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がん治療と歯科検診の意外な関係|術前に伝えたい“口の中”の話

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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がんと診断されてから、私は「自分の体を守る準備」を一つひとつ丁寧に見直すようになりました。 看護師として、入院や手術の前に歯科検診が重要であることは理解していましたし、実際に私自身も入院前に歯科を受診し、丁寧なクリーニングを受けて備えていました。

実際にがん治療を経験してみると、入院前の歯科検診や日々の口腔ケアが思っていた以上に大切な役割を果たしていることに気づかされました。

看護師としてその重要性は理解していたつもりでしたが、患者としての立場を経験してみて初めて、実感として深く心に刻まれました。 この記事では、看護師として、そしてがん患者としての視点から、「なぜ歯科検診が必要なのか」「口腔ケアを怠ることでどんなリスクがあるのか」を、私自身の体験を通してお伝えしていきます。

全身麻酔では、喉にチューブを入れる処置(気管挿管)が行われます。このとき、ぐらついた歯や虫歯のある歯は、折れたり抜けたりするリスクがあります。

私が入院前に受けた歯科健診でも、歯の状態の確認とともに、歯石(プラーク)の除去やポリッシング(器械での歯磨き)をしていただき、歯がつるつるの状態に整えてもらいました。

くるみん
くるみん

マウスケアを行っていて、歯が「ぽろっ」ととれた現場を何回も見たことがあるよ!

虫歯や歯周病には、たくさんの細菌が潜んでいます。これらが血液を通じて全身に回る(菌血症)と、手術部位の感染や肺炎の原因になることも。

私は入院中、どうしても歯を丁寧に磨けるタイミングや体力がないときもありましたが、事前に歯石を除去しておいたおかげか、「口の中がねちゃねちゃする」といった不快感は少なく、快適に過ごせました。

Dr
Dr

歯周病を放っておくと、歯だけでなく“心臓”まで危険にさらすことをご存知ですか?
血管に炎症を起こし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性があるからこそ、歯のクリーニングは“命を守る健康習慣”なんですよ!

抗がん剤や放射線治療の副作用には、口内炎、唾液減少、味覚障害など「口の中の不調」が非常に多いです。

看護師としても、入院中の患者さんの口腔ケアをすることがありますが、ベッド上でのケアには限界があり、十分にきれいにブラッシングするのは正直難しいのが現実です。

そして…これはあまり語られませんが、口の中が不衛生な方は強い口臭を伴うこともあり、ケアを担当する側としても心の中で一歩引いてしまう場面があるのも事実です。

だからこそ私は、「自分が患者になるときには絶対にそうなりたくない」と思い、入院前に丁寧なケアを済ませておきました。

くるみん
くるみん

くるみんは、「患者になるときには絶対にそうなりたくない」と思い、入院前に丁寧なケアを済ませておいたよ。おかげで息すっきり!さわやか入院生活が送れました

口は、体にとって“栄養の入口”です。しっかり噛めること、痛みなく飲み込めることは、手術後や治療中の体力回復に欠かせません。

もし、歯に虫歯があるまま入院してしまったら? あるいは、入院中に歯が痛くなったら? それに加えて、かみ合わせが悪く、しっかり噛むことができなければ、満足に食事がとれず、体力や栄養の回復にも影響が出てしまいます。

もちろん院内で応急的な治療はできるかもしれませんが、本来のがん治療に集中できない、というのが一番の問題です。

長期入院の場合、「もっと早く治しておけばよかった」と後悔する前に、今、準備をしておくことが大切です。

くるみん
くるみん

入院中は体の状態を回復させるために食事はとても重要なんだ。点滴や経管栄養に頼らずお口からの摂取は、生きる満足度を高め長生きにもつながるんだよ!

長期の治療、または緩和ケアに入る場合でも、お口の快適さは日々の生活の満足度=QOLに直結します。

・食べる楽しみがあるか ・人と話すことをためらわないか ・ケアを受けるときに恥ずかしさを感じないか

どれも、日常の中で心を穏やかに保つために大事なことばかり。だから私は、「自分のケアで周囲も快適にできるなら」と思いながら、歯のケアを入念に行っています。 そして何より、私はおいしいものをいつまでも食べたいと思っています。80歳になってもサーロインステーキを美味しく食べられるなんて、素敵なことだと思いませんか?そのためにも、今から歯を大切にしています。


私たちの体は、食べたもので作られています。栄養を摂るという最初のプロセスを担うのが、“口”という器官。つまり、口腔の健康は「体の健康の入り口」なのです。

そしてその入口を清潔に保ち、噛む力を維持することは、がん治療中だけでなく、これからの人生を支える土台になります。

歯一本のお値段は?
裁判における損害賠償での歯の価値は・・・前歯で10〜15万円、奥歯で5〜10万円程度とされています。
でも、人生でずっと使う歯…実際のところ100万円以上の価値はあるはずです。


「お口の中、きれいに保ててますね」

この一言を、私は入院前の歯科検診で歯科衛生士さんからいただきました。

がん治療は、心も体も大きく揺れるもの。だからこそ、小さな安心が、心の支えになります。

自分の体を守る準備として、歯科検診や口腔ケアをぜひ見直してみてください。

あなたは、最近、歯科に行きましたか? 治療の予定がある方も、今がチャンスかもしれません。

自分を守る「もう一つの準備」、それが口腔ケアです。

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