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【がん患者×看護師】二つの視点から伝えたいことがんになった看護師がブログを始めた理由|半年で見つけた“書く意味”

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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がんのスイッチが入った——それがすべての始まりだった

あの日、主治医の口から聞いた言葉を今もはっきり覚えている。
「あなたはリンチ症候群です。この年齢でがんになったのは、“がんのスイッチ”が入ったということです。」

その瞬間、私の“物語”が始まった。
看護師として25年間、外科・内科・救命センター・訪問看護と、あらゆる現場でがん患者さんを支えてきた。
「患者さんの気持ちはわかっているつもり」
そう思っていた。けれど、自分が“患者”という立場になった瞬間、その自信は音を立てて崩れた。

頭の中をよぎったのは「仕事」「家族」「お金」——そして「これからの生き方」だった。
手術や化学療法を選択すれば、数か月から年単位で働けなくなるかもしれない。
大学生・高校生・中学生の3人の子どもを育てる父として、家計を支える大黒柱として、倒れるわけにはいかない。

それでも、がんは待ってくれない。
「仕事よりも、自分の体と治療を優先しなければならない」
その現実を前に、私は初めて“怖さ”を感じた。

だからこそ、考えた。
「看護師という仕事以外で、自分の力を活かせる道はないだろうか」
そうして出会ったのが、“ブログ”というもう一つの居場所だった。


看護師として、がん患者として——二つの視点で伝えられることがある

ブログを始めた理由をひと言で言うなら、
「この物語を一人のものにしたくなかった」からだ。

自分ががんと闘う中で感じる不安や痛み、そして日常の小さな喜びを、
同じように闘っている誰かに届けたい。
医療者としての知識があるからこそ、正しい情報をわかりやすく伝えられる。
そして、患者としての痛みを知った今だからこそ、言葉にできる優しさがあると思った。

最初の頃は、まるで暗闇の中で手探りしているようだった。
記事を書いても誰も読まない。
検索結果にも出ない。
「本当に意味があるのだろうか」
そんな疑問と焦りの中で、それでも私はキーボードに向かい続けた。

「ブログはストック資産になる」
「2〜3年続ければ収益が出る」

そう言われても、実際には半年書き続けても収益は0円だった。
けれど、それでもやめようとは思わなかった。
なぜなら、ブログを書くことが、私自身の“生きるリハビリ”になっていたからだ。


沈黙の中にあった声——Xで知った“孤独の共有”

転機は、SNSの発信だった。
X(旧Twitter)で、自分のブログ記事を投稿するようになってから、
多くのがん患者さんとつながることができた。

そこには、私と同じように不安と闘っている人たちがいた。
「誰にも言えないまま、夜眠れない」
「検査結果を待つ1週間が怖い」
「家族には心配をかけたくない」

その投稿の一つひとつに、かつての自分を見た。
「私も同じです」と返すコメントに、見えない温かさを感じた。

ある時、一人のフォロワーさんからこんな言葉をもらった。

「あなたのブログを読んで、知らなかったことを初めて知りました。
看護師さんの視点って、こんなにありがたいんですね。」

その一言で、胸の奥に灯がともった。
あぁ、私のブログは“意味を持てている”——
その気づきが、私を再び前に進ませてくれた。


数字では測れない“価値”があると知った半年

今、110本を超える記事が積み重なった。
振り返れば、苦しかった日も、涙で手が止まった夜もあった。
それでも、不思議と「やめたい」と思ったことは一度もない。

少しずつ届く感想やDMに、「この情報、知らなかった」「助かりました」と書かれている。
それは、広告収入の何倍もの価値がある“報酬”だった。

ブログを書くことは、自分を癒やす行為でもあり、
同時に誰かを支える力にもなる。
「看護師として」ではなく、「一人の人間として」寄り添う言葉がある。

収益が0円でも、心が満たされる瞬間がある。
それは、数字では測れない“価値”だと、この半年で気づいた。


書くことが、生きることに変わった

この半年を通して、私は一つの答えを見つけた。
「書くこと」は、生きることの延長線にある。

不安や痛みを言葉にすることで、心の中に溜まった重りが少しずつ軽くなる。
そして、それを読んだ誰かが「自分だけじゃない」と思えたら、
その瞬間、苦しみは“つながり”に変わる。

がんと向き合う人の中には、「どうせ私なんて」「何をしても意味がない」と感じてしまう人もいる。
でも私は伝えたい。
どんな状況でも、できることは必ずある。
それが、今の私にとっては“書くこと”だった。


これから——言葉で、希望をつなぐ

これからも私は、医療者としての視点と、患者としての心を両方持ちながら書き続けていく。
「がんになっても、人生は続く」
「生き方を変えるチャンスにもなる」

そう伝えられるブログでありたい。

目標は、収益ではなく、“価値”を届けること。
同じようにがんと闘う仲間が、少しでも心穏やかに過ごせるように——。
そのために、私は今日もキーボードに向かう。


あなたは、いま何かに挑戦しようとして怖くなっていませんか?
結果がすぐに出なくても、続けることで見える景色があります。
0円でも、心を動かす価値がある。
私はこの半年で、それを確かに感じました。


まとめ

がんの告知を受けたとき、人生が一度止まったように感じた。
でも、止まったのではなく、“新しい物語”が始まっていたのだ。

ブログは、その物語を紡ぐための言葉の灯。
そして今も私は、画面の向こうにいるあなたへ——
「一人じゃないよ」と、静かに伝え続けている。

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