組んでいます。
お金は、人生を豊かにするためのツール。
ただ稼ぐだけ、ただ使うだけじゃない。
「何に使うか」「どう生かすか」で、その人の生き方までもが変わるのだと思います。
あなたは、何のためにお金を使っていますか?
その支出は、心をほんの少しでも満たしてくれていますか?

3. 時間マネジメント —— “あと5分”が、もったいなくなった
かがんと向き合うようになって、一番変わったことのひとつが「時間の価値観」でした。
以前の私は、気がつけばぼんやりとテレビを眺めていました。
バラエティ番組を見て、笑って、何の感想も残らないまま時間が過ぎていく。
「癒しだからいいじゃないか」と自分に言い聞かせていたけれど、
本当にそれは“自分の人生を前に進めてくれる時間”だったのだろうか?と今は思います。
目覚まし時計が鳴ったときも、「あと5分」とつい寝直すのが習慣でした。
でもある時、ふと考えました。
「もし、人生があと5分延びるなら、何がしたいだろう?」
「その5分を、いま、寝過ごしてしまっていいのだろうか?」
そんな問いを持つようになってから、
目覚ましが鳴ったらすぐ起きて、すぐ行動するようになりました。
テレビのニュースも、政治の話題も、世の中の“正しさ”も大事だけれど——
それを受け身でただ見ているより、
「自分の手で自分の人生を良くする」ために時間を使いたいと思うようになりました。
たとえ、あとどれくらい生きられるかわからなくても、
だからこそ——限られた時間をどう使うかは、自分で選べる。
あなたの今日の「あと5分」、どう使いますか?
その5分で、何を始められると思いますか?かつての私は、テレビを流し見し、
朝は目覚ましを止めて「あと5分…」と布団にくるまる日々でした。
でも、もし人生があと5分延びるとしたら?
その5分で、何ができるでしょう?
今の私は、目覚ましが鳴ったらすぐ起きて、行動を始めるようになりました。
無意識に浪費していた時間が、どれほど大切だったかに気づいたからです。
今日の「あと5分」、あなたはどう使いますか?
その5分で、何を始められると思いますか?

4. 感情への気づき —— センシティブな自分にOKを出せた
がんになってから、私は自分の“繊細さ”に気づきました。
「2人に1人ががんになるんだから、大丈夫」
「そんなに深刻じゃないよ、見た目も元気そうだし」
「営業職なんだから脱毛した人が前に出るのはちょっと…」
——こうした言葉に、ひどく傷ついていた自分がいました。
昔の私なら「こんなことで…」と自分を責めていたかもしれません。
でも、今は違います。
「これを不快に感じる自分は、間違っていない」
「その気持ちは、ちゃんと抱きしめてあげていいんだ」
そう思えるようになったのは、自分の感情を大切にする決意が生まれたからです。
私は、人間関係を見直しました。
表面的なつながりにエネルギーを使うのをやめ、
LINEを整理し、自分にとって心が穏やかでいられる関係を残しました。
“嫌い”を我慢しない、“しんどい”を我慢しない。
それは逃げではなく、「自分を守るための選択」です。
そして今、私はX(旧Twitter)という空間で、同じように葛藤しながらも前を向こうとしている仲間とつながっています。
私の投稿に共感してくれる人たちは、優しくて、あたたかくて、
そこには「安心して感情を出してもいいんだ」と思える空気があります。
つらいときに誰かの言葉に救われたなら、
その感情は、大事にしてあげていいんです!

5. 健康(食事)—— “この一台”を長く走らせるために
私たちは、たった一度きりの体に魂を宿して生まれてきます。
それは車のように、壊れたら買い替えることはできない——
“乗り換えられない一台”なのです。
がんと向き合って初めて、私は自分の体を「メンテナンスすべき存在」として見つめるようになりました。
それまでは、脂肪肝と言われてもピンと来ず、
マヨネーズをご飯にかけて食べたり、野菜を意識して摂ることもありませんでした。
“とりあえず満腹になればいい”という食生活でした。
でも今は違います。
三食、野菜を意識して摂るようにし、
食べる順番も「野菜→タンパク質→糖質」へ。
おかげで自然と満腹感が得られ、糖質の過剰摂取も防げるようになりました。
脂肪肝の改善も目指して、毎日の4キロランニングも続けています。
全身を使うラジオ体操は、まるで車の定期点検。
「今日はここが張ってるな」「この動きがしにくいな」——
そんな小さな変化に気づけるようになりました。
そして、「休む」という整備作業も忘れません。
週に2日はしっかりと休息を取り、仕事のことは考えず、
ストレッチをして、体を労わる。
長く走り続けるためには、休むことも“前進”なんだと知りました。

おわりに|人生という長い旅を、あなたらしく走るために
がんは多くのことを奪うように見えて、
実は本当に大切なものを照らし出してくれる“光”なのかもしれません。
愛情、時間、お金、感情、健康——
どれも見落としがちだった“当たり前”を、大切に思えるようになった今、
私は前よりもずっと、自分の人生を“自分の意思”で走っている実感があります。
あなたは、自分の体をどんな乗り物だと思っていますか?
今日、どこへ向かって走りますか?
その旅路を、心から応援しています。