目が覚めた瞬間に、胸を襲う重たい気持ち
朝、目を開けた瞬間から胸の奥に広がる、得体の知れない不安。
「動けない」「何もしたくない」——そんな思いが頭をよぎる日もあります。
これって、うつ病に似た症状だと知ってはいたけれど、私の場合はもっとハッキリした背景がありました。
「がんかもしれない」と医師に告げられてから、朝の不安は一段と強くなったのです。
思い出すのは、泌尿器科で「尿管がんの疑いがあります」と言われたあの瞬間。
「なぜ自分が?」「こんなに気をつけてきたのに?」——頭の中をぐるぐると疑問が駆け巡りました。
私は「リンチ症候群」という遺伝的ながんリスクを持っているため、20代から毎年欠かさず検査を受けてきました。
胃カメラも大腸カメラも、血液検査や尿検査だって徹底してきたつもりでした。
だからこそ、49歳でがんの疑いを突きつけられたときの衝撃は計り知れませんでした。
なぜ、朝がいちばん不安になるのか?
私が感じる朝の不安には、どうやら「心」と「体」両方の仕組みが関係しているようです。
心理学的には、私たちの意識は「顕在意識」と「潜在意識」に分けられると言われます。
顕在意識は今の感情や思考、つまり“頭で考えていること”。
一方、潜在意識は、これまでの経験や感情が積み重なった“心の奥深く”。
朝は、この2つの意識が交錯する時間帯。
特に潜在意識は「現状維持」を好むので、がんの疑いという現実が、安心したい心をかき乱してしまう。
だから、「また血尿が出たら?」「治療はどうなる?」という不安が、次々と浮かび上がってくるのです。
そしてもうひとつ。
朝は、副交感神経(休む神経)から交感神経(活動モード)へスイッチが切り替わる時間帯。
この切り替えがうまくいかないと、不安や焦りを感じやすくなるのだとか。
私の場合、布団の中で「この先どうなるのかな」と考え込む癖があって、
それが自律神経の切り替えを遅らせて、さらに不安を引き延ばしているのかもしれません。
不安に飲み込まれそうな朝に、私がしていること
私が実感している「朝の不安」への対処法は、シンプルだけど確実なこと。
それは、「体を動かす」ことです。
ラジオ体操の時間に合わせて、意識的に布団を抜け出す。
軽いストレッチや、20分程度のウォーキングでも、心が少しずつ軽くなっていくのを感じます。
そしてもうひとつ大切なのが「朝のルーティン」です。
決まった時間に起きて、コーヒーを淹れ、朝ごはんを用意する。
その一連の流れが、自分を「今日に戻す」スイッチになってくれます。
ときどき、「心配していることの8割は起こらないよ」と自分に言い聞かせることもあります。
血尿の再発、治療費、仕事や生活のこと…不安を真面目に考えれば考えるほど、終わりのないトンネルに入ってしまう。
だからこそ、今できる行動に集中して、「今、私は生きている」と実感するようにしています。
不安の中にいるけれど、それでも私は進む
泌尿器科からの電話があったあの日を境に、私の心はまるでジェットコースターのようになりました。
揺れる感情、押し寄せる不安、時にどうしようもない苛立ち。
でもその中には、家族への感謝や、自分自身と向き合う静かな時間もありました。
まだ、がんの確定診断は出ていません。
それでも、「尿管がんの疑い」という言葉が、私の人生観を大きく変えてしまったことは間違いありません。
自分の身体に耳を傾けながら、「これから、どう生きていくのか」を考え始めています。
朝に希望を取り戻すために
朝は一日の始まり。
不安に心が沈む日もあるけれど、小さな行動をひとつ起こすだけで、その日を少しだけ前向きに変えることができます。
「よし、今日もやってみよう」
そう声に出して、私はキッチンに立ちます。
家族のためにお弁当をつくる。ラジオ体操に合わせて体をほぐす。
その一つひとつが、不安に支配されそうな私を救ってくれます。
誰だって、不安を感じる朝はあります。
でも、それをどう受け止めて、どう付き合っていくかで、人生の質は変わっていく。
私は今日も、自分の心に寄り添いながら、一歩ずつ歩き続けています。
私は今日も、自分の心に寄り添いながら、一歩ずつ歩き続けています。
——あなたは、朝の不安とどう向き合っていますか?