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【がん×団信】住宅ローンが1000万円免除された日|契約して10年後に救われた現実

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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※本記事は筆者の実体験を元にした内容であり、保険や金融商品に関する最終的な判断は、各自の状況に応じて専門家にご相談ください。


はじめに|がんの告知と、思わぬところから届いた「救い」

「がんの可能性があります」 医師からそう告げられた瞬間、頭の中が真っ白になりました。 病気、仕事、家族…そして、お金。

ちょうどその頃、子どもたちは大学1年生、高校1年生、中学1年生へと進学し、人生でもっともお金がかかるタイミングでした。そんな時に告げられた「がんの可能性」。もしかしたら、これから働けないかもしれない、ローンが返せなくなるかもしれない…。自分の体よりも、仕事よりも、まず真っ先に浮かんだのは「お金」のことでした。押し寄せる不安の中、ふと10年前に住宅ローンの借り換えをしていたことを思い出し、急いで契約内容を確認。すると、「住宅ローンの残高が半分になるかもしれない」という可能性が、まるで暗闇に差し込む一筋の光のように思えたのです。

今回は、がんと診断された私が経験した「三大疾病特約付き団信*」による住宅ローン減額の話を、包み隠さず綴ります。 同じように病気の不安や住宅ローンの重みに悩む誰かの参考になればと願いながら──。
*団信=団体信用生命保険


がんの疑いから始まった“お金の不安”

保険を解約していたことへの後悔

がんの疑いを告げられた時、まず頭をよぎったのは治療や家族のことではなく、「お金」のことでした。 私はちょうどその数ヶ月前に、29年間加入し続けていた医療保険をすべて解約してしまっていたのです。 というのも、私はリンチ症候群でがんのリスクが高いことを自覚しており、29年間にわたり毎年欠かさず入念な検査を受け続けていました。 それでもこれまで一度もがんの兆候はなく、さらに貯金も少しずつたまり始めていたことから、「万が一が来ても、もう貯金で対応できるだろう」と判断してしまったのです。

「貯金でなんとかなるだろう」と思っていた判断が、まさに今問われることになるとは──。

団信の存在を思い出した瞬間

そんな中、ふと思い出したのが10年前、住宅ローンを組み直したときに加入した「三大疾病+重度慢性疾患特約付き団信」でした。 金利は少し高かったものの、「がんになる確率は2人に1人」と聞いて、リスクヘッジのつもりで加入したのです。 正直なところ、そのとき私は「どうせ毎年検査してるし、早期発見なら命は助かる。もしがんになってローンが半分になるなら…それもありかも」なんて、今思えばとても浅はかな考えをしていました。 本当に、バカな考えだったと思います。

今思えば、あのときの自分の選択が、未来の自分を救ってくれたのです。


「団信適用」でローンが半分に|その手続きとリアルな恩恵

申請から承認までの流れ

団信の適用には、医師の診断書や詳細な病状証明が必要でした。 契約時に作成していた「告知義務報告書」の複写を何度も確認しながら、「自分は適用されるはずだよな…」と何度も確かめました。なにせ、免除されるのは数百万円単位。失敗は許されません。 実際、私は契約当時からリンチ症候群であることを知っており、がんリスクが高いことは自覚していました。けれど、その報告書には遺伝子診断の有無を記載する欄もなく、報告義務もなかったため、正直なところ内心はドキドキしていました。 尿管がんの正式な診断を受けたその日に、すぐ保険会社に連絡。所定の診断書を入手し、病院に作成を依頼しました。診断書も2週間弱で仕上がり、保険会社に提出後、まもなくして「住宅ローンの半額が免除になります」との正式な通知が届きました。

家計に与えるインパクトは絶大

免除された額は、約1,000万円。 この減額のおかげで、治療に集中する精神的余裕が生まれ、家族への不安も大きく軽減されました。

医療保険をすべて解約していた私に、妻からは「勝手なことをして…」とため息をつかれたこともありました。 がんと診断され、精神的に追い詰められていた私にとって、この知らせは本当に救いでした。 その瞬間、思わず「神様、ご先祖様、ありがとう…」と心から感謝の気持ちがこみ上げてきました。 心の底から、嬉しかったです。


もし団信に入っていなかったら…考えたくない未来

「働かないと払えない」現実が襲っていたかも

もし団信に入っていなかったら…。 がんと診断された直後、まともに働けるかどうかもわからない状況の中、毎月の住宅ローン返済は確実にやってきます。 収入は減るのに、出ていくお金は止まらない。 「このままでは生活が立ち行かなくなる」「治療より先に仕事に戻らなきゃ」と焦りと不安でいっぱいになっていたと思います。 返済のために無理をして働けば、体調は悪化し、再発や命に関わることだってありえたかもしれません。 そんな未来を想像するだけで、今でも背筋が凍るのです。

保険の価値は“何かあったとき”に初めてわかる

「保険なんて使わないまま終わる」と思っていた過去の自分に、今ならこう言えます。 「使わなかったなら、それが一番幸せ。けれど、使わざるを得なくなった時、保険は人生を救う盾になる」

そして、もし遺伝子診断でがんになる可能性が高いとわかっているなら、がん保険に加入する理由は大いにあります。 私自身、リンチ症候群という遺伝的背景がありながら、検査を続けて何も起きなかったという安心感から保険を解約してしまったのですが、がんになって改めて思いました。 うれしくないけど、がんになる確率が高いなら、入らない手はない。情報とリスクを知ったうえで、自分と家族を守る準備をしておくことが、何より大切なのだと。


ただし…後悔している選択もある

連帯債務者が妻だったために全額免除にはならず

住宅ローンの名義は、私と妻の“連帯債務”でした。 そのため、私のがんで適用されたのは「私の持分50%のみ」。もし単独名義で契約していれば、全額免除の対象になっていたのです。

もちろん、そのときは「夫婦で支え合うのが当たり前」と思って選んだ選択でしたし、それ自体を後悔しているわけではありません。 ただ、もし私だけの名義だったら…と思わずにはいられません。

一方で、こんなことも考えます。もし将来、妻ががんになったとしたら? そのときは、今回の保障と同じように、妻の持分について保険が適用され、ローンの残り半分が免除になるかもしれない。 そう考えると、この“連帯”にも意味があるのかもしれないな、なんて思ったりもします。 もちろん、妻が病気になるなんて想像したくもありません。 でも、もしそうなったとしても、家族の暮らしを守る一助になると思えば、当時の選択にも意味があったのだと、少しだけ気持ちが救われるのです。

当時は夫婦で支え合う前提だったけれど、今となってはその選択が悔やまれます。


いま選べる住宅ローンプランの選択肢|安心のカタチは人それぞれ

10年前、私が団信付き住宅ローンを選んだときには、保障プランの選択肢はごく限られていました。 けれど、現在はさまざまな生活スタイルや健康状態に応じたプランが各銀行から提供されています。

ここでは、代表的な団信付きローンプランをまとめてご紹介します。 ※記載の「上乗せ金利」は、通常の住宅ローン金利に追加される利率です。

主な団信付き住宅ローンプラン一覧

プラン名内容上乗せ金利(目安)
全疾病保障ベーシックプランすべての病気による所定の状態に対応。入院や就業不能時にも保障。0.0%
がん保障プランがんと診断された時点でローン残高が全額または一部免除。0.2%
三大疾病+5つの重度慢性疾患保障プランがん・急性心筋梗塞・脳卒中+慢性腎不全・肝硬変など。0.3%
全疾病保障プラン入院や就業不能を含む幅広い病気・けがに対応。0.4%
夫婦連生保障プラン夫婦どちらかに保障対象の病気があれば免除対象に。0.4%
引受条件緩和型プラン健康上の不安がある人も加入しやすい設計。0.3%

あなたに合ったプランを選ぶために考えるべきこと

どの保障プランを選ぶべきかは、一概には言えません。 以下のような要素をじっくり見つめ直すことが、最適な選択への第一歩です。

  • 夫婦それぞれの健康状態や既往歴
  • 将来的な収入の見通し
  • いざというときに使える貯蓄額
  • 子どもや家族の生活設計
  • 自営業か会社員か、就業形態の違い

私の場合、遺伝性疾患のリスク(リンチ症候群)があったため、少し金利が高くても「万が一」に備える判断をしました。 それが結果的に今、大きな安心材料になっています。

「不安だから加入する」ではなく、「納得して選ぶ」時代へ

「全部つけた方が安心」と思われるかもしれませんが、過剰な保険加入は返済額を圧迫するリスクも。

銀行側も「安心という商品」を売ることで利益を得ています。だからこそ、冷静に比較し、自分にとって本当に必要な保障はどれかを見極めることが大切です。

たとえば、無料シミュレーションサービスを活用することで、金利と保障のバランスを自分の状況に合わせて判断できます。 “なんとなく”ではなく、“納得して選ぶ”──それが後悔のない選択につながります。


がんと向き合う中での気づき|結局は「健康が一番」

今一番感じているのは「健康のありがたみ」です。

普段は当たり前のように動いていた体が、思うように動かなくなったとき、初めて“健康こそがすべての土台”だったのだと気づかされました。 仕事も、お金も、家族との時間も、全部「健康」があってこそ。

今は病室のベッドの上で、静かな時間の中、自分自身とじっくり向き合うことができています。 命のこと、これからの生き方、そして大切な人たちとの関係── 病気になったからこそ立ち止まり、改めて見つめ直すことができたのだと思います。

いくら保障があっても、病気にはなりたくない。 けれど、なってしまった今、「備えていたこと」に何度も救われました。 そしてやっぱり、健康であることの価値は何にも代えられないと、心から実感しています。

いくら保障があっても、病気にはなりたくない。 だけど、なってしまった今、「備えていたこと」に何度も救われました。


おわりに|あなたなら、どんな選択をしますか?

最後に、読者のあなたに問いかけます。

金利の安いローンを選び、保険なしで貯蓄に頼るか。 それとも、金利が少し高くても、万が一に備えた団信を選ぶか。

正解はひとつではありません。 でも、私にとって一番大切だったのは、「家族を守ること」でした。

あなたがこのブログをきっかけに、住宅ローンや保障の選び方を見直すきっかけになれば嬉しいです。 備えることは、未来の自分を守ること。 その一歩を、今から始めてみませんか?

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