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造影CTが使えないならMRIで代用できる?

この記事を書いた人:くるみん

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「MRIじゃダメなの?」という素朴な疑問から

「造影CTがアレルギーで使えなかったんだって。MRIはできないのかな?」

Xでふと目にしたこの投稿。
正直、私も思ったことがあります。「MRIじゃ、ダメなの?」と。

私はがん患者であり、看護師でもあります。
ですが、いざ自分の身体となると、どの検査が何のために行われているのか、すべてを理解しているとは言えません。

そこで今回は、私自身の体験も交えながら、CTとMRIの違い、造影剤の役割、代替手段についてやさしく解説していきます。


CTとMRIの違い、知っていますか?

CT(Computed Tomography)とは?

  • X線を使って、体の断面画像を撮影
  • 骨や臓器の形状、石灰化、出血の有無などが得意
  • 検査時間が短く、緊急性の高い場面でも活躍

MRI(Magnetic Resonance Imaging)とは?

  • 磁場と電波を使って、体内の水分や脂肪を映す
  • 脳や脊髄、筋肉、軟部組織の描出が得意
  • 時間がかかるが、造影剤なしでも詳細な画像が得られることがある

一見似たような検査に見えて、得意分野や仕組みはまったく異なるんです。


造影CTの役割——なぜあえて使うのか?

CT検査には、造影剤を使うタイプと使わないタイプがあります。

がんの転移や再発を調べるときは、血管の流れや腫瘍との境界線をはっきりさせる必要があります。
そのために使うのが「造影CT」。

造影剤を使うと、腫瘍がより鮮明に浮かび上がるため、治療方針の決定に非常に重要な検査になります。


腎臓への負担と「造影剤リスク」

私は尿管がんの手術で、右の腎臓を全摘しています。
術後もずっと、左の腎臓ひとつで生活してきました。

そんな私にとって、主治医からこう言われた言葉が今も忘れられません。

「造影剤は腎臓に負担がかかるから、あまりやりたくない」

それでも、がんの再発・転移を見逃さないために、
リスクとベネフィット(恩恵)を何度も話し合い、年に数回の造影CTを受けています。

そして、毎回点滴(輸液)をしながら検査します。
腎臓へのダメージを少しでも和らげるために。


「MRIじゃだめなの?」と思った私の本音

腎臓に負担がかかるたび、こう思っていました。

MRIじゃだめなのかな?
そっちのほうが安全なら、それで診てくれたらいいのに…

だけど、それぞれの検査には「得意なこと」「必要な情報」が違う。
腫瘍の位置や広がりを正確に把握するには、造影CTでなければ見えないこともあるんです。

主治医も迷いながら選んでくれている。
私もその思いを信じて、毎回検査に向かっています。


造影CTには“命に関わる”リスクもある

もう一つ、私の中で忘れられない出来事があります。

まだ私が病院勤務をしていた頃、造影CT検査に立ち会った患者さんに造影剤を投与した直後、突然アナフィラキシーショックが起きたのです。
顔面蒼白になり、呼吸困難に陥り、脈も触れず…。
私はすぐに心臓マッサージを行い、緊急対応に入りました。

あのときの緊迫感、手の感触、今でも忘れられません。

幸いその方は命を取り留めましたが、
造影剤は腎臓への負担だけでなく、命に関わるアレルギー反応のリスクもあるということを強く実感しました。

そのため、過去にかゆみや吐き気など軽度でも違和感があった方は、必ず医師に申告してください
それが、あなた自身を守ることにつながります。


造影CTが使えないときの選択肢は?

「造影CTが使えないなら、何があるの?」

そんな方のために、いくつかの代替手段をご紹介します。

① 非造影CT

 造影剤なしのCT。詳細さは落ちるが、出血や大きな腫瘍の確認は可能。

② MRI

 水分量の違いを利用して、造影なしでも腫瘍が見えることもある。
 ただし、がんの種類や部位によっては限界がある。

③ 超音波(エコー)検査

 腫瘍の大きさや血流をリアルタイムで観察可能。
 ただし、深部臓器には向かない。

④ 血液検査・腫瘍マーカー

 画像ではなく、血液中の変化から異常を察知。補助的な役割。

「組み合わせて診る」というのが、現代医療のスタンダードなんですね。


医療者としての気づき——検査には意味がある

私は長年、看護師として働いてきました。
でも、自分が患者になって初めて「検査の意味」や「選択の重さ」を身をもって感じています。

主治医が言う

「必要な時に、必要な方法で」

という言葉。
そこには、医療者の葛藤と責任が詰まっています。

私たちも「なぜこの検査なのか?」を伝えられる医療者でありたいですね。


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