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がん患者さんが膀胱炎になりやすい理由と対策|免疫低下とカテーテル管理に要注意

この記事を書いた人:くるみん

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はじめに:たかが膀胱炎、されど膀胱炎

「なんか、トイレのたびに痛い気がする」 「頻繁に尿意を感じるけど、出る量はほんの少し」

こうした症状、もしかしたら膀胱炎かもしれません。 でも、がんと闘っている最中のあなたがその症状を感じたなら、単なる“よくある病気”と油断してはいけません。

私はBCG治療という膀胱がんの再発リスクを軽減するための治療により膀胱炎となり、苦しみました。化学療法や膀胱留置カテーテルといった治療により、普段より膀胱炎をおこしやすい状況です。

がん治療中の身体は、感染症に対してとても無防備な状態にあります。 今回は、がん患者さんにとっての膀胱炎のリスクとその対処法について、看護師として、そして当事者としてお伝えしたいと思います。


膀胱炎の基礎知識|原因菌・症状と見逃しがちな初期サイン

膀胱炎の主な症状と原因とは?

膀胱炎は、尿道から侵入した細菌が膀胱内で増殖し、炎症を起こす病気です。 典型的な症状は以下のとおりです:

  • 排尿時の痛み(ヒリヒリ、しみるような感じ)
  • 切迫感(膀胱が満タンで漏れそうという感じ)
  • 頻尿(何度もトイレに行きたくなる)
  • 尿の混濁や悪臭
  • 残尿感、下腹部の違和感

原因となるのは主に大腸菌などの腸内細菌で、女性に多い傾向がありますが、がん患者さんにとっては男女問わず注意が必要です。

くるみん
くるみん

くるみんは、上の症状すべてあったかな!辛いのは切迫感。漏れる!っていう感じが大変でした!


がん患者が膀胱炎にかかりやすい理由|免疫力低下と医療処置の影響

化学療法による免疫力の低下と感染リスク

がん治療の一つである化学療法(抗がん剤治療)では、治療の副作用として白血球の数が減少し、免疫機能が一時的に低下することが知られています。 この状態になると、普段は体に害を与えないような常在菌にも感染しやすくなってしまいます。

「普段通りに過ごしていたのに、なぜ感染してしまったのか」 それは、体の防御力が下がっているタイミングで、わずかな細菌が膀胱に侵入してしまったからかもしれません。

手術後の膀胱カテーテルと逆行性感染のリスク

がんの手術後には、膀胱内にカテーテル(尿のくだ)を留置するケースが多く見られます。 これは術後の排尿管理に必要不可欠な処置ですが、同時に細菌がカテーテルを伝って膀胱に入り込む「逆行性感染」のリスクも伴います。

くるみん
くるみん

術後に膀胱留置カテーテルが入っている場合は、看護師さんが陰部洗浄を行います。これは逆行性感染を防ぐ意味でとても重要な看護行為です。でも、実際に自分が患者になるととても恥ずかしかったです。

カテーテルは時間とともにバイオフィルムと呼ばれる細菌の膜を作り、これが細菌の温床になります。 感染の入り口が外から見えない分、症状が出たときにはすでに膀胱炎が進行している場合もあります。


膀胱炎の初期症状に気づくポイント|見逃さないサイン

「これって膀胱炎かも?」と感じたときに、下記のような症状があれば要注意です:

  • 排尿時の灼熱感・痛み・切迫感
  • 尿の色が濁っている
  • においが強い
  • 1時間に何度もトイレに行きたくなる
  • 下腹部の違和感、重苦しさ
くるみん
くるみん

匂いは尿のにおいというより、生臭いにおいがしました。男性も座って排尿することで尿の混濁に気づきやすいです。

がん治療中は、「ちょっとした違和感」も早期受診につなげることが重要です。 特に、発熱や寒気、背中の痛みがある場合は腎盂腎炎に進行している可能性もあるため、迷わず医療機関を受診してください。


A:はい、膀胱炎が膀胱内にとどまっている場合、発熱や倦怠感などの全身症状が現れないことは一般的です。

膀胱炎は膀胱の局所的な炎症であり、初期段階では排尿時の痛みや頻尿、尿の濁りなどの局所症状が中心です。しかし、感染が腎臓まで広がると腎盂腎炎となり、高熱や背中の痛み、全身の倦怠感などの全身症状が現れることがあります。したがって、発熱や倦怠感がない場合でも、膀胱炎の可能性は十分にあります。

A:軽度の膀胱炎であれば自然に改善することもありますが、がん患者さんの場合は医師の診察を受けることを強くお勧めします。

がん治療中は免疫力が低下しているため、軽度の感染でも重症化するリスクがあります。また、症状が軽くても感染が進行している可能性があるため、自己判断で放置せず、医師に相談することが重要です。

A:はい、膀胱炎は再発しやすい感染症です。

特にがん治療中の患者さんは免疫力の低下やカテーテルの使用などにより、膀胱炎を繰り返すリスクが高まります。予防策としては、十分な水分摂取、排尿の我慢を避ける、デリケートゾーンの清潔を保つ、体を冷やさないなどの日常的なケアが重要です。


膀胱炎の標準治療と抗菌薬の選び方

膀胱炎の標準治療と抗菌薬の選び方

膀胱炎の治療は、抗菌薬の内服が基本となります。 軽度であれば3〜5日の服薬で改善するケースが多いですが、がん治療中の患者さんは細菌の種類や薬剤耐性も考慮する必要があります。

とくに他の抗がん剤との相互作用がある薬も存在するため、必ず主治医や薬剤師に相談してから使用するようにしましょう。


膀胱炎を防ぐ生活習慣とその理由|今すぐできる5つのセルフケア

膀胱炎を繰り返さないためには、日常の中でできる“ちょっとした習慣”の積み重ねがとても大切です。 それぞれの予防策には、以下のような明確な理由があります。

1. 十分な水分摂取(1日1.5〜2リットル)

▶ 尿の流れを促し、膀胱内の細菌を洗い流すため

2. トイレを我慢しない

▶ 膀胱に長時間尿をためると、細菌が繁殖しやすくなるため

3. デリケートゾーンを清潔に保つ(拭き方は前から後ろへ)

▶ 肛門周囲の大腸菌が尿道口に近づくのを防ぐため

4. 下腹部や足元を冷やさない

▶ 体が冷えると血流と免疫力が低下し、細菌の侵入を許しやすくなるため

5. 治療後は特に体調変化に敏感になる

▶ 膀胱粘膜が傷つきやすく、細菌感染が起こりやすいため


まとめ:がんと向き合うあなたへ、膀胱炎という“サイン”に気づいて

がん治療中の膀胱炎は、単なる“よくある病気”ではなく、体からの小さなSOSです。

膀胱炎のサインに早く気づき、適切な対処をすることで、より安心して治療を継続することができます。

あなたの毎日が少しでも快適に、安心して過ごせるように——。 そのお手伝いが、このブログを通してできればうれしいです。


くるみん
くるみん

くるみかんらの問いかけです。
あなたは今日、どのくらい水分をとりましたか?
トイレに行きたいのに我慢していませんか?
気になる体調の変化、放置していませんか?


【ご注意】

本記事は筆者の体験と一般的な医療知識に基づいて執筆しています。 治療や診断は個々の症状や状況により異なりますので、体調に不安がある場合は、必ず主治医または専門医にご相談ください。 本記事は医学的判断や治療の代替を意図するものではありません。


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