健康診断の季節に思う、あの“白い液体”への違和感
会社の健康診断で「バリウム検査は受けますか?」と言われるたび、少し胸がざわつきます。
26年間、看護師として多くの患者さんを見てきて、そして自分自身も何度も検査を受けてきた身として——
「本当にそれだけで安心できるのだろうか?」と思うことがあるからです。
もちろん、バリウム検査は長い歴史のある大切な検査です。
多くの胃がんの発見に貢献してきたのも事実。
けれど今の時代、“影”で胃を見るバリウム検査より、“実物”を直接見る胃カメラのほうが確実だと感じています。
今日は、看護師としての現場経験と、自分自身の26年にわたる検査体験を交えて、
「バリウム検査」と「胃カメラ」の“本当のところ”をお伝えします。
バリウム検査のリアル——見えない“影”を追う検査
歴史ある検査法としての役割
バリウム検査は、造影剤であるバリウムを飲み、胃の形や凹凸をX線で映し出す方法。
胃の全体像を把握できるため、長年、胃がん検診の主力として使われてきました。
自治体健診などでは今でも主流で、費用も手軽。自己負担は500〜3,000円前後と比較的安価です。
「飲むだけで終わる」「短時間でできる」という気軽さは確かに魅力です。
ですが、私が現場で見てきたのは、その“手軽さの裏”にある見逃しリスクや苦労でした。

バリウム検査で感じた現場の限界
バリウム検査は、胃の内側の凹凸を“影”として映し出す検査です。
つまり、「影」を見て病変を推測するしかありません。
そのため、早期の胃がんや、平坦で色調変化を伴うタイプの病変は見逃されやすいのです。
造影で凹凸が出ている時点では、すでに病変がある程度進行しているケースも少なくありません。
実際に私が見てきた患者さんの中にも、
「バリウムで異常なし」と言われた数か月後に胃カメラで早期がんが見つかった方がいました。
その方は「じゃあ、あの検査は何だったの?」と肩を落としていました。
患者さんの“意外な苦労”
バリウムの味に顔をしかめる方、発泡剤のガスでお腹が張って苦しむ方、
撮影台の上で何度も体を回されて目が回る方——。
決して「楽な検査」とは言えません。
さらに、検査後には便秘になりやすく、下剤を飲むのが定番です。
それでも排出されず、翌日も腹痛を訴える方も少なくありません。
バリウムは決して悪い検査ではありません。
ただ、“見えない影を追う”という性質上、見落としのリスクと体への負担が同居する検査なのです。
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胃カメラの現実——“影”ではなく“真実”を見る検査
胃の中を「直接見る」力
胃カメラ(胃内視鏡)は、医師がスコープを挿入し、
胃の中を直接見ながら観察できる検査です。
色や質感、粘膜のわずかな変化まで確認できるため、
“見つける力”が桁違いに高いのが特徴です。
さらに、気になる部位を見つけたらその場で“組織をつまむ(生検)”ことができます。
これが診断の決め手になります。
「見つけて」「確かめて」「確定診断に至る」——この一連の流れを、胃カメラ1回で完結できるのは大きな強みです。

早期発見の力は圧倒的
厚生労働省の報告によると、
胃カメラによる検診を受けた人は、バリウム検査を受けた人に比べて胃がん死亡率が約30%低いという結果が出ています。
さらに、日本消化器内視鏡学会の報告でも、
内視鏡検診で発見される胃がんの約6〜7割が「早期がん」で、
内視鏡治療で完治を目指せる段階で見つかるケースが多いのです。
バリウムでは「疑わしい影」として終わる病変も、
胃カメラなら「肉眼で見て」「組織を確認して」「早期発見」につなげられる。
この違いは非常に大きいと感じています。
費用と手間の現実
胃カメラは保険適用でも3,000〜5,000円ほど、生検を行うと7,000〜10,000円前後。
自費検診では1〜2万円台になることもあります。
確かに、バリウムに比べて“高い”印象はあります。
しかし、もし病気を早期に見つけられるなら、
治療費・時間・命のコストを考えれば、長期的には安い投資だと私は思っています。
苦痛とリスク——それでも選ぶ理由
私自身、これまでに30回以上の胃カメラを受けてきました。
喉を通る瞬間のつらさ、げっぷを我慢する緊張感……正直、楽ではありません。
でも検査時間は5分程度。終わってしまえば「あれ、もう終わったの?」と感じるほどです。
一時間もすれば喉の違和感も消えます。
もちろん、胃カメラにもリスクはあります。
鎮静剤による呼吸抑制、まれな出血や穿孔など考えられます。
ですが、経験豊富な施設で適切に行われれば、
合併症は極めてまれで、安全性は確立されています。
看護師として、そして一人の患者として——私の選択
私は20歳のときに「リンチ症候群」という遺伝性のリスクがあると診断され、
以来30年間、毎年胃カメラと大腸内視鏡を受け続けています。
バリウム検査は受けたことがありません。
患者さんたちの様子を見ていて、体位変換の負担や味のまずさ、
検査後の便秘などを知るうちに、「自分には合わない」と思ったからです。
それでも、バリウム検査を否定するつもりはありません。
時間や費用の制約がある中で、多くの方に受けてもらうには有効な手段です。
ただ、私自身は——
「どうせ一度検査を受けるなら、しっかり“中身”を見ておきたい」
そう思い、オプション費用を払ってでも胃カメラを選んでいます。
検査を“選ぶ”ということ——未来の自分への投資
バリウム検査は「入口」、胃カメラは「確かめる手段」。
どちらも意味がある検査です。
けれども、もし今、健康への不安を感じているなら、
一歩踏み込んで胃カメラを選ぶという決断も悪くないはずです。

“少しだけ時間とお金をかけてでも、自分の胃の中を直接見てもらう”
それは、今の自分を知り、未来の自分を守る行動です。
まとめ——影よりも、真実を見つめる検査を
バリウム検査は手軽で歴史ある方法。
でも、早期がんの発見や正確な診断には、やはり限界があります。
胃カメラはそのぶん苦しさや費用も伴うけれど、
「見逃さない」「確かめられる」「守れる」という安心があります。
私はこれからも、
自分の健康をしっかり把握していくために、胃カメラを選び続けます。
あなたはどうでしょうか。
バリウムの“影”で安心しますか?
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