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診断書の夢に揺れる夜——不安と希望のあいだで

この記事を書いた人:くるみん

がんサバイバー×看護師。療養と生活のリアルを発信中。
「前を向きたい人の、灯りになれるブログ」を目指しています。

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はじめに

このブログは、私が血尿をきっかけに泌尿器科を受診し、造影CT検査の結果「尿管がんの可能性」を指摘されたことから始まります。
その後、さらに精密検査を受け、確定診断が出るまでの約半月のあいだに感じた心の揺れをまとめたものです。

「がんかもしれない」と言われた瞬間のショック。
「いや、違うはずだ」と思いたい否認。
そして、不安が夢となって現れ、夜ごとに心を揺さぶられる時間——。

これは多くのがん患者さんが経験してきた感情であり、これから同じ道を歩む方にとっては「こんな気持ちになるのかもしれない」と知ることで心の備えになるかもしれません。

また、すでにがんを経験されたサバイバーの方には「そういえば自分もこういう夜があったな」と振り返るきっかけになるのではないかと思います。

不安と希望のあいだで揺れる心の記録を、少しでも共感を持って読んでいただけたら幸いです。

がんの可能性を告げられた瞬間——ショックと否認

「詳しい検査が必要です」

泌尿器科クリニックからの一本の電話。その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が凍り付いた感覚がありました。

頭では「がんの可能性」という意味だと理解できても、心はすぐには受け止められません。
「いや、そんなはずはない」「まだ確定診断じゃないし」——必死に自分に言い聞かせました。

これが、がんの告知に直面した人が最初に経験する“否認”なのかもしれません。人はあまりにも大きな現実を突きつけられると、すぐには受け止められず「違う」と思いたくなる。私もその典型でした。

けれども、否認の裏側には常に「もしかして」という不安が潜んでいます。昼間は仕事や家事で気を紛らわせても、夜になるとその影が静かに大きくなり、私を眠らせてくれませんでした。


診断書が夢に現れた夜

布団に入ったのは夜の9時半。体はそれほど疲れていないのに、心のざわめきが収まらず、眠りは浅く途切れ途切れ。

その夜、私は夢を見ました。

真っ暗な部屋。そこに一枚の白い紙が浮かんでいました。

大きく「診断書」と記されたA4の紙。
その下には私の名前、そして「尿管がん ステージⅢ」という文字。

「治療を要する」という冷たい言葉が突き刺さり、心が一瞬で凍りつきました。

夢だとわかっていても、胸の奥が重く沈み込み、かすかな希望が一瞬で消えていく。底の見えない沼に引き込まれるような感覚でした。

目を覚ますと、真っ暗な寝室で妻の寝息だけが聞こえます。その音に救われながらも、孤独と恐怖が波のように押し寄せ、布団の中でただ身を縮めるしかありませんでした。


甘えたいのに、強がってしまう夜

私の横で眠る妻。彼女は普段、家事も仕事も笑顔でこなしてくれています。

本当は「ぎゅっと抱きしめてほしい」「手を握ってほしい」と言いたい。
でも、その言葉がどうしても出てきませんでした。

——こんなときくらい甘えてもいいんじゃないか?
——いや、50歳を目前に控えた男が弱さを見せるなんてみっともない。

頭の中でそんな声がぶつかり合い、結局「強がり」を選んでしまいます。

あなたは、大切な人の前で素直に「弱さ」を見せられますか?


夢が映し出す心の揺れ

電話から10日が過ぎ、検査の日が近づいてきました。

その間にもいろいろな夢を見ましたが、診断書の夢だけは鮮明に残っています。

書きながら思うのは、夢は心が現実に順応するためのリハーサルなのかもしれない、ということです。

ショックを繰り返し体験することで、少しずつ「がんかもしれない現実」に備えているのかもしれません。
夢は心の奥からのメッセージ。——「怖いけれど準備をしておきなさい」と教えてくれているようでした。


不安な夜にできる小さな工夫

不安を抑えようとしても、頭の中で何度も同じ思考がループしてしまう夜があります。そんなとき、私は小さな工夫を取り入れるようにしました。

  • ノートに気持ちを書き出す :ブログのネタ帳になりました
  • 温かいお茶を飲む
  • 深呼吸をして「いまここ」に意識を戻す (マインドフルネス

夜中に目が覚めてリビングでブログを書いたときも、少しだけ気持ちが軽くなりました。

あなたは、不安に押しつぶされそうなとき、どんな工夫をしていますか?


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・マインドフルネスの考えはとくにがんサバイバーさんに会っていると思います。意識を集中し自分の状態を観察してみましょう!


家族の存在が与えてくれる安心感

ふと目に入ったのは、高校生の娘宛ての冬期講習の案内。

「治療にお金がかかったらどうしよう」
「娘の進学は大丈夫だろうか」

次々と不安が浮かんできます。

でも同時に「家族のためにできることを考えたい」という気持ちも湧いてきました。

家族がそばにいることは、不安を半分にしてくれる力があります。
そして、自分が家族の支えになりたいと思う気持ちもまた、不安を和らげる薬になるのだと感じました。


朝は必ずやってくる

4時を過ぎるともう眠れず、娘のお弁当や朝食を準備し始めます。

夜の不安をそのままにせず、「おはよう」と明るく声をかけたいから。

もし私が沈み込んでしまえば、家族全体が暗くなる。
だからこそ、朝を迎えるときは「切り替え」を意識しました。

夜はどれだけ長くても、朝は必ずやってくる。
不安を抱えたままでも、朝の光が新しい一歩を踏み出す力をくれるのです。


診断を待つ2日間に思ったこと

診断が確定するのはあと2日。

その間、不安が消えることはありません。
でも、夢や夜の葛藤を通じて、少しずつ心が現実に馴染んでいくのを感じます。

どんな結果であっても、それを受け止め、家族とともに前へ進む覚悟をしています。

「不安な夜を超えたあなたは、きっと少しだけ強くなっている」
そう信じて、この文章を読み返しています。


まとめ——不安を抱えるあなたへ

がんの可能性を突きつけられたとき、人はまず「否認」から始まります。
そんなはずはない」と思いたい気持ちは自然な反応です。

けれど、不安を無理に消す必要はありません。
大切なのは、その気持ちを受け止めて、少しずつ自分のペースで現実に馴染んでいくこと。

夢や夜の不安は、その準備をしている証拠なのかもしれません。

どうか、自分の心をいたわってください。
そして、もしできるなら、大切な人に弱さを見せても大丈夫です。

夜がどんなに長くても、朝は必ず訪れます。
あなたの朝も、必ずやってきます。

不安な夜を超えたあなたは、きっともう少しだけ強くなっています。
どうか、自分の心をいたわってあげてください。
朝は必ず、やってきます

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