はじめに
「膀胱鏡検査」と聞くだけで、胸がざわつく方は多いのではないでしょうか。
私自身、がんサバイバーであり20年以上のキャリアを持つ看護師ですが、初めて自分が膀胱鏡を受けると決まったとき、頭をよぎったのは 「痛いのか?時間はかかるのか?恥ずかしいのか?」 という強い不安でした。
この記事では、男性が膀胱鏡を受けたリアルな体験談を中心に、羞恥心や痛み、準備から検査後の生活までを詳しくお伝えします。
「これから受けるけど怖い…」という方に、少しでも安心を届けられたらと思います。
はじめての膀胱鏡検査を受けた日
2024年の冬、私は紹介状を持って大学病院を受診しました。
その日の診察で「膀胱鏡をやりましょう」と告げられ、心の準備もないままその日のうちに検査をすることが決定。
20年以上看護師として働いてきた私ですが、実はこれまで膀胱鏡検査の現場に立ち会ったことは一度もありません。患者さんの検査説明には何度も関わってきたものの、「自分が受ける立場」になるとは、正直思ってもみませんでした。
そして最初に浮かんだ感情は、「嫌だなぁ…」でした。
待合室では他の患者さんが静かに順番を待っている中、名前を呼ばれた瞬間の緊張感は今でも忘れられません。
「ついに自分が…」と思った途端、胸の奥に不安がどっと押し寄せました。
膀胱鏡検査はなぜ恥ずかしいのか?その理由
膀胱鏡検査は“砕石位”で行われる
検査は「砕石位(さいせきい)」と呼ばれる体勢で行われます。
仰向けに寝て両足を広げ、専用の架台に固定されるその姿は、まさに無防備。
30年間、大腸カメラを受け続けてきた私は、スリット入りの検査着で肛門をさらすことには慣れていました。
しかし膀胱鏡は違います。陰部を直接さらし、そこにスコープを挿入される現実は、男性にとって大きな羞恥心を伴います。
医師や看護師は慣れていて淡々と進めてくれますが、こちらはそうはいきません。
「見られているのではないか」という意識と、「どうにでもしてください」という体勢。心の準備がないと、相当な心理的負担になります。

砕石位の語源と英語名も知っておこう
ちなみに、砕石位の由来には面白い説があります。
昔、炭鉱夫が膝を曲げて足を広げた姿勢で石を砕いていたことから名付けられたというもの。英語では “lithotomy position” と呼ばれ、元々は結石の摘出術に用いられた体位を指します。

膀胱鏡検査とは?流れと準備
なぜ検査を受けることになったのか
私が膀胱鏡検査を受けることになった理由は、「膀胱がんの可能性を否定するため」でした。すでに尿管がんの疑いがあり、膀胱内への病変の有無を調べる目的で検査が必要となったのです。
大学病院の泌尿器科を受診し、診察当日にそのまま検査を受けることになりました。
看護師としての知識がある私に対しても、丁寧に説明していただいたのが印象的でした。
外来で行われる検査、けれど羞恥心は拭えない
検査は泌尿器科外来の処置室で行われ、医師と専属看護師、そして私の3人だけ。
更衣室で渡されたのは浴衣状の検査着一枚のみ。
上半身の下着の上に羽織り下はパンツを脱いだすっぽんぽん!
特殊な椅子に座り、背もたれが倒れ、両脚がぐっと左右に開かれていく——これが砕石位です。
恥ずかしさだけでなく、「本当にこんな器具(スコープ)が入るのか…」という恐怖もこみ上げてきました。
服装
特別な制限はなく、当日は検査着に着替えます。着替えやすい服で行くのがおすすめです。
持ち物
- ハンカチやタオル:痛みに耐えるとき、手に握りしめられる安心感があります。
- 尿取りパッドやナプキン:検査後に尿漏れがある場合に備えて。
心構え
「恥ずかしいけれど、自分の体のために必要な検査」と割り切ること。
検査は1日数件行われる医療者のルーチンであり、医療者は特別な目で見てはいません。そう思えると、少し気が楽になります。
実際の検査で感じたこと【男性の膀胱鏡体験談】
ファイバースコープの太さに驚く
検査で使用される膀胱鏡は、直径5〜6mm程度と調べていました。
実物を見ると、まるで鉛筆のような太さ(鉛筆は7mm大)で、それが尿道に入ると考えると緊張感が高まります。
男性の尿道は平均で18cmほどありますが、その中を異物が通ると想像しただけで、痛みが容易に想像できました。
尿道を通る瞬間の焼けるような激痛
検査中の様子と痛み
いよいよファイバースコープが挿入されるとき。
「ズン」とくる重さと共に、尿道を通過する瞬間に“焼けつくような激痛”が走りました。
思わず歯を食いしばって耐えるしかなく、「男性の膀胱鏡検査は痛い」とは聞いていましたが、想像以上の痛みでした。
はっきり言って・・・現代の拷問です!
検査自体は5〜10分程度。
尿道口からファイバースコープを挿入し、生理食塩水で膀胱を膨らませて内部を観察します。
いきむと膀胱が収縮するためか、ファイバースコープが入っているにも関わらず漏れそうです。
問題はその瞬間です。
直径5〜6mmほどのスコープが尿道を通過するとき、「焼けつくような激痛」が走りました。
私はこれまで胃カメラも大腸カメラも経験しましたが、それらとは比べものにならない痛みでした。鎮静剤も使わず、まさに耐えるしかない——。
さらに、生理食塩水で膀胱をパンパンに膨らませられると、漏れそうで必死にこらえる状況が続きます。
ようやくスコープが抜かれ、膀胱の水が吸い出されたときの「解放感」は、地獄から一気に天国に戻ったかのようでした。
検査中はモニターで膀胱の内部を見ることができ、結果的には「膀胱内に異常なし」と確認できて安心しました。

膀胱腎盂ファイバースコープ
出展:OLYMPUS HPより
男性と女性の違い
- 女性:尿道が3〜4cmと短いため、不快感はあるが痛みは軽め。
- 男性:尿道が15〜20cmと長く、途中に曲がりや狭窄部(前立腺部)があるため強い痛みを感じやすい。
「男性の膀胱鏡は痛い」と言われるのは、この解剖学的な理由が背景にあります。
検査後の痛みと回復まで
検査後に最もつらかったのは、最初の排尿
膀胱鏡検査後、最も痛かったのは“最初の排尿”でした。
尿道全体がヒリヒリし、排尿時には飛び上がるような痛み。
抗生剤を処方され、数日間は排尿のたびに痛みと格闘することになりました。
私の場合、1回目は耐え難い痛みでしたが、2回目は事前に市販の鎮痛薬を服用したことで、痛みが6割程度に軽減されました。
(※医師に確認してからの服用をおすすめします)
また、2回目より深呼吸を意識する、手にタオルを握るなど「痛みから意識をそらす工夫」も役立ちました。
- 最初の排尿が最も痛い:焼けるような痛みで飛び上がるほどでした。
- 半日程度の痛み:排尿時のヒリヒリ感は翌日まで続きました。
- 尿漏れのリスク:下着を汚す心配があるため、パッドを用意すると安心。
- 感染対策:抗生剤が処方されます。症状が落ち着いても、指示通り飲み切ることが大切です。
検査後は尿漏れが心配でしたが、私は2回目から事前に ライフリー 男性用尿取りパッド(を用意していたので安心できました。
特に帰りの電車や車の中で「もし漏れたらどうしよう」という不安が減り、気持ちが楽になりました。

【まとめ】膀胱鏡検査はつらい。でも、必要な検査です
膀胱鏡検査は、男性にとっては特に羞恥心と痛みが伴う検査です。
でも、がんの早期発見や再発の有無を確認するためには、避けては通れない大切な検査でもあります。
私自身、看護師としてこの検査の必要性は理解していたつもりでした。
でも“実際に患者として受けてみる”と、体験はまったく別物でした。
恥ずかしさ、不安、痛み。
それらを乗り越えて得られる“安心”は、きっとこれからの治療を支えてくれるものになるはずです。
実際に自分が患者として体験してみて痛感したのは、「不安の大きさは情報不足から生まれる」 ということ。
事前に「どんな姿勢になるのか」「痛みはどうか」「検査後の生活はどうなるか」を知っていれば、心構えも全く違っていたはずです。
だからこそ、私はこのブログを通して、患者目線の一次情報を発信したいと思っています。
私の体験が、少しでも参考になれば嬉しいです。
膀胱鏡検査を控えるあなたへ伝えたいこと
膀胱鏡は、正直に言えば「恥ずかしいし痛い検査」です。
それでも、この検査で得られる情報は、がんの早期発見や再発防止に欠かせない大切なものです。
どうか我慢せず、痛みや不安を医師・看護師に伝えてください。
泣いても、声を出しても、誰かの手を握っても大丈夫。
検査を受けるあなたは、決して一人ではありません。
👉 あなたは膀胱鏡検査にどんな不安を抱えていますか?
ぜひコメントやSNSで教えてください。あなたの声が、同じ検査を受ける誰かの励みになります。
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