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【体験談】がん患者が「グサッ」ときた言葉3選|励ましのつもりが傷になる理由

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
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はじめに

「悪気はないんだろうけど……」

がんになってから、人との会話で何度もそう思いました。
相手にとっては励ましのつもり、前向きなつもり——
でも、受け取るこちらは、ズシンと心に重くのしかかることがあります。

病気になると、ふだん気にならなかった言葉にも敏感になります。
だからこそ、何気ない一言に「グサッ」と心が刺さる。

今回は、がん患者として私が実際に言われて、忘れられなかった
もやる言葉を超えた「グサッときた言葉3選」を、体験をもとにご紹介します。

「グサっときた言葉」もあれば、なんだか納得いかない「もやもや言葉」もあります!


1. 「がんは2人に1人がなる病気だから」

◆どんなシーンで言われたか

がんを告げられて、職場に戻った時に事務員に相談した時のことだった。
代表取締役である私は、普段から横にいる事務員にほかのスタッフにどのように伝えればよいかの相談だった。
返ってきた言葉は「がんって今は2人に1人になるっていいますから」
僕は凍ってしまった!

◆その時どう感じたか

……あ、そうなんだ。って、なんとか返したけど、内心は氷結-196度です。
確かに統計的にはそうかもしれない。でも、それって今の自分の痛みや不安を軽くされてるような気がして、「だから何?」って、叫びたくなった。
この時、もう絶対にこの事務員には本音は話さない、距離を置こうと感じてしまいました。

◆言い返せなかった本音

「世間一般的に「2人に1人」って言うかもしれないけど、それってさ生涯のうちにがんと診断される確率だよね?」

「俺ってさ50歳を回っていないんだよ。人生100年時代なんて言われるのにその半分の歳でがんなんだよ!」

「急に“よくある話”のように言うけどさ、周りを見ろよ!あんなの知り合いの2人に1人はがんかよ!」

心の中は葛藤でいらだっていたけど、冷静を装っていました。

◆今だからこそ思うこと

あのときは、ただ傷ついた。でも今思うのは、「数字」はあくまで統計であって、誰かの人生そのものじゃない。
「あなたにとっての1人」は、“今ここにいる私”なんだって、それを気づいて今後は気を付けてほしい。

◆読者への問いかけ

あなたなら、大切な人ががんと告げられたとき、何て声をかけますか?


2. ハゲでも営業に回るおつもりですか?

◆どんなシーンで言われたか

小さな会社では代表がトップセールスマンです。私は会社を経営してやはりトップのために営業に回っていました。そんなときのがんですから、スタッフも心配していたと思います。今後、化学療法の選択もあるだろうと会社の運営会議で話したところ、例の事務員がすぐさま反応し、言い放ちました。

「ハゲでも営業に回るおつもりですか?」って。

冗談のつもりだったのかもしれません。
でも、聞いていたこっちは、笑えなかった。またもや氷結-196度です。

◆その時どう感じたか

「化学療法=脱毛」 という浅はかな知識はさすが事務員。よく医療者、しかも化学療法の看護をしてきた経験ある看護師に簡単に言えるよな!と怒りを覚えました。
見た目に大きなダメージをあたえるボディーイメージの変化 これはとても心に「グサッ」とくるものなのに、簡単に言うなんてなんてデリカシーがないんだ!って。

◆言い返せなかった本音

あなたはすべて見た目で判断するんだね。
確かにハゲた頭を隠さずに営業に回ったら、そりゃびっくりするかもしれない。だけどさ、そんなことは一番本本人がわかっていて、帽子をかぶる・かつらをつけるなど対応するさ。
いつも回っている営業の方だって、事情を察してくれるかもしれない

「自分の努力とか、気持ちとか、全部無視なんだね」
「考えが短絡的なんだよ」

……って、言いたかった。

でも、がんになってるってだけで、すでに迷惑をかけているような気がして、
何も言えなかった。笑ってごまかすしかなかった。

◆今だからこそ思うこと

治療で外見が変わることって、すごく心に影響を与えます。看護問題でも「ボディーイメージの変化」といってとても大きな看護問題でもあります。
見た目について、配慮もなく、冗談めいていうのは本当に悲しい。
でも、それは実際の社会なのかなって。「他人の不幸は密の味」これに通じるものがあるのかもしれません。

でも、それを変えていくのは、今を生きてる私たちなんじゃないかな。
“病気の人”も、“がんの人”も、人としてちゃんと見られる世の中にしたい。

◆読者への問いかけ

あなたはもし、大切な人が髪を失っても、同じように接する自信がありますか?


3. 「病は気からっていいます。気の持ちようでどうにでもなります

◆どんなシーンで言われたか

がんの診断を受けたあと、体調も気分も落ち込んでいたときのこと。
考えてみればこれも例の事務員だった(本当はもう思い出したくもないのですが)

「病は気からっていいます。気の持ちようでどうにでもなります」

と言われたんです。しかも軽い調子で。

◆その時どう感じたか

アホか!って 「気の持ちようでがんが治るのかよ!」

がんって、気合いや根性では治らない病気なんだよ。
毎日、体の痛みと不安に向き合ってるのに、
「気のせい」「メンタルの問題」って片づけられたようで……。

「この人には、絶対もう何も話すまい」って、心のシャッターが閉まりました。もうこの事務員とはやっていけない。

◆言い返せなかった本音

「気からって、言うけど……」
「がんは“気の病”じゃないし、私は今、本当に闘ってるんだよ」

そう言い返したかった。

でも、下手に反論したら角が立つし、
“自分が怒ってる”って思われるのも嫌で、笑って流しました。

それが一番、悔しかった。

◆今だからこそ思うこと

無意識の一言が、どれだけ人を傷つけるか——
病気になって、やっとわかりました。

「気持ちの持ちよう」も確かに大事かもしれない。
でも、それを本人以外が軽々しく言うもんじゃない。

大切なのは、「気持ちに寄り添うこと」だったんだと思います。

◆読者への問いかけ

あなたは、誰かが弱っているとき、「寄り添う言葉」「突き放す言葉」どちらを選んでいますか?


おわりに:声をかける前に、少しだけ想像してほしい

言葉は、時に薬になり、時に刃にもなります。

がんという病気と闘うなかで、
言葉の重みをこれほど痛感したことはありませんでした。

“言った側”は忘れても、“言われた側”は一生覚えている——
そんな場面が、たしかにあります。

もちろん、すべての人が配慮できるわけではありません。
でも、ほんの少し、相手の立場を想像してみるだけで、
救われる言葉はきっとあるはずです。


あなたなら、どんな言葉をかけますか?

あなたは、大切な人が弱っているとき、どんな言葉をかけますか?

それは、相手を思いやった言葉でしょうか。
それとも、あなた自身が「安心するための言葉」だったかもしれません。

がん患者である私の体験が、
誰かにそっと寄り添うヒントになれば——
そんな思いで、この記事を届けました。

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