はじめに|“食べること”への不安から、私の食卓は変わりはじめた
私は50年近く生きてきて、正直、食生活に特別気を遣ってきたタイプではありませんでした。 揚げ物大好き。てんぷら、フライドチキン、クリームコロッケが三大好物。 金曜の夜には子どもたちと「パーティーだ!」と言って、コーラとポテチで一週間を締めくくるのが恒例行事でした。
がんになっても、最初のうちは「何を食べればいいんだろう?」と考える余裕すらありませんでした。 しいて言えば、不安と痛みで食欲が落ちて自然と量が減ったくらい。
でも—— 手術が終わり、BCG療法も無事に終えて、「さぁこれから」という時、ふと体の声に耳をすませたくなったんです。 「この体、これからも付き合っていくんだよな」と。そして思ったんです。 “今の体は、これまでの食生活でできあがっている。もしかしたら、これからの食事を変えることで自分の体が変わるかもしれない”と。

これをずっと食べていたら、そりゃ病気になるよね。
早く気付くことができて良かった🍀
自分の体と向き合う中で出会った“抗炎症食”という考え方
筋トレとランニングを始めたのは、治療が一段落してすぐのこと。 おかげさまで、もうすぐ3か月続いています。
そんな中、たまたま見たNHKの番組で「抗炎症食」という言葉に出会いました。 がん=遺伝やストレスのせい、と思っていた私にとって、食事や環境ががんと関係するという話は、あまり意識していませんでした。
しかも私は看護師。 患者さんの退院指導では「食事にも気をつけてくださいね」と言っていたけど、“抗炎症”というキーワードを意識して話したことなんて、正直一度もなかったんです。
「抗炎症食」ってむずかしくないの?
いえいえ、そんなことはありませんでした。 抗炎症食=炎症を抑える食品を意識して摂ること。ざっくり言えばこれだけ。
たとえば、
- 野菜(特にブロッコリー、トマト、玉ねぎなど)
- 青魚、納豆、味噌、豆腐といった発酵食品
- オリーブオイル、ナッツ類
- ヨーグルトや海藻類
特別なスーパーフードなんかなくても、身近な食材ばかりなんです。

どれも体によさそう!体の中の火事の火消し役の食材ですね!
逆に、できるだけ避けたい食品もあります。
- 過度な糖質や脂質:体内で炎症を引き起こしやすく、血糖値の急上昇や内臓脂肪の蓄積にもつながります。
- 精製された食品(白パン、白砂糖など):ビタミンやミネラルが取り除かれており、血糖値の急激な変動を引き起こします。
- 加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージなど):保存料や添加物が多く含まれ、発がんリスクが高まる可能性が指摘されています。

ちょっと油断するといつの間にかお口のなかでもぐもぐ。
……実はこれ、全部私の“得意分野”だったんです。 特に加工肉はお弁当の常連だし、白パンとベーコンで作る朝食サンドは至福の一品。 さらに、白パンにマヨネーズをたっぷり塗ってトースターで焼いたパンは、それだけで最高のごちそうでした。 これを絶つのは、今でも正直つらいです。 でも、「これは控えめにしてみよう」と意識するだけで、自分の体への思いやりが少し育っていくような気がしています。
今の私の食卓、こんなふうに変わってきました
野菜が主役に。サラダは私の“主食”?
最近はサラダを毎回必ず用意しています。 定番は、ブロッコリー、キャベツ、レタス、トマト、豆苗、キュウリ、玉ねぎあたり。 家族にはあまり人気がなくて、結局は私が全部食べてるんですが(笑)、気づけばそれが心地よくなっています。
ドレッシングは和風、ごま、シーザーなど気分に合わせてチョイス。 「体にいい」だけじゃなくて、「気分が上がる」って実はすごく大事なんですよね。
納豆、豆腐、自家製ヨーグルト。発酵食品の力を信じて

写真のような感じではありませんが、手術前に比べて野菜は3倍摂っています!
納豆と豆腐は意識して毎週冷蔵庫に常備。 朝は自家製ヨーグルトを食べる習慣もつきました。 最近はわかめや海藻も意識して摂るようになっています。
自家製ヨーグルトは牛乳にヨーグルト菌(ビフィズス菌)をいれて専用のメーカーで簡単に作れます!
魚は食べたいけど…家族の壁が(笑)
実は私、魚は大好きなんです。 でも、次女が魚を全く受け付けなくて…。食卓に乗せただけで部屋から出ていっちゃうくらい。なんとかっぱえびせんも食べません!
そのため、我が家の食事から魚がフェードアウトしてしまったのが少し残念。 でも、お弁当や外食では魚を選ぶようにしています。
失敗もたくさんあったけど、それも私の“食べる道”
正直、夜21時過ぎにポテチとコーラで「今週もお疲れさま!」パーティー、いまだに名残りがあります(笑)
ちなみに、手術の前に受けた検査で「脂肪肝」と診断されたのも、私には大きな衝撃でした。 マヨネーズのような油の多い食品が、どれだけ体に負担をかけていたのか——ようやく身をもって理解できた気がしています。 でも、これがよくないってことは、自分でもわかってる。
さらに正直に言うと、私はマヨラーでした。 白ご飯にマヨネーズをかけて食べるのが当たり前、 焼きそばにも、てんぷらにもマヨネーズを“追いがけ”して「うまいっ!」と叫ぶ日々。
…いま考えると、完全に油の洪水。 がんを経験して、手術後にようやく気づきました。マヨネーズは、油と卵と酢の“塊”だったんですね。
それからは、マヨネーズの量もぐっと減らし、ほとんど使わなくなりました。 「体にいい」というよりも、「もう体が受け付けなくなった」のかもしれません。
白米も、手術前に比べて1/2程度に。 白砂糖は三温糖に、白米はできれば玄米に……と思いつつ、ちょっとお高めなのでまずは“量を減らす”という形で落ち着いています。
食べる順番も、野菜→たんぱく質→炭水化物を意識。 「これはダメ」じゃなく「これはちょっと減らそう」ぐらいの気持ちでやっています。

「食べること」が、未来へのメッセージになる
がんになって、私の体は“乗り換えられない車”なんだと実感しました。 だからこそ、これからはこの体と丁寧に付き合っていきたい。
ストイックになりすぎず、でも諦めず。 「ちょっとだけ、体にいいことしてみようかな」 そんな気持ちで選ぶ食材やメニューが、私の未来を少しずつ変えていく——
そう思えたのは、病気になったからこそかもしれません。
乗り換えられない体だからこそ、労わってあげたい。食事も体にいいものを摂りたいですね。
あなたは、今日なにを食べますか?

- 自分の体に「ありがとう」って言いたくなるような食べ物
- 明日の自分がちょっと軽くなるような夕食
- 家族と笑い合えるような、あたたかいメニュー

そんな“未来にやさしい一皿”を、今日も一緒に探していきませんか?
野菜中心の食生活にしてから、自然とお通じもよくなりました。だけど、手術後にはどうしても便秘気味に。そんなときの酸化マグネシウムの使い方をお伝えします。