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検査結果を待つ時間が怖かった——がん治療と共に生きる日々のリアル

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
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はじめに

「検査の結果、異常なしでした」


その一言に、どれだけの人が涙を流し、肩の力を抜くことでしょう。

私もそのひとりでした。


尿管がんの手術から始まり、膀胱への転移、そしてBCG治療と続いた治療の中で、再発や転移を疑う検査を受けることは、恐怖そのものでした。


今回、造影CT・胃カメラ・大腸カメラの結果を聞くまでの一週間は、本当に長く、濃く、不安と隣り合わせの毎日でした。

「もし再発していたら、仕事は続けられないかもしれない」


「家族に、職場に、どれだけの迷惑をかけてしまうんだろう」


そんな思いが頭を離れず、自分の人生の“分岐点”に立たされているような気持ちでした。

この記事では、そんな不安と向き合った日々、そして「異常なし」の結果を受け取ったときの感情、治療のこと、仕事や家族との関係について、リアルに綴っています。

がんとともに生きるあなたへ——
同じように結果待ちの時間を過ごしている方に、少しでも寄り添える内容になっていれば幸いです。

検査結果を待つという“時間”の重さ

尿管がんの手術を受けたのは、2025年1月17日。


術後の1ヶ月検診で、膀胱への転移が確認され、BCG注入療法が始まりました。

毎週木曜日、全6回のBCG治療——身体への負担も大きく、正直、心も体も揺れ動く日々でした。

そんな中、迎えたのが大腸カメラ、胃カメラ、造影CTという一連の検査。


その結果が出るまでの約1週間は、たった7日とは思えないほど長く、重く、不安に満ちていたのです。


検査前、頭から離れなかった「もしも」のシナリオ

検査を受ける直前、私の頭の中では「もしも」のシナリオが止まりませんでした。


——もし、再発していたら。


——もし、転移が進んでいたら。

ただでさえBCG治療で体力を削られ、毎週の治療日は仕事を休ませてもらう状況でした。

私はその時、経営していた訪問看護ステーションをがんの再発が判明した段階で閉じ、自分の体を第一に考えて、新たに近隣の訪問看護ステーションに再就職したばかりでした。

経営者時代、自分のスタッフが長期間働けなくなった場合の“会社への影響”を身をもって知っていたからこそ、今の職場にこれ以上の負担はかけられない——という思いが、心の奥に重くのしかかっていたのです。

もし再発していたら、もっと治療は長引く。


迷惑をかけ続けることになる。


だったら、退職するしかないんじゃないか……。

そう考えながらも、現実には「でも仕事はどうする?」という不安も同時に湧いてくる。

がんと再発、仕事と生活——その全てが、検査結果ひとつにかかっているように感じていました。


新しい日常が、心を支えてくれた

そんな不安の渦中でも、私の心を少しずつ助けてくれたのは“日常”でした。


新しい職場での仕事に慣れること、目の前の利用者さんと向き合うこと、それらに集中することで、ほんの一時でも不安を忘れることができました。

しかし夜になると、心のフィルターが外れたように、不安が顔を出してきます。


「最悪の検査結果だったら」

「半年前の造影CTでは左肺に結節があると言っていたけど、肺がんじゃないのか?事実、尿管がんの遠隔転移の一番多い場所が肺」

それでも、体が疲れていたのか、すぐに眠ってしまう日も多く、そんな日々の繰り返しの中で、なんとか“待つ時間”を乗り越えていきました。


BCG治療を終えて

BCG注入療法は、決して楽な治療ではありませんでした。


膀胱痛、排尿時の痛み、頻尿、そして時に発熱と強い倦怠感——。


治療のたびに症状が重くなっていくような感覚もあり、毎週木曜が来るのが怖くなる時期もありました。

それでも、予定されていた6〜8回のうち、6回で一区切りをつけられたことに、大きな安堵を感じました。


「少ない回数で終えられた」という事実が、身体より先に心を少し軽くしてくれたのかもしれません。


家族の支え——“触れない”優しさ

私の変化に、家族も気づいていました。

ぼーっとしている姿や、検査結果が心配だと口にしていたので、もしかしたら私以上に心配していたかもしれません。


でも、あえて深く触れないようにしてくれていたんです。

検査のこと、治療の副作用のこと、話そうと思えばいくらでも話せるのに、「言葉にしない優しさ」で包み込んでくれる——


そんな家族の存在が、どれだけ支えになったことか。

「言葉がなくても、そばにいてくれる」


それが、どれほど力になるかを、私はこの数ヶ月で学びました。


結果が「何もなかった」ことの意味

検査結果は「異常なし」。


これほどまでに“何もない”ことに感謝した日は、今までなかったかもしれません。

私はこの結果に心から安堵し、同時に、今後も続く定期検査の意味を深く理解しました。

次回検査は3か月後。

それまではがんサバイバーであるけど、転移もないまっさらな健康?な体という感じで、医師からのお墨付きをもらった感じで誇らしいという気持ちでいっぱいです。

これで、新しい職場で精一杯仕事に取りかかることができる。

しばらく、再発や転移といったワードから離れることができる、とても身軽になった感じです。

この感情は、がんに実際になった方でなければわからない感覚だと思います。

それほど、「がん」の事実は身体にも心にも重いものなのです。


今後も再発のリスクがゼロになることはありません。でも、この安心を得るために、検査と向き合っていくことを自分に約束しました。


最後に——不安と共に生きるあなたへ

不安がない日は、今のところ私にはありません。


でも、「不安があること」「前に進めないこと」とは違う。


不安を抱えながらでも、私たちは日常を過ごし、笑い、働き、誰かと手を取り合うことができるのです。

あなたも、もし今、検査結果を待つ時間の中にいるなら、どうか無理に前向きにならなくても大丈夫です。


でも、ほんの少しだけでも「今日できたこと」「今日食べられたもの」「今日話せた誰か」に目を向けてみてください。

——それはきっと、不安を抱えてでも生きていける「強さ」への一歩になります。

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