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【がんと睡眠の深い関係】夜勤で削った時間が、私の体に残したもの

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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はじめに:あなたの睡眠、大切にできていますか?

「眠れた?」 がんの治療で入院中、医師や看護師によくそう声をかけられました。

でもその問いに、胸を張って「はい」と答えられた日は…正直、少なかったかもしれません。 体が重い、心がざわざわする。 夜中に目が覚める、寝つけない。 そんな夜が続いたとき、ふと気づいたのです。

「もしかして、これまでの“眠らない人生”が、今の私の体に響いてるのかも」


夜勤を続けた看護師人生と、がんという転機

交代勤務で刻まれた“睡眠負債”

「夜勤を定年まで続けた看護師は、10年早く亡くなる」そう耳にしたのはここ1年前ぐらい。 最初は「まさか」と思っていたけれど、今となっては「あるかもしれない」と実感します。

2交代制の勤務で、夕方4時から翌朝8時まで。 でも実際には10時ごろまで病棟に残り、記録や委員会の仕事…。 若い頃は何とか乗り切れたけれど、50歳が目前になると、その無理は利かなくなってきます。

夜勤の疲れは、見えない“爪痕”を残す

夜勤明け、太陽の光の中で家に帰り、そのまま布団に倒れこむ。 体内時計は完全に乱れていて、昼に眠っても3時間程度しか眠れず。夜になったら眠れるかと思えば、体は休みたいと悲鳴を上げているのに、頭は死後の延長が残っているのか興奮していてそのアンバランスさで睡眠の質は最悪!。
それを繰り返すうちに、自律神経は乱れ、食欲も落ち、肌も荒れる。 でも一番怖いのは、「疲れに慣れてしまうこと」でした。

「これが普通」 「みんなもそうしてる」 そう思い込むことで、自分の体からのSOSを見落としていたんです。

20歳代の夜勤明けにはそのまま沖縄に遊びに行ったこともあった。


30歳代は帰宅したら家事が待っていた

40歳代は帰ってきたら意識を失う

50歳代はもう夜勤無理。がんになった!


オンコールと緊張の中で眠れぬ日々

スマホを枕元に、眠れぬ夜

訪問看護師に転身してからも、睡眠の問題は続きました。 オンコール体制。 いつ呼ばれてもすぐに動けるように、スマホは枕元。 気になるあまりに眠りにつくまでに30分、1時間… ようやく眠れたかと思ったら、深夜の着信音で飛び起きる。 「眠った気がしない」 そんな日々が続くと、頭がぼんやりし、日中も集中力が低下していくのがわかりました。

でも誰にも「疲れた」とは言えなかった。 利用者さんからの「ありがとう」「助かりました」を聞いてしまうと「私がやらなきゃ」 そう思い、心も体も削っていたのです。


がんと診断されたとき、はじめて気づいた“体の声”

治療中、眠れない夜が続きました。 でも、どこかで「この時間にちゃんと眠れていたら、もしかして…」という思いが湧いてきたのです。

がんになった理由は、もちろんひとつじゃありません。 遺伝的な背景や生活習慣もある。 でも、「体を休ませる時間を軽視してきた」ことが、自分の体を追い込んでいたのは間違いない。

夜勤をせずに普通に夜に寝る生活を続けていれば・・・がんにならなかったかもしれない。

時間があったら体と脳を休めるようにしています。


メラトニンと免疫力、そしてがん予防

がんと睡眠がどう関係しているのか? 最近では「メラトニン」というホルモンに注目が集まっています。

メラトニンが“がん抑制ホルモン”と呼ばれる理由

メラトニンは、夜暗くなると脳の松果体から分泌されるホルモンで、眠気を促すだけでなく、私たちの体にこんな働きをしてくれていることがわかってきています。

私自身、看護師として学んできたこと、そしてがんを経験して改めて実感したことから、特に印象に残っている3つのポイントがあります。

① 抗酸化作用

メラトニンには活性酸素を除去する働きがあり、DNAの損傷を防いでくれると言われています。 がん細胞の発生には、このDNAの損傷が深く関係しているから、こうした「日々の見えない守り」は、本当に大切なんだなって感じます。

② 免疫細胞の活性化

睡眠中には、ナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫が活性化され、体内の異常細胞を排除する働きが強まると言われています。 逆に、睡眠が乱れるとこの免疫監視システムがうまく機能せず、がん細胞が見逃されやすくなる。 私も、夜勤続きの頃はよく風邪をひいていたし、今振り返ると、体がずっと防衛モードをうまく維持できていなかったのかもしれません。

③ エストロゲンとの関係(特に乳がんリスク)

これは女性にとって特に大事な話ですが、メラトニンは女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑える働きもあるそうです。 エストロゲンの過剰分泌は、乳がんのリスク因子のひとつとも言われているので、夜更かしや夜勤が長く続いたことが、もしかしたらリスクを積み重ねていたのかもしれない…そう思うと、改めて睡眠の大切さを痛感します。

くるみん
くるみん

夜勤をしている看護師さんは多いのですが、みなさんそんなリスクを抱えて働いているのか?と言ったら…ご自身の体が一番。がんになってしまったから言えます。


あなたの睡眠、大丈夫ですか?

  • 「最近、よく眠れていますか?」
  • 「眠ることに罪悪感を感じていませんか?」

忙しい日々の中で、睡眠を「削るもの」と思っていませんか?

でも、がんを経験した今、私ははっきり言えます。「眠ることは、命を大切にすること」だと。

メラトニンがどばどばと出るはずの夜に眠れないなんて・・・

こんな毎日を繰り返していたら、がんにもなるし鬱にもなるよね…


おわりに:眠りと向き合うことは、自分と向き合うこと

睡眠の質を見直すことは、 これまで頑張りすぎてきた自分をいたわる第一歩かもしれません。

今夜、少しだけ早めにベッドに入ってみませんか? スマホを手放し、静かな音楽を流して、 「今日もお疲れさま」と、自分に声をかけてあげてください。

あなたの体は、あなたの一番の味方です。 しっかりと眠って、明日をまた一緒に迎えましょう。

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