がん治療中「食べられない」ときの理由と乗り越え方
がん治療中、「食べ物を見るのもつらい」と感じることは少なくありません。 それは体調の変化、薬の副作用、味覚障害、気温の影響など、さまざまな要因が関係しています。
私自身、治療中に食べられなかった経験があります。 そんなとき、訪問看護の現場で利用者さんが実践していた「食べ方の工夫」を思い出しました。
この記事では、看護師として、そしてがん患者としての経験から、「がん治療中の食欲不振に対する食事の工夫」を7つご紹介します。
【がん治療中 食欲不振】でも“食べられた”7つの食事の工夫
① 食欲不振でも食べやすい!冷たいシャーベット状にする工夫
ゼリーや栄養補助食品を凍らせて、スプーンで少しずつ削りながら食べてみましょう。 アイス感覚で、食べやすくなります。
実は「温度」は味覚や食感に大きく影響します。 アイスクリームは常温では甘すぎますが、冷たいと程よい甘さに感じられるのは、舌の感覚が一時的に鈍くなるためです。
このように、冷たくすることで味への拒否反応がやわらぎ、「食べられる」につながることがあります。 冷やしうどんや冷製スープ、冷やした果物などもおすすめです。


バナナも一口大にして凍らせるとお口の中でシャーベット状となり食べやすく、のど越しも良いです。
② 視覚と香りを使った食欲アップの工夫|彩り・におい・盛り付けを活用
食欲がわかないときは、料理の見た目や香りを意識してみましょう。
茶色い料理が続くと食欲は減退しがちですが、カラフルな野菜(トマト・ブロッコリー・にんじんなど)や、明るい色の食器を使うことで、視覚的な刺激が食欲を後押ししてくれます。
また、温かいスープの湯気や炊きたてごはんの香りは、嗅覚を刺激し、自然と唾液の分泌を促します。これは嚥下を助ける効果も期待できます。


見た目と香りは、“食べたい”を呼び覚ます大切なスイッチです。

逆に、暖かいとにおいが刺激になり食欲が落ちる方もいますね。妊婦さん炊き立てご飯の香り(つわりと時)と同じ感じでしょうか?
③ のどごしを良くする食事の工夫|片栗粉やとろみの活用
お肉や魚は片栗粉をまぶして茹でると、つるんとした食感に。 野菜にはやわらかく煮てからとろみをつけると、のどごしがよくなります。

④ 固形がつらい方へ|ミキサーやブレンダーで飲む食事に
噛むのがつらいときは、スープやポタージュがおすすめです。 じゃがいも・かぼちゃ・人参・豆腐などを使えば、栄養も満点でやさしい味になります。


くるみんのおすすめは、ポタージュ風にとろみをつけてそれを冷やして食べてみてください。においも味も緩和されておいしく食べられますよ。夏にはもってこいの一品!
⑤ 口の中が不快なときの対策|味覚障害や口内炎でも食べられる工夫
がん治療中は、味がしない・金属のような味がする・舌がピリピリするなど、味覚障害や口内炎が起こりやすくなります。そんなときには以下のような工夫が有効です。
- 薄味・酸味・冷たいものを選ぶ:冷たい果物やヨーグルト、冷製スープは刺激が少なく食べやすいです
- やわらかく水分の多い食事:豆腐、ゼリー、おかゆなどは舌に優しく、のどごしも良い
- 調味料で工夫:レモン汁や梅干しなどの酸味を少し加えることで、味が感じやすくなることも
- 口内の清潔を保つ:歯みがき・うがいをしっかり行うことで、口内環境を整えて味覚の回復を促します
「食べられない」の裏には、実は“痛み”や“違和感”が隠れていることがあります。 栄養補助食品をアレンジしておいしく飲む工夫|味・飲み方・時間帯で変える

口の中が汚れているなと感じた場合は、食事前でも歯磨きをしてきれいな歯で食事をすることもあります。口の中がリセットされて爽快感が増します!

⑥ 小分けで食べる工夫|食べきれた体験が自信になる
1日5〜6回の「ちょこちょこ食べ」に切り替えましょう。 ひとくちプリン、ヨーグルト小分けパック、おにぎり1/4個などが効果的です。
また、「食べきれた」という体験が自信につながり、次の食事への意欲になります。

- 栄養補助食品250mlを100mlパックにして朝晩に分けたら飲めた
- ごはん1膳は無理でも、小さなおにぎりなら食べられた

のこしちゃった!じゃなくて、少しでも食べきれた!という成功体験が大事なんだなあ。
⑦ 食事が進む心理的工夫|外食・会話で食欲アップ
私の母も退院後、家では食事量が少なかったのに、外食では少し多く食べられました。
「視覚的刺激」「におい」「雰囲気」「会話によるリラックス効果」が、食欲を後押ししてくれるのだと感じました。


やっぱりみんなでわらながら話をして食べる食事はおいしいですよね!
味覚の正体は?がん治療中に影響する五感と食環境
味覚は五感+環境で成り立っています。
- 味(味蕾)
- 温度(冷たい/温かい)
- 食感(固い/柔らかい/つるん)
- 視覚(盛り付け、照明、彩り)
- 嗅覚(におい)
- 聴覚(会話、音楽)
- 心理的安心感(会話や雰囲気)
こうした“複数の感覚”が組み合わさって、食事の満足度が決まります。
食べられないときに大切なのは“完食”ではなく“ひとくち”
「食べなきゃ」と思うと、それがストレスになることもあります。 でも、ひとくちのスープやゼリーが、その日の命をつなぐこともあります。
無理のない工夫を取り入れて、少しずつ食事を楽しめるようになるといいですね。
あなたや、あなたの大切な人が、今日“ひとくち”を口にできるように。 そんな願いを込めて、この記事を書いています。

あなたの「これだけは食べられた!」を教えてください
あなたや身近な方が「これだけは食べられた」という食べ物はありましたか? コメントやSNSで、ぜひ教えてください。
きっと、他の誰かのヒントになります🍀
🍀こちらの記事も読まれています