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元・仕事人間の私が気づいた「物より体験」の価値

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この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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〜タイムバケットで叶える、豊かな人生の歩み方〜

■「仕事が人生」だったあの頃

看護師として働き始めてから、私はずっと“仕事最優先”の生活を送ってきました。
自慢ではありませんが、看護業務には誰よりも熱心に取り組んできたつもりです。

患者さんへの個別指導案を整備し、研修にも積極的に参加。やがては研修を企画・運営する立場になり、休日も自宅でスライド資料を作成するなど、仕事に没頭する日々でした。
看護学会での発表も5回ほど行い、「やり切った」という思いはあります。

そんな私が一番嬉しかったのは、患者さんからの「ありがとう」の言葉でした。
その一言を聞くだけで、どんな苦労も報われた気がしていたのです。

■誰かの「ありがとう」を支える側に

新人教育や研修に力を入れていたのも、私自身の満足だけではありませんでした。
“私以外の看護師も、患者さんに寄り添えるように”と、職場全体の質を高めることを意識していたのです。

訪問看護ステーションを立ち上げてからの3年間は、まさに休みのない毎日でした。
オンコール対応のため地元から出られず、常に「何かあったらすぐに駆けつける」状態。
経営の責任やスタッフとの人間関係の軋轢に、心身ともに疲れ果てていました。

でもそれは、「人生の最期を、住み慣れた自宅で迎えたい」と願う方の力になりたかったから。
自分を犠牲にしてでも、誰かの願いを叶えたかったんです。

でもそれは長く続かず、私の知らないところで次第に大きな問題になりつつありました。

■がんがくれた「自分に問いかける時間」

そんな私ががんと診断され、これまでの生き方を見つめ直すことになりました。
ご高齢の利用者さんの状態を見ているとき、おむつ交換をしているとき、クレーム対して深く頭を下げ謝罪しているとき、看護スタッフからの不満を聞いているとき、経営がくるしく借入を銀行に申し込んでいるとき、

ふと、こんなことを思ったんです。
「私は、自分の人生を誰かのためだけに使ってきたのでは?」
「もっと、自分を労わってもよかったんじゃないか?」
「やりたいこと、我慢してきたんじゃない?」

そう問いかけながら、次第に“自分のための時間”を大切にしたいと思うようになりました。

■タイムバケットとの出会い

そんなとき出会ったのが、「お金の大学」でおなじみの両学長が紹介していた“タイムバケット”という考え方。
これは、「何歳までにこれをしたい」という人生のToDoリストを年齢別に書き出す方法です。

「いつかやりたい」と思っていたことを、“今やる”ための行動に変えてくれる、魔法のようなツールでした。

■最初に叶えた夢は「渡辺美里さんのコンサート」

私の最初のタイムバケットは、高校時代から30年以上も聴き続けてきた渡辺美里さんのコンサートに行くことでした。
今まで一度も行ったことがなかったのですが、「生きている今、行かなきゃ後悔する」と思い、即チケットを申し込みました。

しかもコンサート自体が人生初!
会場で聴いた生歌は、涙が出るほど感動的で、言葉にできない喜びを感じました。

■「体験」が人生を豊かにする

がんを経験して強く思うのは、“モノ”より“記憶に残る体験”こそが人生を彩るということ。
大切なのは、「いつかやりたい」じゃなくて、「今できることを一つずつ叶えていく」ことなんです。
がんになるまでは、高級車に乗りたいと考えていましたが、この「“モノ”より“記憶に残る体験”こそが人生を彩る」の考えにて思考は一変し、軽自動車でもいいじゃないか!移動は公共機関を使えば自分が事故をせず、作業もできると考えるようになりました。

次に叶えたいタイムバケットは、モルディブ旅行やクルーズ船の旅、F1観戦など。
どれもお金がかかるし、すぐには無理かもしれません。でも「やりたいことを知っている」だけで、検索したり考えたりしているだけで、毎日にワクワクが生まれます。

■あなたも、自分のタイムバケットを作ってみませんか?

がんではない方も、この記事を読んでくださっているかもしれません。
でも、私たち誰もが「明日がある」とは限らない。

だからこそ、健康な今、心も身体も動くうちに、自分の“やりたいこと”を棚卸ししてみてほしいのです。
それが、「タイムバケットを作る」ということ。

大きな夢でなくていいんです。
ちょっと贅沢なランチを食べる。気になっていた美術館に行く。
——そんな小さな体験が、あなたの人生を確かに豊かにしてくれます。

■まとめ|“誰かのため”の次は“自分のため”に生きよう

仕事も大切。誰かのために尽くすのも素晴らしい。
でも、自分のために時間を使ってもいいんです。
それが、きっと「生きててよかった」と思える瞬間をくれるはずです。

私の経験が、あなたの「これから」を少しでも明るく照らすきっかけになれば幸いです。

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