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ストレスが炎症を招く?がん患者さんの心と体に起きる危ない炎🔥

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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がんと診断されたあの日から、私の中に“もう一人の自分”が住みついた気がしました。 それは、誰にも見せたくない、でも確かに存在する「不安な私」。 眠れない夜、何も手につかない昼、見えるすべての景色が色を失って灰色に見えたあの瞬間——。

もし、あなたにもそんな時間があったなら、それはあなただけのせいではありません。 がんとともに生きるということは、心にも体にも、とてつもないストレスがかかること。
今日は、そのストレスが体の中で「炎症」という形で現れる仕組みについて、 そして、その“見えない炎”を和らげるヒントについてお話したいと思います。

「がんです」——その一言が、どれほど人生を変えるか。 私は看護師としても、患者としても、その重みを知っています。

がんの診断は、人生の中でも最大級のストレスと言われています。 WHOや心理学の分野でも、がんは“心に深いインパクトを与える出来事”とされており、 時にはトラウマ反応を引き起こすほど。 私自身も、告知された瞬間、世界が色を失ったように感じました——。

がん告知の瞬間、多くの人が思考を止め、感情を閉じます。 目の前が真っ白になる。「これから何が起きるんだろう」 「仕事は?お金は?家族はどう思う?」

その後に待っているのは、治療の選択、手術、入院、通院、そして再発の不安。 がんは“体の病”であると同時に、“心の病”も引き起こすと実感しています。

よく「治療が終われば楽になる」と思われがちですが、 実際はそこから「再発の恐怖」との付き合いが始まります。 検査結果を待つ時間、CTや血液検査の前のざわつき。 家族や職場に「元気そうだね」と言われるたびに、 「いや、実は今朝も胸が締め付けられるような不安と闘っていたんだけど…」と心の中で呟くこともありました。 だけど、それを知る由もありません。

がん患者のストレスは、外から見えにくい。 だからこそ、自分でも見過ごしてしまいやすい。 その“見えないストレス”が、知らぬ間に体の中で「炎症」という形になっているかもしれない——そう考えたこと、ありますか?

がんと診断されてからというもの、 私の体はどこか常に緊張しているような感覚がありました。

呼吸は浅くなり、夜は眠れても熟睡できず、 日中も理由のわからない倦怠感や、ふと襲う胸のざわめき(胸苦しさ)。 このような「なんとなく不調」は、もしかしたらストレスによる炎症反応かもしれません。

ストレスを感じると、体の中では「自律神経」が乱れやすくなります。 交感神経が優位になりすぎ、体は常に緊張状態に。 これにより、「コルチゾール」などのストレスホルモンが過剰に分泌され、 本来なら炎症を抑えるはずの仕組みが逆に炎症を助長してしまうことがあるのです。

くるみん
くるみん

朝の時間は特にざわざわするよね。それは夜の副交感神経から昼間の交感神経の切り替わる時間だから。それがうまく切り替わらないとざわざわは長引くよ。くるみんも診断~手術までつらかったなぁ。

ストレスによって引き起こされる炎症は、急性ではなく「慢性炎症」として蓄積されていきます。 これは「じわじわ燃え続ける小さな火」のようなもので、 痛みや発熱のような“わかりやすいサイン”がないぶん、気づきにくいのが特徴です。

この慢性炎症は、

  • がん細胞への監視機能が低下する
  • 「なんとなく不調」が続く
  • 炎症性サイトカインが増え、体調全般の悪化につながる

ストレス → 自律神経の乱れ → 炎症の継続 → 免疫力の低下 → さらなる体調悪化 という「負のスパイラル」に入ってしまう可能性があるのです。

私は会社経営者として、訪問看護ステーションを運営していました。 がんと診断される前の私は、毎日がフル稼働で、ストレスの限界を超えていたと思います。

睡眠時間は短く、オンコールの緊急電話を肌身離さず持ち歩き、 深夜に呼び出されればそのまま利用者さん宅へ直行。 それが3年間、365日、ほぼ休みなく続いていた生活でした。

そんな日々の中で、気づけば体が悲鳴をあげていたんです。 ある朝、トイレで気づいた「血尿」。 それが、がんのサインでした。

今になって思うのは、あのときすでに体の中で静かに、でも確実に炎症が進行していたんだろうということ。 見えない火が、心と体の奥底で、じわじわと燃えていたんだと思います。

くるみん
くるみん

看護師でも慢性の積み重ねには気が付かなかったな。次第に心と体に疲れがたまっていたよ。

ストレスの対処法として私が選んだのは、「逃げること」でした。 会社を辞め、スタッフとの関係、取引先、利用者さんとの契約—— すべてを手放しました。

それは、自分の人生で築き上げてきたすべてを一度、手放すということでした。 損失は大きかった。経済的にも、精神的にも。

でも、そのあと、心の中にあったストレスという名の黒い雲が、ふっと軽くなったんです。 今の私は、自分のストレスを“選べる”ようになりました。 体にダメージを与えるようなストレスではないのです。

がんの治療は医師に任せるべきもの。 でも、自分の体を整えることは、患者自身にもできることがたくさんあります。 「できることを、できる範囲で、続ける」ことの大切さを感じています。
日々、自分の体を細かく観察したり、同じことを繰り返していると、ふと「あれ、変だな」と気づくことができます。

朝、4kmのランニングを始めました。 空気を吸って、太陽の光を浴びて、汗をかく——そのシンプルな行為が、驚くほど心を軽くしてくれました。 走っていると、不安やモヤモヤが不思議と頭から抜けていきます。 有酸素運動は副交感神経を優位にし、炎症を和らげる作用があります。

「息を吐くことに意識を向けてみよう」 ゆっくり吸って、細く長く吐く。 この“吐く”ことを意識した呼吸が、不安に包まれた体をゆるめてくれました。 呼吸は自律神経に直接働きかける数少ない方法のひとつ。

週末はポテチとコーラが習慣だった私ですが、 術後の体調を見ながら「抗炎症食」に切り替えました。

  • サラダや野菜スープ
  • 納豆や豆腐、ヨーグルトなどの発酵食品
  • 加工肉や揚げ物を控えめに
  • 食べる順番の工夫

「一日一つ、変えてみる」くらいの気持ちでOKです。

会社を手放し、社会的役割を一度ゼロに戻しました。 体の力が抜け、心も静かになりました。 すべての人が会社を辞められるわけではありません。 でも、嫌な人間関係や無理な役割から少しずつ距離を取ることはできるかもしれません。

がんになって初めて、自分の体と心がどれだけ傷ついていたかに気づくことがあります。 でも多くの人は、それに気づいてもなお—— 「弱音を吐いちゃいけない」「前向きじゃないとダメだ」と自分を責めてしまいます。

でも、しんどくなるのは真剣に生きてきた証。 「そりゃつらいよね」「がんばってるよね」と、自分の“味方”になってあげてください。

ストレスは完全にゼロにはなりません。 でも、そのストレスが自分の体をむしばむほど強くならないように、 できることを、ひとつずつ積み重ねていけるとおもいます。

  • 朝、ラジオ体操を続けてみる
  • 身の回りをつねに整理し、判断する回数を減らす
  • 湯舟につかり、時々サウナで整う
  • 「やりたくない」と思ったらできるだけやらない
  • 「怠惰に過ごす」と決め、計画的に時間を過ごす
  • 10分でも昼寝をする

このブログを読んで、もし少しでも「わかる」「ほっとした」と感じていただけたなら、 あなたの“ストレスとのつきあい方”も教えてください。

コメントやSNSでのメッセージもお待ちしています。 あなたの声が、誰かの安心につながるかもしれません。

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