私は訪問看護師として独立し、訪問看護事業所を立ち上げました。
2年半が経ち、まだ順風満帆とは言えないながらも、多くの利用者様とともに日々を過ごしていました。
経営者として現場にも立ち、プレイヤーとしても多忙な日々。
そんな時、「がんの可能性」を医師に告げられました。
当初は、手術さえ乗り越えればまた現場に戻れると信じていました。
でも、そう簡単にはいきませんでした。
治療の現実と向き合う中で、私は大きな選択を迫られることになります。
“仕事か、治療か”という問いに押しつぶされそうだった
がんの原因は、私の場合は遺伝子のミスマッチが主なものでした。
でも、自分の感覚としては、慢性的なストレスも大きく影響していたと思っています。
診断を受けてからは、頭の中で「会社」よりも「治療」や「命」が優先されるようになりました。
3人の子どもと妻、大学・高校・中学と進学を控える子どもたちの教育費、そして家庭を支える収入。
どれも捨てられない。でも、健康を犠牲にすればすべてが崩れる——。
「仕事か、治療か」。
その選択肢の間で、私は深く、長く悩みました。
正直、その時は、未来に希望など持てず、暗闇の中で立ち尽くしていたのです。
社内への告知——“隠す”か“伝える”か
経営者仲間からは「病気は隠すべき」とアドバイスを受けました。
がんであることが知れ渡れば、金融機関からの融資が難しくなったり、信用に関わる可能性があるからです。
でも私は、
現場で訪問看護を担うプレイヤーでもあります。
私が休めば、スタッフへの負担は増し、利用者様にも影響が出る。
社内に伝えなければ、仕事を引き継ぎ、事業を維持することは難しくなります。
最終的に私は、がんの確定診断を受けた翌日、社員全員に自分の状態を包み隠さず伝えました。
経営と治療の両立——限界と決断
がんと診断されても、私は毎朝一番に出勤し、夜は最後まで残り、訪問件数も多くこなしていました。
経営者として、稼ぎ頭として、会社を守らなければという気持ちが強かったのです。
でも、手術が決まり、治療が進むにつれ、私は初めて「自分の体と心に誠実になろう」と思うようになりました。
中途半端に経営を続けても、熱意が戻らなければ意味がない。
結果的に私は、会社を閉じる決断をしました。ステーションの設立からわずか3年。
短くも濃い時間でした。
利用者と向き合いながら、事業を閉じる準備を
会社を閉じるには時間がかかります。
私は、自分の仕事を少しずつ管理者へ引き継ぎ、訪問も同行しながら移行を進めていきました。
利用者様には、信頼できる近隣のステーションを紹介し、円滑な引き継ぎを心がけました。
営業してようやく繋がった利用者様を手放すのは、正直、つらいことでした。
でも、私が抜けた後も安心してケアが継続できるよう、誠心誠意対応しました。
新しい職場、そして治療と仕事の両立生活
経営を手放しても、生活は続きます。
3人の子どもを育て、家族を支える責任がある私は、治療に専念する選択肢はありませんでした。
そんな中、以前からご縁のあった訪問看護ステーションの社長が、私に手を差し伸べてくださいました。
一看護師として再出発しながら、社長の立場や経営視点を活かし、お手伝いできる立場を得ることができました。
自分の体調に耳を澄ませる日々
手術のあとは、体力も落ち、傷の痛みも強く、できていたことができなくなる現実と向き合いました。
時には痛み止めを続けて飲み、下剤や睡眠薬に頼ることもありました。
でも、それでいいんです。
無理をしない。
助けが必要なときは「助けて」と言う。
それは甘えではなく、生きていくための知恵だと、私は思います。
“大丈夫”と涙させてくれた言葉
ある日、余命半年と宣告された利用者様から言われた言葉が、今でも心に残っています。
「俺はこんな状態だけど、大丈夫、きっと大丈夫だから。信じて、治療を続けなさい。」
その言葉には命の重みがありました。
軽い慰めではなく、人生をかけて絞り出した言葉。
そのとき、私はこの方の分まで、絶対に生きようと心に誓いました。
今、思う「仕事」と「生きること」のバランス
私が立ち上げた訪問看護事業は、いわばストック型の収益モデルです。
自分が現場で動かなくても、スタッフが訪問すれば収入が入る仕組み。
でも、私自身が健康であってこその話です。
がんになり、これまでのように“バリバリ働く”ことは難しくなりました。
自分に価値はあるのか?これから何ができるのか? 悩みに悩みました。
看護一筋、ずっと現場で働いてきた私は、「知識や経験をどうすれば“資産”として生かせるか」を考えるようになりました。
そして辿り着いたのが、「オンラインで発信する」こと。
25年以上の看護経験、治療やケアに関する知識。
それをブログという形で発信すれば、直接会えない人にも届けることができる。
そしてその記事が読まれることで、広告収益(アフィリエイト)という形で収入も得られる。
これは、治療と両立しながら続けられる、私にぴったりの働き方でした。
“働く”を見直すきっかけになった経験
自分の体や心は、何より大切な資産です。
その資産を活かすも殺すも、自分次第。私は、自分の知識や経験を、誰かの役に立つ形で積み重ねていきたい。
発信を続ければ、それはいつか大きな木となり、ネットの世界に根を張り、収入という果実を実らせてくれるかもしれない。
もちろん、今も本業は訪問看護師。無理せず、自分のペースで働くことを大切にしています。
同じように悩むあなたへ
くるみんからのメッセージ
仕事を辞めずに済むなら、それも素晴らしいことです。
でも、体が無理できない状態なら、自分を責めないでください。
これから治療や手術で休むことが増えるなら、自分に代わって稼いでくれる「ストック型の働き方」を少しずつ準備してみるのもいいと思います。
ブログ、YouTube、オンラインサロン、電子書籍、投資、不動産——挑戦できる手段はたくさんあります。
ストレスからできるだけ離れ、心と体に常に向き合う環境を整えてください。
心の声に気づけるだけで、健康や命を守れる可能性が広がります。
最後に——
くるみん今が、あなたの人生で一番若い日。
今日まいた種が、未来のあなたを支えてくれる日がきっと来ます。
焦らず、あなたのペースで、あなたらしい働き方を探していきましょう。
📝あとがきとして
このブログは、私ががんと向き合いながら感じたこと、経験したことを誰かの助けになればと思い綴っています。
一部に広告を設置していますが、これは治療を続けながら発信を続けるための仕組みです。
あたたかく見守っていただければ嬉しいです。