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「キャンサーギフト」もいいけど——でも私には“人生のリセットボタン”だった

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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「キャンサーギフト」って、ほんとうに贈り物?

「キャンサーギフト(Cancer Gift)」——
がんがくれた気づきや変化を、あえて“ギフト(贈り物)”と呼ぶ言葉があります。

たしかに、最初にこの言葉を聞いたとき、私はこう思いました。

「なるほどな。がんにならなければ、こんなふうに感じられなかったこともあるよね。」

家族や友人のあたたかさ。
時間の貴重さ。
好きなことに正直でいたいという気持ち。

私も、渡辺美里のライブに行ったり、友達と再会したり、
「今しかない」と行動に移せたのは、がんがあったからかもしれません。

でも、どこかで引っかかっていたんです。
「本当にがんは“ギフト”なんだろうか?」と。

キャンサーギフト
もらって嬉しいはずはない



がんはリセットボタン

「ありがとう」と素直に言えるほど、がんになったことはやさしい経験じゃなかった。

不安、痛み、孤独。
治療の苦しみ。経済的な負担。
あらゆる“失ったもの”が、重くのしかかる。

がん患者のX(旧Twitter)の世界では、
「キャンサーギフトなんてとても言えない」という声もたくさん見てきました。

だから私は、こう考えるようになったんです。

がんは、“リセットボタン”だった。

人生にリセットボタンがあれば、がんと診断されることだと思う。


「もう、今までの自分じゃいられない」と思った日

診断された日、頭が真っ白になりました。
それでも時間は止まらない。治療は始まる。仕事も、生活も、止められない。

そんな中で、「自分を変えよう」と思ったきっかけは、
「まだ治療すれば生きられる」という希望が見えてきた頃でした。

だったら、生きるって決めよう。
だったら、今までの“後回し”をやめよう。
だったら、「好きなことをやる」に遠慮しない自分でいよう。

そしてある日、ふとこんな言葉が浮かんだんです。

これ、リセットボタンだったんじゃない?」と。

いままでたくさん自分に嘘をついてきた・・・
自分の体にも鞭を打ってきた・・・

リセットボタン・・・なかなか感じられないよね。

こんなにさわやかに笑ってはいられないけど、自分の人生、主体的に生きようと考えています。


「ランクが上がった」って言いたくなる日もある

私はボクサーでも、ゲーマーでもないけれど、
このがん体験を通して、自分の人生の“ランク”が上がったと感じる瞬間があります。

  • 痛みや不安を知ったからこそ、人の痛みにも敏感になれた
  • 弱さを見せてもいいんだと、自分に許せた
  • やりたくないことに「NO」と言えるようになった
  • 体を大切にすることが「当たり前」になった

たとえるなら、サイヤ人からスーパーサイヤ人に進化した感覚。
それって、私だけじゃなく、きっと他のがん患者さんにも起こりうる変化なんじゃないかなって、思っています。


「ギフト」じゃなくても、自分で意味を選べばいい

「キャンサーギフト」という言葉は、今でもちょっとしっくりこない。

でも、「修行」「リセット」「進化」「ランクアップ」——
そう言い換えることで、自分をちゃんと肯定できるようになった。

辛かったよ。
今も怖いよ。
でも、それに耐えている自分は、ちょっとすごいと思う。

そう思えることこそが、がんを通して私が手に入れた「意味」かもしれません。


あなたにとって、がんはどんな“意味”をくれましたか?

今、がんと向き合っているあなたにとって、
がんは「ギフト」ですか?「修行」ですか?それとも、ただの「試練」ですか?

どれも、間違いじゃありません。
どんなふうに感じてもいい。
それを決めるのは、自分自身だから。


今日という日が、また一つの「ランクアップ」になりますように

がんは、私の人生を根本から覆したけど、
同時に自分の人生や生き方を深く考える機会をあたえ、行動に移してくれていると感じています。

誰かにがんについての闘病を聞かれたら、
私はこう答えます。

「私は人より人生を太く・長く生きようと思う。」

それが私にとっての、“がんの意味”です。

🍀がんは私の人生観を大きく変えました。そんな心の変化をほかのブログでもつづっています。

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